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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
白魔法の文献編
175/232

174話『出発の朝。』

A氏「俺の馬に乗らないかってセリフすごいセリフだよね。」

私には彼女が何を言っているのかワカリマセンデシタ。



翌日、早朝の鐘の音で起きた私達は出発の準備を済ませ、中央広場へと向かう。


昨日の夜は、悶絶疲れして、いつの間にか寝てました。

ぐっすりだったよ。私ってすごーい。白目。


昨日の言葉が頭の中をグルグルした結果、

朝食の席でベリアル様にそれとなく聞いた。


涼しい顔のベリアル様は言葉の意味そのままだと言っておられた。

とりあえず、今はいろいろ合って大変だろうから忘れて貰っても構わないとも。

忘れることは出来ないけれど、言葉の意味そのままだという事は、

そういうことだよね……。


考えるだけで自分の顔が真っ赤に染まる。


「ちょっと、エミリア!

 顔が真っ赤よ! 大丈夫?!

 熱でもあるんじゃないの?」


ナナリーが心配して私の顔を覗いてくる。


「だっ、大丈夫っ!

 これは、その……あくびをしたら思った以上に

 空気が冷たかっただけで……!」


「そうなのね。

 早く行きましょ!」


微妙な誤魔化しの言葉にナナリーは納得してくれた。


それとね、昨日ナナリーから友達申請をされた私は、

呼び捨てで呼び合いたいと言われました。

うれしかったから、即座にOKしたよ。


ナナリーは私の手を取って、宿舎の入口を開く。

後ろからは、荷物を持ってくれているベリアル様とマリク君が

ちゃんと着いてきているよ。


広場には既にコンラート様とリーテ様、護衛の騎士数名に、

救護班に参加する医師達が待機していた。

選ばれた医師の皆さんは能力重視で、サポーターと共に乗馬できる人達が

選ばれているみたいだった。


馬も沢山いる。

馬は好みの子を選んでもいいようだった。


私達は軽く挨拶を済ませて、馬を選ぶ。


もちろん、私とベリアル様はペアだ。

ナナリーはマリク君とペアで、

なんとマリク君は馬に乗れるし、馬とも会話ができるという。

ナナリーも、すごーいって目をキラキラさせてた。


乗る馬を選んでもらうのはベリアル様にお任せした。

ベリアル様の馬に同乗させてもらう私は馬の良し悪しが分からないからだ。


続々と馬を選び終える人がいる中、ナナリー達とコンラート様との間で

問題が発生した。


「ナナリー!久しぶりだな。元気だったか?」


そう言ってコンラート様がナナリーに近寄る。


「ぇ? ええ。

 コンラート、貴方も元気そうね」


ナナリー、今「あんた、いたの?」って顔を一瞬したよね。


「ナナリーは一人で馬に乗れなかったよな?

 俺と共に乗ろう」


「えっ……?」


若干気まずそうな顔のナナリーはどうしたらいいのかと

キョドキョドしている。


ナナリーに手を差し伸べるコンラート様に対して

ナナリーは困った表情だった。


それは何故かって?

ナナリーのパートナーは既にマリク君と決まっているからだ。


コンラート様の後ろから馬を選び終えたマリク君が

ナナリーに近寄った。



「ナナリーさん。

 この子が一番おとなしくていいですよ。

 人のことを気遣って、

 痛くならないように移動してくれるって言ってます」


マリク君は馬の言葉を聴いて、馬の中で一番おとなしい子を選んでいた。


ナナリーはマリク君に困った笑みを向ける。

マリク君はナナリーとコンラート様の関係に、何か悟ったのか、

ナナリーに近寄って手を引いた。


「ナナリーさん、この子を撫でてあげてください」


少し強引にナナリーをコンラート様から引き離し、

馬の元へ向かうマリク君は、ナナリーに小声で何か言っているようだ。

それに頷くナナリー。


ナナリーはマリク君が選んだ馬の鼻先をおそるおそる撫でた。

すると、撫でられた馬は気持ちよさそうにブルルと声を出した。


「かわいいわ!」


「この子もナナリーさんの事を気に入ったようですね」


無視されたコンラート様はマリク君を睨みつけている。


「ナナリー。

 そんな、すぐにバテそうな馬より、俺の馬に乗らないか?

 こいつは凄いぞ。ぜんぜんバテない。

 俺の言う事だったら、なんでも聞いてくれるんだ」


「えーっっと……。

 そうね……じゃ、じゃあ……。

 コンラートのお馬さんにも挨拶しないとね……」


言葉を濁しつつ、ナナリーはコンラート様が選んだ馬に近寄った。

馬の鼻先を撫でようとしたナナリーに、馬はブルルルと言って、

鼻先でナナリーの手を弾いた。


「きゃっ……!」


「ナナリーさん、危険です。

 そのオス馬は女性は乗せないし触らせないと言っています。

 たくましい男を背中に乗せることに興奮すると」


「「えっ!?」」


驚いた声を上げたのはもちろん、ナナリーとコンラート様だ。

馬はもう全員選び終わったので、コンラート様は自分の選んだ馬に

1人で乗ることに決まってしまった。


そんなコントを見届けたあと、

私たちはコルトの街を出発したのだった。


コンラート様を背中に乗せた馬は1匹だけすごく元気に駆け出していた。


次回、エレノアお母様の視点です。

やっとストーリーが進行した!

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