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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
白魔法の文献編
172/232

171話『援軍到着 5』

長くなってしまいました。

休憩をとりつつ、読んで下さいませ。



私が決意を固めたあと、

エドワード兄も頷き、そして何かを思いついたのか提案をしてきた。


「何だったら、僕も一緒について行ってもいいよ」


という言葉に、バイゼイン家の3人とクレス殿下は驚いていた。


「だ、ダメだよ! 兄上!」


と焦った様子でクレス殿下が声をあげる。


「兄上が居ないと僕が寂しいし、

 それに砦に急に押しかけちゃうと、砦兵士達も困ってしまうよ!

 兄上は、この街での魔物討伐の指揮者を陛下から賜っているんだから

 勝手な行動は謹んでよね!!」


「うーん……それもそうだね」


クレス殿下の説得にエドワード兄はしぶしぶ頷いていた。

バイゼイン家の人達はホッとし、

お母様は、困った微笑みを浮かべていた。


まぁ、エドワード兄の破天荒ぶりは今に始まったことじゃないしね。

今は落ち着いているけれど、昔はかなりヤンチャしてたもんね。


※幼い頃からの王宮でのイタズラの件などです。

 

「それと、ヴォルステイン家で作られる魔法薬に関してだけど。

 今回の討伐戦ではかなり役に立つだろうね」


エドワード兄はこちらに目礼をする。

現在、ヴォルステイン家で作られている薬は、

魔力回復と治癒のポーションのみだ。

製造をしているのは魔族と治癒院で私が見繕った研究者数名だ。

製造方法は秘密厳守。

星霊の契約だけじゃなく、ポアソン君の部下にも頼んで監視も厳しい中で

作ってもらっているのだった。


「出発前日まで製造したものを持って来させました」


お母様も私に目礼している。

事後承諾になるけれど、ブルード城の地下研究室から持って来させたのね。

なんにしても、ポーションが役に立つのなら大いに結構だ。

どんどん宣伝してくれたまへ!

と目線をエドワード兄と母に向ける。


「話はまとまった様ですね。

 コンラート、リーテ、おまえ達は明日の出発の準備を整えろ。

 ここから砦まで馬で3日程だったな?」


「そうです母上」


バイゼイン夫人の疑問にコンラート様が答える。


「であれば、馬の体調も万全にしておけ。

 連れて行く馬の数は分かっているな?」


「「はい!」」


「よし!」


頷いたバイゼイン夫人は顎をしゃくって「行け。」と合図する。

コンラート様とリーテ様は、綺麗な騎士の敬礼をし、部屋を出て行った。


「エドワード殿下、クレス殿下。

 私と共に兵士の様子を見に行って頂けますか?

 コルトの兵士もわざわざ王都から援軍を連れてきた両殿下から

 鼓舞していただければ、明日の討伐戦の士気も上がります」


マリー副団長の言葉に殿下達は頷く。


「それじゃあ、エミリア、ベリアル頑張ってね。

 くれぐれも無茶をしないように」


「エドワード殿下も」


どことなく元気がないエドワード兄が気になった。


「エミリア、砦から戻ってきたらビッグニュースを用意したから!

 期待しててよね!」


クレス殿下は名残惜しそうに私の手を握ってぶんぶんして出て行った。

ビッグニュースってなんだろうね?


「それではお先に失礼します」


最後に、マリー副団長が綺麗な騎士の所作で部屋を出ていった。



皆が居なくなった後、

私は、お母様に視線を向けてたずねる。


「お母様、エドワード兄が来たということは、

 援軍の指揮者として選ばれたのはエドワード兄ってことですよね。

 それはなんとなく分かったのですが、クレス殿下が来られた理由は

 どういった理由なのかご存知ですか?」


困った顔のお母様は、私に顔を向ける。


「クレス殿下に関しては、表向きはエドワード殿下のサポートね。

 実際は、貴女の無事を確認したかったから、だそうよ」


え?


「私の心配より、兄のサポートをメインにして欲しいです……」


困惑する私に、お母様は複雑な顔をしている。


「クレス殿下は、貴女を気に入っていたでしょう?」


「そうですね……」


そうなのだ。

クレス殿下は何故か昔から私に懐いてくれていた。

将来、国王になる兄を支える同志なのだと私に言ってくれたのだ。

純粋なクレス殿下が可愛い弟のようだと思っていた。

でも、婚約解消した今は同志では無くなってしまった。

解消の件は、クレス殿下も知っているはず。

同志では無くなった私のことを、彼はどう思っているのだろうね……。


「それにね、エミリアを驚かせるための話を持ってきたとも言っていたわね」


さっき言っていたビッグニュースだっけ?

うーん……。


クレス殿下が私に持ってきてくれそうなビッグニュースなんて

私には心当たりが無いのが気がかりだった。


「エドワード殿下に関しては貴女の予想通りよ。

 今回の魔物討伐の指揮はエドワード殿下が取り仕切る事になっているわ。

 

 これはコルニクス公爵からの依頼で、

 実は魔物は他の場所にも出現しているのよ。

 コルトの魔物討伐あとは、兵を編成して公爵の救援に向かうそうよ。


 公爵はそちらの魔物の対応に追われていて、王都への連絡が遅れたらしいの。

 公爵からの依頼は、殿下がコルトに着いた時に手紙で渡されたみたいね」


他の場所にも魔物が出現している?!


「そんな大規模な魔物の出現ならハイライト王国での

 被害も尋常じゃないはずです。

 どうして、ハイライト王はこちら(ドルステン)に報告しないのですか?」


私の疑問にお母様は難しい顔をする。


「これに関しては、今考えても無駄ね。

 私は、政治に口を出せる立場ではないもの。

 でも、これだけは言えるわ。

 [知能が低いはずの魔物の動きがどことなく不自然]なの」


お母様が伝えたい言葉に隠された意思を読み解く。

裏で魔物を操っているものがいる。

それがもしかしたらハイライト王国かもしれないという事かな。


「何にしても、こんな事になってしまうなんてね。

 運命の神様というのは、とっても意地悪ね。

 リーテだったかしら。

 バイゼイン夫人はどうして、今回あの子を連れてきたのかしら?」


落ち込んだ様子のお母様がため息をついた。

立ち上がり、私に近寄って、そっと抱きしめてくれる。


「お母様?」


「ごめんね、エミリア。

 私は砦には同行出来ないの。

 殿下達と共に、この国の脅威である魔物を

 何とかしないといけないから」

 

抱きしめる力が強くなる。

そうとう心配してくれているのだと分かった。


私は、涙がでるのを必死に堪える。

正直、砦に向かうのは不安が大きかった。


私もお母様を強く抱きしめ返す。


「お母様も魔物の討伐、頑張ってください。

 今度こそ、無理をしないでくださいね」


砦に行くより、お母様の魔物討伐のほうが心配だ。

お母様は昨日まで重症だったのだ。

私の魔法で疲労まで完全回復しているって聞いた時は驚いたけれど、

それでも精神的な疲れはどうすることもできないと思うから。



「そうね。

 今度は無茶な戦闘はしないと約束するわ。

 エミリアも、無理はしないでね」



しばらくして、お母様は私から離れる。

そして、ベリアル様とアリエ様に綺麗にお辞儀をした。


「ベリアル陛下、星霊アリエ様、娘をどうかよろしくお願いします」


ベリアル様は優しい顔で頷く。


「エレノア姫、必ずエミリアを守ると誓う」


自分の顔が熱くなるのを感じる。

ベリアル様の言葉は直球すぎるよ!!


「『もちろんなのであーる!』」


アリエ様も、私の頭の周りを飛び回ってピーピー言っている。元気だね。

そんなアリエ様に、ベリアル様とお母様に憑いているシェイド様とアスカ様も

何か言っているようだ。


なんだか微笑ましい光景に私達は笑いあったのだった。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


ー星霊(アリエ、シェイド、アスカ)の会話ー



アリエ 「『もちろんなのであーる!

      ピッピー! ピッピー! ピッピー!』」


アスカ 「『貴方は相変わらず元気よね。』」


シェイド「『ええい。 若造め、うるさい!!』」




こんな会話を繰り広げてました。



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