116話『倍返しだ!!(他意はない。)』
サブタイ、ダメっぽかったら変更します。
教室では、レヴァンヌに真っ先に声をかけられた。
「ごきげんよう、エミリア。体調は大丈夫ですか!?
風邪だってきいて、私すっごく心配したんですよ!?
今回の風邪は感染の恐れがあるからってマリエラからも
お見舞いを止められて……」
どうやら、私の風邪は感染しやすい種類だったようだ。
「ごきげんよう。エミリア。
貴女が立ち治ってくれたようで良かったわ」
マリエラも声をかけてくれた。
「ごきげんよう。 レヴァンヌ、マリエラ。
心配をかけてしまってごめんなさい。 もう私は大丈夫よ」
私はさっそく、籠に入ったクッキーを2人に配った。
マリエラもレヴァンヌも喜んで受け取ってくれた。
作りたてで一応、湿気防止の炭が入っているけれど、
早めに食べてもらうように促した。
エドワード兄は、朝は公務の書類を片付けるために政務室にいるようだ。
渡すのは休み時間でいいかな。
このあとは、
1科目が終わったら、ナナリーがエドワード兄に会いに来たので、
2人一緒にクッキーを渡した。
「ご、ごきげんようエミリア~……様。
私は別に心配なんてしてなかったわよ」
プィッと顔を逸らすナナリーにクッキーを渡す。
「……と言うのは冗談で、少しだけ心配してあげたわ」
言い直してくれた。 ツンデレかっ!?
ナナリーはクッキーをもらえて嬉しそうにほくほく顔だった。
というか私、お菓子で釣ってるみたいになってない?
エドワード兄にも同じように渡した。
「殿下の分は、小さめのビンしかありませんでした。申し訳ありません」
5つのクッキー瓶のうち、2つだけ小瓶なのだ。
もともとは自分用に食べようと思っていたものだからね。
まぁ、兄だしいいかな……。
※ちなみに、ベリアル様に渡したのも小瓶のほうです。
「構わないよ。ありがたく頂くね。
ナナリー、お昼にでも一緒に食べよう」
兄はナナリーと話しながら離れていった。
この後は、お昼まで何事もなく過ごした。
午後の授業も基礎学科なので、一般食堂でお昼ごはんを済ませて、
とっとと寮に帰宅することにした。
校舎内にいると会いたくない人達に出くわす可能性もあるのでね……。
カタカタと揺れる馬車の中で考える。
湖での出来事。リリンと一緒にいた女性とフードの男達。
思い出すとやっぱり震えてくる。
私は、ラナー様のお茶会で両陛下に相談することにした。
さすがにあれでは命がいくつあっても足りない。
フードで姿は見えなかったけれど、絶対あの声はカイン様とコンラート様だ。
震える私の手をベリアル様は握ってくれた。
顔を上げると心配そうだった。
守ってくれるってベリアル様は言ってくれた。
でも、やっぱり傷ついてほしくないとも思う。
私は、自分の考えをベリアル様に相談した。
カイン様とコンラート様はきっと湖の事を言ってもとぼけるはずだ。
フードで顔は見えなかった。
声だけでは、襲われたという証拠にはならない。
今までの行いも含めて、カイン様とコンラート様のことは許せない。
だから、私は私なりの方法で彼らに裁きを下す。
私の心の傷のぶん、彼らには反省してもらわなければ。
本当に怒っているのでね、この借りは倍返しで返すよ。
「ベリアル様、そういうことですので、
お母様のところへ行きましょう」
運よく、今はお茶会シーズン真っ只中だ。
実家に届いている招待状の中には、オベール家とバイゼイン家からの
招待状もあるはずだ。
私の作戦を聞いたベリアル様もニヤリと笑って頷いた。
寮に戻ってきた私とベリアル様は、外行きの服装に着替えて
さっそく王都のヴォルステイン家の屋敷に向かった。
屋敷には、ラナー様のお茶会に参加するために、
お母様とジョシュアも滞在中のはずだ。
屋敷に帰ってきて、家令に出迎えられる。
事情を説明して、談話室でベリアル様と一緒にお母様を待った。
談話室にお母様が入ってくる。
私とベリアル様は立って出迎えた。
「お待たせしました」
美しい所作でお母様はベリアル様にあいさつをした。
私達もお母様にあいさつをして、皆でソファーに座る。
侍女に最初のお茶を用意させて下がらせた。
「ベリアル陛下、この間は娘を守って頂き、ありがとうございました」
開口一番にお母様がベリアル様にお礼を言った。
「いや。 大事に至る前に脅威の排除が出来なかった。
護衛を名乗っているのに、自分を不甲斐無く思っている」
ベリアル様は悲しい顔をされている。
お母様は困った顔だ。
「私は、ベリアル様には感謝しています。
過程はどうあれ、救って頂いたことには変わりありませんもの」
私の言葉に、ベリアル様とお母様は少しだけやわらかい表情になった。
「それで、エミリア達は今日はどういう理由で私を訪ねてきたのかしら?」
お母様の問いに私は答える。
「先日の湖の件で、お母様にご相談したいことがあります」
私のお願いをお母様は聞いてくれた。
このお願いは、両陛下も巻き込む事になる。
まずはお母様に相談してから、
ラナー様のお茶会でも両陛下に協力を仰ぐつもりだ。
お母様は私の話を聞いて大層怒られた。
お母様の周囲の温度が熱く感じるほどに。
※エレノアの周囲が熱くなってしまったのは、
アスカも一緒に怒っていたからです。
マジで風邪を引きました。
更新ペースが落ちるかもしれません。
ご了承ください。