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親子そろって悪役令嬢!?  作者: マヌァ
動き出す新たなる運命編。
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114話『愛しき人。』

引き続き、ベリアル様視点です。



最近、リアル胸キュンしてない気がする。

あ、ニヨニヨ回ですよー。





「契約を解約しましょう」





儚く微笑むエミリアの言葉が胸に刺さる。


「エミリ――」



「ベリアル様、今までありがとうございました。

 これ以上私に関わると、ベリアル様とポアソン君まで傷つけてしまいます。

 そんなことになったら、私は自分が許せません」


エミリアは私の言葉を遮った。


  

「ですから、契約の解約をお願いします」



私はエミリアを見つめて問う。



「エドワードやナナリー達とも幸せになる道を探すと

 言っていただろう? それはどうするのだ?」

 


エミリアは黙って俯いてしまった。



「それがエミリアが決めた答えか?」



エミリアは一瞬悲しい表情になり、そして無理やり笑顔を作り直す。


「そ、そうですわ」


「そうか……」


魔力反応からも彼女が自分1人で決めたのだと分かった。



「ならば、もっと堂々としろ!

 自分で決めたのなら、悩むな!

 

 関わって欲しくなければ、

 自分で何とかする方法の目処もあるのだろう?」

 

 

エミリアのキュッと結ばれた口から言葉がつむがれる。



「ど、どうとでも言ってください。

 それに、方法ならあります。

 私は、国を出ます。

 

 魔法のスクロールと新薬ポーションのおかげで、

 少しは資金があります。

 それを使って、別の国に行きます」



エミリアの考えはあながち間違ってはいないのかもしれない。

国外に出たほうが安全かもしれないのはありえる。


しかし、世間知らずの令嬢が、1人で旅が出来るほど世界は甘くない。

人を騙す商人、盗賊や、人身売買、街の外には魔物もいる。

考えればキリが無いほどの危険がある。

 


「それが最善だと?」



「……えぇ」 



「君はずるい。

 自分1人でなんでも決めてしまうんだな。

 周りに居る者を、私に少しも頼る気も無いのだな」



彼女は分かっている。

自分の考えが、最善ではない事を。


全てを諦めて、逃げる選択をすると言っているのだ。

その選択も間違いではないのだろう。

しかし、エミリア自身がそれに納得していればの話だ。


エミリアは唇をかみ締めて言った。


「頼って、頼った相手が……貴方がっ……

 傷を負ってしまったら、どうすれば良いのですか……?

 もう辛いんです。私のせいで誰かが傷ついてしまったらって……!

 ふとした時に考えてしまう自分の運命ことも……!!」


エミリアは両手で胸を押さえ、涙を零す。


私の事を案じてくれるエミリアに私は手を伸ばし、そっと抱き寄せた。


「エミリア。 君が案じてくれる事が何より嬉しく思う」

 

私の胸に顔を埋めたエミリアは一瞬体を強張らせた。


「私と一緒にいると、ベリアル様を傷つけてしまうかもしれません」


「望むところだ。

 一緒に運命とやらに立ち向かってみないか?」


「どうして……そこまで、してくれるのですか……?」


「私がエミリアを守りたいからだ。

 共に、運命とやらに抗っていこう」


私の言葉に、エミリアは泣きながら、うなずく。



「~~~~っううぅぁああぁ―!! ―――!!」


張り詰めていた緊張のせいか、エミリアは声を上げて泣き出した。

すがり付いたエミリアが泣き止むまで、私はしばらくそのままでいた。


そして私は、腕の中にいる愛しき人を

必ず守ることを自分に誓った。





しばらくして、エミリアの魔力反応が恥ずかしさで悶絶し始めた。

やさしく頭をなで、離れる。

赤くなったエミリアは恥ずかしそうだが、ちょっと残念そうだった。


(そんな顔を、しないでほしいな。)


押し倒しそうになる誘惑を意志の力で押しとどめる。


「私は、エミリアが相談してくれなかった事に少し怒っている」


私の言葉に申し訳なさそうな顔をしたエミリアの顔を窺う。


「そ、それは……あの…………」


だから、これはちょっとした仕返しだ。


「それと、さっきの言葉で私は傷ついたからな」


「えっ―――」


彼女の顎を片手で持ち上げ、言葉を遮るように軽く唇を重ねる。

しばらくして顔を離すと、放心状態のエミリアが可愛らしい。


私は微笑む。


エミリアの顔が赤く染まる。

ゆっくりとエミリアから離れる。


「エミリア。 私に貴女を守らせてほしい」


エミリアの右手を持ち上げ、中指にリングをはめる。


「契約の解約はしない。

 卒業あとの約束も、ちゃんと果たしてもらう」



私はそれだけ言って、立ち上がり部屋を出た。



愛の力(?)で立ち直る話が書きたかったんや!!!



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