112話『契約の解約』
友A氏「フードの男達って、カインとコンラートやん?
殺人未遂とかにならんの?声でバレてんじゃない?」
うp主「フードを被っていたので、エミリア達は姿は見てないよ。
声が聞き覚えがあったとしても、声だけじゃ証拠にならんでしょ。」
友A氏「ふーん・・・。
そういうもんなんやね。」
あの日から何日たったのだろう?
何もする気が起きない。
エドワード兄とマリエラがお見舞いに来てくれるけれど、
いつも侍女達に頼んで断っている。
今は誰とも一緒に居たくない。 そんな気持ちなのだった。
私は、ベッドから上半身だけ起こす。
寝台に置かれている小さな鏡に写る自分を見つめた。
「酷い顔……」
鏡に写るエミリア(わたし)は目の下には隈ができて、
ツヤツヤだった長髪も手入れをしていないので今はパサパサだ。
隣のリビングから話し声が聞こえる。
少し騒がしい……?
「お待ちください!」
というカーラの声が聞こえる。
誰かが来た?
カチャ――
寝室の扉が開く。
逆光に照らされて立っていたのはラフな格好のベリアル様だった。
「エミリアに話がある。
侍女達は待機室へ」
「し、しかし……」
侍女達が困っているようだった。
どうすればいいのか分からず、私に目を向け伺っていた。
「カーラ、メーデ。 大丈夫よ」
私の返事を聞いた2人はお辞儀をして、待機室に入って行った。
ベリアル様は扉を閉めて、ゆっくりと私に近づく。
「エミリア。そろそろ立ち直れ。
君を心配している者達のためにもな」
ベリアル様の言葉が胸に刺さる。
立ち直るって言われても、どうしろっていうの……。
私は俯く。
「立ち直ったところで、運命は変わらないです。
2年後、私が死ぬって決まっているのに……
どうして、そんな事言うんですか……」
きっとベリアル様は契約の件もあって私を守ってくれるだろう。
この前の湖でも、ポアソン君と一緒に守ってくれた。
でも、あんな剣の打ち合いを目の前で見せられて……
もしあの時、ベリアル様達が怪我を負う事になっていたら?
私は胸が張り裂けそうだった。瞳に涙が溜まる。
「もう、いいんです。
もう、私の事なんて放っておいてください」
私は顔を上げる。瞳から落ちる涙を無視して、
ベリアル様に微笑みを作る。
「契約を解約しましょう」
これでいいのだ。 これで……。
もう誰も、私のせいで傷ついてほしくないから――。
次は、ベリアル様視点になります。