107話『やってみたかったんや!』
新章突入です。
私のお茶会から2週間が経った。現在12月後半。
私とベリアル様は、湖に向かって馬車を走らせている。
それはなぜかって?
ピーラ事件の時にベリアル様が湖を凍らせたのを私は思い出したのだ。
そして、ある魔法道具をひらめいた。
私ができる範囲での魔法道具だ。
ブーツの裏地に、前の部分と、かかとの部分に鉄板を縫いつけ、
魔法陣と魔法を込めた。
前の鉄板に込めた魔法は魔法陣込みの『滑り移動』と『速度調整』。
かかとの部分には魔法陣なしの『停止』の魔法だ。
実はこのブーツ、氷の上を滑るためのものだ。
だけど、込めた魔法の量が多いのですぐに魔力切れを起こす代物だった。
なので、新薬もついでに試すのだ。
気力回復のポーションだ。
決して、遊びに行くのではないのだ。決して。フハハ。
さて、ここまで説明すれば湖に何をしに行くのかわかるだろう。
そう、スケートだ。
私はスケートをやった事が無い。
この世界に来てからはやっている人自体、いないでしょうけど。
私は、前世でもやったことがないのだ。
でもやってみたかったんや!! 一度でいいから!!
ちなみに、ローラースケートならあるよ。
やると決めたからには、今ベリアル様と一緒に湖に向かっている最中だ。
ベリアル様は、私の話を聞いて怪訝な表情だった。
あまり乗り気ではないようだ。珍しい。
ガタン!!
馬車が大きな振動と音を立てて停車した。
前のめりに倒れそうになり、前に座るベリアル様に支えてもらった。
「エミリア。大丈夫か?」
「は、はい。ありがとうございます」
ポっと顔が赤くなる。
御者が慌てた様子で小窓をあける。
「すみません。大丈夫でしたか?!」
「問題ない。何があった?」
ベリアル様が確認を取った。
「道を大きな木が塞いでいまして。
手前に落ちていた枝を、乗り越えてしまいました。
きっと、雪の重みで折れてしまったのでしょう」
窓から外を確認すると、電柱くらいの太さの木が倒れていた。
よく見ると、折れた部分が黒く腐敗している。
きっと雪で湿って腐ったのだろう。
車輪の下には人の腕くらいの太さの枝を踏み砕いていた。
「引き返しますか?」
御者が提案してきた。
私は周りを確認する。
ここから湖まではそう遠くないはずだ。
「でしたら、歩いて湖まで行きます」
私の言葉に御者がギョっとしている。(御者だけに?何でもないデス。)
困った顔のベリアル様が聞いてくる。
「危険ではないか?」
「すぐそこなので大丈夫ですよ。
それと、帰りの時間を決めましょう。
2時間たったら、ここまで迎えに来てもらえばいいのです」
「であれば、倒れた木を片付けてもらう業者を連れてきましょう。
片づけが終わったら、馬車で湖に向かいます」
私は御者の提案に頷いた。
しぶしぶとベリアル様と従者達も頷いた。
なんせ、スケートをしたくて私は浮かれていたのだ。
楽しみにしている私の思いを汲んでくれたのだろうと今にして思う。
だけどこの後、私は後悔した。
湖に行きたいなんて提案しなきゃ良かったと思うほどに。
友A氏「なにがあったんや!?」
うp主「まてまて。いま続き、書いているから・・・。」
今更ですが友達のA氏に確認を取ってもらっています。
投稿するのはその後だったり、友の都合が悪いときは
確認なしで投稿中です。