99話『テーマ 1』
祝!99話記念!!
皆様の応援の賜物です。グスン。
今までありがとうございました。
そして、これからも、
『親子そろって悪役令嬢!?』をよろしくおねがいしましゅ!!
お互いに自己紹介が終わったので、
テーマを決めるのはケヴィン君に取り仕切ってもらう。
「それじゃあ、始めようと思います。
女性はこちらの資料を。男性はこちらの資料を参考にしてください」
ケヴィン君は大きめのノートを鞄から数冊ずつ取り出して机に置いた。
女性用、男性用と書かれてあるそれを皆で眺めるのだ。
「エミリア様から服装のテーマも皆さんと一緒に決めると聞いたので、
過去の仮装パーティ用のドレスコード類の資料を持ってきました」
お茶会のテーマは主催者側が決めて、内容を記した招待状を配るのが普通だ。
けれど私は今回、ラナー様と同じ方法の招待状を作ってみた。
招待状(仮)には『参加する』か『参加しない』かの言葉が書いてあり、
参加するなら、『参加する』に丸で囲ってもらう。
参加しないなら、『参加しない』に丸で囲ってもらう。
という方法を取った。
これなら、教室で丸をつけてもらってその場で受け取れるのだ。
現在、ここにいるメンバー全員からすでに『参加する』に丸をされた
招待状をあずかっている。
本命の招待状はドレスコードやお菓子を決めた後に内容を記載して
送る手はずだ。
「うーん。どれもハデハデしいわね」
とマリエラが意見を言った。
お前が言うなという視線はお構いなしだ。
「仮装パーティ用ですもんね」
カレン様もマリエラの開いた資料を見て呟いている。
「派手なのが多いのは仕方が無いですよね。
ナナリー様は、何か意見はありますか?」
私が急に話をふったので、ナナリーは驚いている。
ずっとケヴィン君を見ていたからね。
仲良くなるために会話に参加させるよ?
「えっ!?
わ、わからないわよ。そんなの……」
「では、何か好きなテーマなどありますか?
例えばですけれど、好きな本などの登場人物の格好なども
テーマをその本に決めればできますよ」
「そ、そうなの?」
私の説明で少しだけ警戒をといたナナリーは、
お茶会のテーマについて興味をもったようだ。
そして考える仕草をして、意見を述べた。
「じゃあ私、ルッテン・マキアー氏の小説、
『勇敢なる魔術師団』の話が好きなの。
テーマがそれになれば、その格好もできるの?」
おそるおそると言った感じでナナリーが聞いてきた。
私もその本は読んだ事があった。
勇敢な15人の魔術師が国を揺るがす天災を次々に食い止める話だ。
ドラゴンの奇襲や大津波、火山の噴火から土砂災害、隕石落下まで
さまざまな厄災を未然に防いだりするのだ。
ちなみに15人の魔術師達は預言者で
物語の最後、混沌の邪神を倒して世界の守り神になるのだ。
「ええ。できますよ。
『勇敢なる魔術師団』は私も読んだ事がありますわ。懐かしいです」
「私もあるわ」「私もその本、好きなんです!」
運よく、女子4人とも読んだ事のある本だった。
というか、この本って男性向けよね?
「好きなんです!」と声をあげたのはカレン様だ。
ゆったりとした口調が特徴的だ。
「私は魔術師団長のルートガード様がドラゴンに止めを刺す話が大好きで、
なんども読み返しました。
ルートガード様は実は国の王子様で、ドラゴンを倒す剣を操れる唯一の人物。
ドラゴンを倒すために一人で立ち向かわなければいけない。
あの勇敢な姿には惚れ惚れしました」
カレン様は熱が入ったようで熱く語った。
「私は、イグニード様の火山から流れ出た溶岩を操る話のほうが好きだわ。
溶岩の川が、街を避ける瞬間のドキドキ感と、溶岩の間近で魔法を操るの
だから、熱いなんてものじゃないわよね。
集中力が途切れたら街が一環の終わりなんですもの!
あのハラハラ感もたまらないわ!」
マリエラも熱が入ってしまったようで、自分の好きな話を語った。
「貴女たち、何を言っているの!?
一番いい話は、津波から街と人々を守るために水龍を操る、
ローレライ様の話でしょう!
神秘的な歌声で龍に祈りをささげる選ばれし聖女。
ルートガード様に想いをぶつけられ、戸惑う乙女心のせいで
上手く祈りをささげられなくなるのよ。
聖女だから男性との関係は望めないけれど、やっぱり、
ルートガード様が好きな事を、諦めきれない。
あの申し訳ない程度の恋愛要素が、素晴らしいんじゃない!!」
ナナリーも白熱して語りだしていた。
この言葉に2人もなるほど。と頷いている。
「私もナナリー様と同じ話が好きですよ」
私もナナリーの語る話が一番好きだったりする。
私の言葉に目を丸くしたナナリーはちょっとだけ嬉しそうに
「と、とうぜんよねっ!」
とプイッと顔を逸らしていた。
なんだこの子、ツンデレかっ!?
そんな、女子3人が脱線していく様子を男性陣は静かに見守っていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回からも、よりいっそう盛り上げて(?)書いていきます。
(自分からハードル上げていくやつー。)