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わたし"だけ"が魔法使い  作者: 丸晴eM
魔法使いの第一歩
7/20

07

「っというわけで、この子が私の最初の妖精さんです。リナーだよ、見えないだろうけどよろしくね」


 寮に帰るなり、早速フィフィちゃんに自慢した。


「フィフィもいつか見てみたいの。どんな子なの?」

「金色の髪が揺れてて、きれいな子だよ。後ね、水みたいにぷるぷるしてるルーフと、林檎みたいに赤い髪のリーグ。最後に黒い靄っぽいダナー」

「最初からそんなにいるの?里で一番契約の多いお母さんでも6体なの」

 

 あ、フィフィちゃんのとこは数え方違うんだ。


「フィフィちゃんのお母さん、凄いね!うちのお父さんも魔法使いなんだけど、4体だったよ」

「だったら、シェリーちゃんはもうお父さんに追いついてるの」

「…言われてみれば!」


 妖精とは契約すればするほど、借りれる力が多くなる。まあ契約自体お互いの意思を尊重し合う行為なので、そんなに簡単に結べるものでもない。

…って言われてる。


「まぁ数が一緒でも、お父さんの足元にも及ばないけどね」


 一瞬で、視界いっぱいを火の海にしてしまうような。お父さんの魔法は、瞬間火力が半端ない。

爆発的な力を引き出す集中力は、素直に尊敬してる。


「そっちの鉢は何なの?」

「これでわたしの杖を育てるんだ」


 床に置いたら蹴っ飛ばしそうだったから、机の上に置いてある鉢。

中には、粉々に砕かれた仮杖が入っている。

そう、自分だけの杖を作る土壌として、仮杖は壊したのだ。中々に躊躇する儀式だったわ…。


「明日、杖を作る授業をするから、それまで私の魔力に慣らしておけって」


 できるだけ持ち歩くようにと言われている。


「さーて、晩御飯食べに行こっか」

「それも持っていくの?」

「え、うん。だめかな」


 …まぁ確かに、食べる為の場所に持ち込むのは注意されるかもしれない。


「みんながご飯食べる所だもんね…」

「別にいいと思うの。泥だらけで食べにくる男子の方が考え物なの」


 非難されたのかと思いきや、フィフィちゃんはただ確かめたかっただけみたい。


「本来なら数日かけてもいいぐらいなの。明日杖にするのなら、できるだけ一緒に行動するべきなの」


 フィフィちゃんの理解も得たので、遠慮なく食堂にも持ち込むことにした。 

  

 


 

*** 

 

  


 

「何、その壺」

「おしい、正解は鉢でした」


 食堂でティティくんと合流するやいなや、突っ込まれた。朝食はわたしとフィフィちゃんとティティくんとユーグで食べるんだけど、晩御飯にユーグは居ない。

何故かというと、はらぺこユーグが4人揃うのを待ってくれないからだ。授業が終わって解放されると、すぐに食堂へ走っている。

そして暗くなるまでちょっと遊んで、もう一回夜食を食べてるみたい。


 バレス学園では、学費に食費も含まれているので食堂は利用し放題なのだ。

そもそも学費もそこまで高くない代わりに、これから先冒険で一定以上の収入を得ると、何パーセントか取られるって仕組みだったはず。

お父さん情報だから適当だけど、多分本格的に冒険者ギルドとかに顔を出し始める3年生になったら詳しく教えてくれると思う。


「シェリーちゃんは凄いの、優秀なの。もう4体の妖精と契約したの」

「僕達は一体だけだもんね」


「待って、2人とも契約してるの?」


「フィフィの妖精は銀色の羽が生えてるの。名前はつけてないの」

「僕の妖精は、金色の毛がもふもふ」


 入学前から魔法を教えてもらえてるだなんて、羨ましい。

わたしはいくら頼んだって断られてたのに。


「ふたりともずるいよ、いいなぁ」


 ぽろっと、本音がこぼれてしまった。


「違うの、フィフィ達が魔法使いになりたくないって言ったから、無理やりプレゼンの為にやらされただけなの」


 即座に、フォローが入る。フィフィちゃん、優しいな…ほんと、一緒に魔法科で学びたかった…!


「ごめんごめん、わたしは小さい時からお父さんに何度もお願いしてたんだけど、魔法教えて貰えなかったからさ。でもお父さんに習うより、ここでちゃんと先生から学んだ方が100倍よかったと思うから、大丈夫!」


「いい先生みたいで、よかったの。フィフィの先生も、頼もしくって素敵なの。この学園はいい所なの」


 いい先生で、いいルームメイトで。クラスメイトが居ない事だけが、ほんと悔やまれるけど、わたしもこの学園で満足してる。

フィフィちゃんと会えて、本当に良かった。


 ちょっと照れるけど、フィフィちゃんにそう伝えようかと口を開いたけど


「まだ話してるなら、料理とってくるけど」


 とても気を使ってくれた、空気を読めない発言に押しとどめられた。


「シェリー何食べる?」

「…まだ見てないから、一緒に行くよ。ありがとうティティくん」


 ティティくんのちょっと天然な行動に脱力させられつつ。

今日もお互いの授業内容を報告したりする、賑やかな食卓となった。

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