今日からの僕
僕は、その夜不思議な夢を見た。
彼女がいたこともない僕だけど、人並みに初恋は、している。
そう、小学生の時同じクラスの瑞季という女の子に初恋をした。
その瑞季という女の子が夢に出て来たのだ。
しかもあまり話したことが無い僕がとても仲良くしている夢だった。
テレビとか雑誌とかで一丁前に恋とは、何か?幸せとは、何か?と説くタレントがいるが、僕は、これまで幸せなんて、恋なんて、と思っていた。しかし、こんな夢でも恋すれば楽しい、そして、幸せだった。
殺された後にこんな夢を見るなんてね。
もうこんな後悔を思っても仕方ないか。
「小僧、朝じゃ!」
もう少し寝たい…だから、その声を僕は、無視した。
「小僧!おい!小僧!」
…うるさい。このおじぃさんこんなに元気だったけ?
そんな事を思って起きようと薄目を開けた。その時
「起きないと…」
目の前に鬼の形相をしたおじぃさんがいた。
「!?起きます!起きます!」
「それで良い。」
このおじぃさん起きなかったら、何をしようとしたのだろう。
…いや、これ以上考えるのは、やめよう。
「さぁ朝飯じゃ」
さっきの鬼の形相を忘れたように普通の顔に戻った。
朝ごはんは、普通のご飯だった。
ご飯に卵、シャケ、味噌汁。
おじぃさんが自分の為に作ってくれたと思うと少しだけ嬉しかった。
「ところで少年よ。」
呼び名が安定しない。
「あの…賢介でいいですよ?」
「いや、じゃ男を下の名前を呼ぶなぞもってのほかじゃ」
このじぃさん難しいし、めんどくさい。
「さて、本題に入ろう。ワシの家に一晩泊めた理由は、ちゃんとある。お前さん昨日夢を見なかったか?」
「はい。見ました。僕が初恋の人と楽しく話してる夢でした。」
「そうか…その女の子の名前は、瑞季という名前の子じゃなかったか?」
「えっ。なんで知ってるんですか?」
「ワシエスパーなんじゃ!」
うん?これは、本当なのか?嘘なのか?よくわかない。まず、そんな事を言うのは、やめてくれおじぃさん。
「…」
「…嘘じゃ。エスパーな訳ないじゃろ。とりあえず何故知っていたかと言うと少年を殺した女性あの女こそ瑞季という人間なのじゃ。」
「えっ?…いやいや、おじぃさんまた冗談を。」
「これは、本当の話じゃ。」
そういうとおじぃさんの顔が真面目になった。
僕は、動揺した。そして、今置かれてる状況、そしてここがどこなのか?、それに加え僕を殺したのは、初恋の人?いくらなんでも考えることが多すぎませんか?
「そこでじゃ。」
おじぃさん…また声が遠くなっていくよ。
そんな事を思っていると背中をおもいっきり叩かれた。
「いたっ。」
「おい、少年!またお前は、同じ事を繰り返すのか!くよくよして、何度も痛い思いをしたいのか!少しは、学べ賢介よ。」
「すいません…」
「ワシは、くよくよしてる男がだいっきらいなんじゃ。だから、話は、一度きりしか言わない。わかったか!」
そうだ、僕は、このままだとまた同じ過ちを繰り返すことになる。そんなの嫌だ。
「おじぃさんありがとうございます。」
「ワイは、おじぃさんじゃない!」
…やっぱりめんどくさい人だ。さっきの感謝の事を返してくれ。。
「さて、話を戻そうか。賢介が生き返らず事は、もう出来ない。もう2回死んでるからじゃ。」
「えっ?」
「まぁ、生き返らず事は、出来ないしかし、生き移りする事は、出来る。そう、前田賢介では、なく前田圭介として生きる事じゃ。」
「それは、どういう事ですか?」
「つまりじゃ、本当は、前田圭介が死ぬはずだったが、間違えて殺された。つまり、前田圭介は、まだ生きているという事じゃ。その前田圭介の体から魂だけ抜き取り、その体に賢介の魂を移すという事じゃ。」
「あの、僕は、昨日死んだんですよね?それなら、僕の死体は、まだ既存してるはずじゃ?」
「…それを聞きたいか?」
なんだか嫌な予感があっているようだった。
「いや、大丈夫です。」
あの拷問を思い出しただけで身体中が痛くなってきた。
「しかし、身体に魂を移すのには、リスクがある。身体を乗っ取ったとしても、元は、前田圭介の体じゃだから、その体に勝つほどの強い思いがないと体の中には、入れない。」
「つまり、生き返りたいのなら、本当に生き返りたい理由を探せって事ですか?」
「まぁ簡単にいうとそうじゃな。」
「もし、思いが弱くて体を乗っ取らなかったらどうなるんですか?」
「魂が消滅する。」
「無になるんですね。」
「そうじゃな。ワシは、何人もの人間の魂をもう一度現世に送り込んできた。もちろん何人も魂を消滅も見てきた。しかし、それは、自分の体があった人間たちだけじゃ。つまり、他人の体に他の魂を移し替えるのは、やるとしたら初めてになる。ワシにもどうなるかわからない。」
「なるほど。」
「まぁ少し考えて、答えを出せば良い。最悪ここに至って構わない。だが、ここの世界は、厳しいぞ。死んだ者達の魂が生き返るか輪廻転成するかの最後の場所じゃ。だから、死んだ者達のがどう死んだか、何をしたのか。全て確認しないといけない。」
「じゃ、僕が死んだ時の様子も?」
「もちろんじゃ。見たければ見せてやるぞ。今の死体の状態やあの時の映像を。」
「いや、大丈夫です。」
「まぁ、見たければいつでも言ってくれ。ちなみに移り変わるかの回答は、3日以内で頼むぞ。わしも暇では、ないのじゃ。前田圭介を見つけんといけなんしな。」
「はい。」
そういうとおじぃさんは、家の外に出て何処か出かけていった。
3日か。僕は、生き返って何かしたい事あったか?
そんな事を思っていると今朝の夢を思い出した。
瑞季ちゃんが…なんで彼女は、殺人鬼になってしまったのだろか?そして、最後にぼく言った言葉は、なんだったんだろうか?
気になるけど、それが生き返りたい理由か?
疑問ばかりが増えて来た。
少しここら辺を散歩しよ。
鍵は、まぁ開けっ放しで良いか。
こうして僕は、3日という猶予を貰って生き返りたい理由を探すのだった。