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異世界に響く銃声  作者: レコア
第2章 召喚された高校生銃士
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第六十二話 アルヴィン

初対面ならまず自己紹介を

「そこまで警戒しないでくれていい。さっきも言った通り最初から見ていたわけではないので詳しい事は分からないが、君達が被害者で、最初に仕掛けたのはあの馬鹿どもの方だった事は分かっている。冒険者ギルドで起こった揉め事は一応記録が必要だ。記録するほどの事でなくても、少なくとも私は状況を知っている必要がある。詳細を話してくれないかね?」

「あなたは?」

「自己紹介を先にしたいか。当然だね。私はエルタールのギルドをギルド本部より任されている。アルヴィンというものだ」

「佐野勇介です。こっちはアリシア。こっちはミルです」

「アリシアと申します。以後お見知りおきを」

「こ、こんにちは・・・」

アリシアはきれいな動作で頭を下げ、ミルは抱き着くのをやめておどおどしながら挨拶をする。

「苗字持ちで黒髪、異邦人かな?」

「よく言われるのですが、その異邦人というのはなんなのでしょうか?」

俺を捕らえたヘロウドという悪徳騎士も、奴隷商人の跡取り息子も、俺を異邦人だと言っていた。何のことなのか気になる。

「異邦人というのは、大陸の外側から来るとされる人間の事だ。多くのものは黒髪で、特徴的な名前やしゃべり方、常識、文化を持っている。技術もこの大陸とは少し違うようだ。南の方に居るアムスラーン人も黒髪らしいが、彼らとは髪質が違うらしい。私は異邦人に会うのは初めてなのであんまり詳しい事は分からないが、特殊な武器や文化をもたらすので、ある意味で影響力が強いとされている。最近この大陸では多く確認されているが、常識や文化の違いから我々と衝突して脅威となる者や、命を落とす者が後を絶たないようだね。大陸の外側、海の向こうへ行ける人間は多くないし、どうやって君達が海を越え、この大陸にどこから来ているのかはよくわかっていない。私は帝国の外に出た事は無いから王国や他の国ではどうなのかも知らない。しかし、敵対していい結果になる異邦人は多くないという情報は、ギルドのネットワークで私の耳にも届いている。戦闘力の高さや特殊な武器を目当てに血眼で探し回る国もあるらしいし、異界から召喚された神の使いだとする説もあるが、よくわからないというのが正直なところだ。大半の異邦人は言葉が通じないし、戦闘力の高さに物を言わせて自分達の常識で行動するため問題を起こしやすいが、高い戦闘力故に衝突すると厄介なのも事実で、帝国も頭を悩ませているようだ。君のように話が通じる異邦人は珍しいのではないかと思うよ。見た目は一般市民と変わらないのに所持する特殊な武器や戦闘力だけ異様に高い異邦人も多いようだし、珍しいからマークしている国は多い。君が異邦人なら、それだけで驚くに値する事実だ。どうかな?」

「俺は自分が異邦人かどうかは分かりません。ただ、遠い国の出身であり、この国の常識関係に疎い事や、特殊な武器を使う事は事実ですね。そういう意味では異邦人に特徴が似ているとは思います。でも俺は別に海を越えてきたわけじゃないです」

「ほう。特殊な武器か、見てみたいね」

「あまり手の内は晒したくないのですが・・・」

「それもそうか、君は頭がいいらしい。失礼したよ」

一瞬特殊な武器という言葉に興味がわいた感じのアルヴィンさんは、俺の返答に真顔になると、前傾姿勢をやめて椅子に深く座りなおした。俺達も反射的に姿勢を正す。

「さて、君が異邦人かどうかはこの際置いておこう。帝国は別に異邦人を敵視していたり、マークしていたりもしないし、報告義務もない。もともと冒険者という職業自体が訳アリの人間を有効活用する場所のようなものだ。君が何者であろうと、冒険者になるなら止めはしない。当初の目的通り、下で何があってあの馬鹿どもが伸びていたのか、話してくれたまえ」

「わかりました。俺達がギルドに入ると・・・」


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


「なるほど、彼らに原因があった事、それに対して君が怒った事は理解できたよ。しかし、こうして話している間も失礼ながら観察させてもらったが、今の君からはあの時のような殺気も、スピード感も感じられない。異邦人はやはり不思議な存在なんだね」

「異邦人がみんな俺みたいなのかは俺にもわかりませんが、状況は今話した通りです。それで、このトラブルはどうなりますか」

「おとがめなしは無理だね。相手が悪いとはいえ、ギルド内で暴れられては困る。君は冒険者になっていないそうだから今は一般市民が冒険者に乱暴をされたという状況だが、これから冒険者になろうという市民だ。それなりの覚悟があるはずと、思いたい」

「覚悟とは?」

身体強化アシストなど一部の事実を伏せて状況説明をしたら、この返答である。俺の問に、アルヴィンさんはまた前傾姿勢になって顔を近づけてきた。

「一般市民の多くや貴族の大半は、我々冒険者をただの便利屋だと思っている。実際冒険者は金次第で何でもやるから、そういう説明がされるのは間違いではないが、冒険者はただの便利屋じゃない。依頼の内容次第では自分の命を安い金と引き換えにすることも多い。魔物の討伐だって、舐めてかかればもちろん死ぬこともある。魔物の討伐に行って帰ってこなかった冒険者など、君が人生で出会う人間の何倍も多いのだ。隣の王国でクーデターがあったのは君達でも知っていると思うが、戦争の時戦闘力がある冒険者は傭兵のような依頼を請け負う事もある。そして、騎士のような保証はもちろんない。自己責任なのだ。冒険者は自由だからなりたいという若者が後を絶たないが、若者が思うような自由は冒険者に一切存在しないとここに明言しておこう。冒険者における自由とは、一般市民と変わらない。ルールの順守とまごころ、金から生まれるものだ。そしてこの前提無しに自由を守る事はできない。ルールを守らない冒険者に我々は厳しい態度をとるし、まごころの足りない冒険者に仕事はこない。金のない冒険者に明日はない。冒険者は自由なようで自由ではない。わかるかね?」

「自分勝手に好き放題やるやつは、向いてないってことですね。ルールをみんなが守るから、冒険者という職業が成り立つと」

「その通りだ。そして、君はそれを目指す身でありながら、冒険者と揉め事を起こした。これは放置できない」

「はい」

「君には冒険者になることを認めよう。その戦闘能力があれば貴族のお抱え騎士や衛兵になるのも無理ではないだろうし、どこかの商家や店で用心棒になる道もある。だが、冒険者組織として、君を取り込みたいと私は思うのだ。せっかく君が冒険者になろうとギルドに足を運んでくれたのだから、拒みはしない。しかし、先ほどのトラブルを見過ごすこともできないので、ルールに従って、君にも罰を受けてもらう。異議はあるかね?」

「ないです」

アルヴィンさんはニヤリと笑った。

「いいお答えだ。冒険者になったら、君の力を試す意味でも、私が指定する依頼を2つほど受けてもらいたい。討伐依頼だ」

「内容は?」

「受付の者に詳細は聞いてくれたまえ。今日冒険者になろうという新人に高難易度の依頼を押し付けたりはしないから、そこは安心してくれて構わない。だが、下で君を見た私に言わせれば、君なら朝飯前の依頼だと思うね」

「それを断ったら、俺は冒険者になれない訳ですか?」

「冒険者は来るものを拒まない。例え犯罪者であろうと逃亡奴隷であろうと、死刑囚であろうと条件を満たすなら受け入れよう。だから冒険者にはなれる。だが、誘いを断るなら別の罰を用意させてもらう。それだけだね」

「依頼の内容を確認してから、決めてはダメですか?」

「君は慎重な人間なのか、そうでないのかまだ判断がつかないね。それで構わないよ。依頼を受ける気になったら、受付の者に申し出なさい。すぐに応対してくれるだろう。個人的には、受けてくれると嬉しいがね」

「わかりました」

「君と話せて楽しかったよ。冒険者として、これから頑張ってくれたまえ」

「はい、ありがとうございました」

アルヴィンさんが席を立ったので俺達も席を立ち、握手を求めてきたので握手する。

「部屋を出る時に、外にいる男を呼んでくれたまえ」

「はい、失礼しました」

俺達はもう一度頭を下げてから部屋を退出し、外に居た完全武装の男性に呼ばれていると伝えた後1階へ降りた。チラチラと視線が集まっている気がするが、スルーして受付と書かれた看板の下にあるカウンターへ向かう。

第62話です。ストック・・・。


冒険者ギルドで揉め事→ギルドマスターと面会→実力によって飛び級、みたいなのはよく聞く話なので、ちょっと独自に変えてみました。飛び級はしませんし、揉め事をうやむやにもしません。ちゃんとペナルティを課します。そのペナルティ自体は、白状するとこの部分を書いていたころは全く構想すらない状態でした。はたして勇介達に課される条件とは・・・。次回もお楽しみに

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