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「すべての準備は整いました」宇宙海賊ラハラ団特別零部隊総長、フィ・ユンは言った。「地球への攻撃を、開始いたしましょうか?」
「待って」宇宙海賊ラハラ団総帥、カーザ・ラハラは微笑みながら「まだよ。確か……、今地球には、ルーズが不時着しているはず。彼女は殺すに惜しい人間よ。地球への攻撃は、彼女を拘束してから。わかった?」
現在、フィは司令室にいた。目の前には大きな机と、椅子に座っているカーザ。部屋は広く、壁には豪華な絵が飾られている。カーザの後ろには、ラハラ団のシンボルが。懐中時計の手前を、二つの剣が交差しているデザイン。
カーザは、茶髪にウェーブが入ったミディアムヘアーで、少し幼く見える。背が低め。声は、とても甘く、柔らかい声。緑色のシンプルなドレスに、ベージュ色のスカーフという格好。金色の勲章が胸にある。ちなみに、総帥以外の、フィや通常兵全員は、それを襟詰めにしてズボンになったタイプの制服を着用している。
「しかし、カーザ様は何故」フィは、一歩前にでて言った。「そのように、ルーズに拘るのでしょうか? 私にはわかりかねます」
「人の力は、その本人にあらず、絶えず周囲との関係にある。これは、私の好きな言葉よ」カーザは机の上に、両手を交差させるように乗せながら言った。「彼女の周りには、優秀な人間が集まります。それは、他の人間では、できないわ」
「ですが、今は、一惑星を掌握できる機会です。この機を逃すと、次はいつかわかりませんよっ!」
「時には、一つの惑星よりも、一人の人間の方が重要な時もあるわ」カーザは片目を瞑った。「そ、それにしたって……」視線を下に向けるフィ。
「焦らなくても、大丈夫よ」カーザは椅子から立ち上がり、フィに歩み寄りながら「私には、フィがついてくれているんだし」
「ご、ごまかされませんっ! そんなことを」
「つんつん」カーザはフィのへそを突いた。
「あひゃん!」顔を赤らめ、後退するフィ。「なっ……、なっ、なんですかっ?」
「おへそはね、緊張を和らげるツボなのよ」カーザは人差し指を立てて、首を傾けながら微笑んだ。「知ってた?」
「し、知りませんよっ、そんなこと! それ、本当ですかっ?」
「ううん」カーザは首を振った。「だって、今私がそう決めたんだもん」