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朝。
花影塚家にて。
「ほらー、二人とも起きてー」ミカゲは片手にフライパン、片手にお玉というスタイルで、カンカンカン鳴らしながら言った。「早く起きないと遅刻す……って、ちょっと、大佐。あれだけ裸で寝ちゃダメって言ったじゃないですか」
「ん?」目を擦りながらキュアは起き上がった。「いや……、これは違うぞ。気がついたら、脱げてしまっていたのだ。もしかしたら、ユリが脱がしているかもな。ふふ」
「ユリさんは、そんなことしませんよ。変な笑い方しないでください」項垂れるミカゲ。「とにかく、スミレちゃんはもう起きてるんですよ、見習ってください。それと、大佐はまず服を着る」
「ああ、わかった」寝ぼけなまこで、ゆっくり頷くキュア。
「まあ、あれだけの戦いの後だから、しょうがありませんけど」ミカゲは微笑む。「とにかく、遅刻はいけませんから、早く下きてくださいよ」
ミカゲは、それから一階のリビングへと向かった。既に、スミレが朝食を食べている。
「二人、起きた?」スミレがトーストを食べながら言った。
「うーん、五十パーセントくらいかしら」首を傾げるミカゲ。
「お姉ちゃんは、寝起き悪いからねぇ」スミレはコーヒーを飲みながら「いやー、それにしても、昨日は凄かったねぇ」
「ねー、本当に」ミカゲは棚にフライパンとお玉を戻した。そして、スミレの対面に座る。「テレビも、ずっとそればっかだったし」
「そうそう。でも、映像は映ってなかったみたいね。なんか、薔薇の花びらが、カメラについていてたとか、うんだらこうだららしく」
「でも、よかった」ミカゲはトーストを食べながら微笑む。「正体がバレずに済んで」
「うーん、なんか、奇跡的にバレなかったって感じだけど。こう、全体的に」汗マークを浮かべるスミレ。
「あ、そうそう」とミカゲ。「大佐とユリさん、メイドカフェで働いてたんでしょ? どうだった?」
「ああ」スミレは苦笑いを浮かべた。「もうね、トンデモメイドだったよ。タメ口だわ、メイドらしさはゼロだわ」
「おはようー」と、ユリが頭を掻きながら入ってきた。「ああ、ありがとう。ミカゲいつもいつも」
「む? この匂いは……」続いて入ってくるキュア。「小麦粉の固まったやつか」
「パンよ、パン」スミレがつっこむ。「なんか、食欲がなくなる言い方しないで」
「そうそう、今日は、新しいコーヒー豆なんです」微笑むミカゲ。「どうぞ、召し上がってください」
「コーヒーを飲むと、目が冴えるからな」キュアはスミレの隣に座りながら「色々と助かる」
「その色々には、なにが含まれてるのよ」汗マークをつけるスミレ。
「ふっ、昨日も私は徹夜だったんだ」
「え?」
「ああ、そうだったな」とユリ。ミカゲの隣に座っている。
「ちょっと、なんの話よ?」
「いや、考えごとをしてたんだ」キュアがスミレに向きながら言った。
「考えごと?」スミレは目を細める。「ちょっと、紛らわしい言い方しないでよ」
「なにを考えていたの?」ミカゲが首を傾げる。
「名前だ」
「え、名前?」とスミレ。
「そう……、小洒落たやつを、な」




