表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者少女群  作者: お休み中
第五幕 百合の花嫁
40/42

「うーん、やっぱり学校にはいなかったわね」ミカゲは頬に手を当てながら言った。以前、ユニコーンに乗って空を飛んだまま。「どこにいるのかしら……、ユリさん」

「ん……、あれ……」と、カーザは前方を指差しながら言った。「メイドロボの前に……、なんか、飛んでない?」

「えっ?」ミカゲは、メイドロボの周辺に目を懲らした。

 よく見ると、確かに……、うっすらと白い妖精のようなものが見える。なんだか、妖精のようなシルエット。また、黒くて長い、髪のようなものが、飛ぶ方向を変える度動いていた。

「行ってみよう」カーザが言った。

「ちょ、ちょっと待って」ミカゲはこめかみに手を当てながら「少しだけ、考えさせてね」

「え、どうしたの?」カーザは振り向く。

 やがて、ミカゲは首を振りながら「やっぱり……、メイドロボの周りは危険だわ……。行ってはダメ」

「え、でも」カーザはミカゲを見ながら、メイドロボの方向を指差した。「遠くで見てれば、大丈夫じゃない? それに、あれ気になるし」

「ダメったら、ダメよ。ほら、戦闘機を空手チョップで粉砕するやつなのよ。ユニコーンなんて、デコぴんで粉々だわ」

「う、うーん……。まあ、確かに……。いや、でも、近くに行くぐらいはよくない? それに、あの白いやつの正体が……」

「カーザ」ミカゲは微笑む。「……また、口を塞がれたい?」

「えっ!」カーザは顔を赤らめながら「ちょ……、わ、わかったから。そ、その、もうメイドロボ見に行くなんて言わないから……。もう、あれだけは止めて」

「よしよし」ミカゲは彼女の頭を撫でながら「じゃ、ここで降りましょ」

「え?」首を傾げるカーザ。「降りるって?」

「い・い・か・ら」カーザは首を傾け、ウィンクした。「私の言う通りにして。お願い」

「う、うん……。わ、わかった」

 ユニコーンはゆっくりと、高度を落としていく。

 やがて、近くの、川辺近くの土手に着地した。

「カーザ、チャコちゃん……、ちょっと降りてもらっていい?」ミカゲは言った。「私、やらなきゃいけないことがあるの」

「えっ……、ミカゲさんは?」カーザが聞く。

「ほらほら、降りた降りた」ミカゲはカーザを押した。

「わっ、ちょ」どてっ、と地面に落ちるカーザ。「いたっ!」

「チャコちゃんも……ね?」

「わ、わかりました」ゆっくりと降りるチャコ。

「ま、まさか……、ミカゲさん、一人で闘う気じゃ……、私も行くよっ!」カーザは叫ぶ。

「大丈夫よ。そんなことはしないわ」ミカゲはユニコーンの手綱を握りながら「ちょっと、これ借りていくわね」

「なっ! えっ? 運転できるの?」

「まあ、うちの軍にもよくあるタイプだし」

「へ?」

「必ず帰ってくるわ……、それじゃあ」

「ミカゲさんっ、それどういう」ミカゲに近づくカーザ。

「カーザ」

 ミカゲは彼女の唇に人差し指を当てる。

「キスのおねだりなら……、後にして」

「……なっ! ち、違っ!」

「帰ってきたら、いくらでも、してあげるわよ」

「ち、違いますっ! あのですねっ」

 叫ぶカーザ。

「怒った顔も素敵よ」

 ミカゲは微笑みながら、

「ふふ、私ちょっとSかも」

「え?」

 ミカゲはカーザの腕を掴んで体を引き寄せ、

「後でゆっくりいじめてあげるから」

 彼女の耳元で囁いた。

「楽しみに……、待っててね」

「あ……」その場に、へにゃへにゃと座り込むカーザ。「あうぅ……。も、もうダメぇ~」

「えっ、え、なになに? カーザさん、なに言われたんですかっ?」戸惑うチャコ。

「だ・か・ら。言ったでしょ?」ミカゲは人差し指を自分の頬に当てた。「女の子はね、秘密の数だけ大人になる。そして、それは……、必ず恋の秘密なの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ