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「あれは絶対宇宙海賊の仕業だ」キュアは腕組みをしながら言った。「今こそ……、勇者の力を発揮する時……。ユリ、準備はいいか?」
スミレたちは、他の人間と別れ、公園に移動していた。公園の茂みに隠れながら話をしている。
「ああ。このままでは地球は滅んでしまう」横にいるユリは真面目な表情で言った。「キュア、早くしてくれ」
「あのー、ちょっといい?」スミレは手を挙げ、目を細めながら言った。「ていうかさ、あれ、本当に宇宙海賊の仕業なの? 宇宙を制服しようとしているやつらが……、メイドロボなんか作るかな? ていうか、そもそも、メイドロボが存在することを、もっとみんなつっこんだ方がいいと思うけど……」
「おい、スミレ。こんな非常時にふざけるな」ユリが言った。「今は、一刻を争う事態なんだぞ」
「ふ、ふざけ……」スミレは脱力した。「す、すいません……」
「で、どうすればいい?」ユリはキュアを見ながら言った。「そういえば……。キュアが使ったのを見ただけで、私自身は使ったことはなかったからな。やり方をもう一度確認させてくれ」
「この」と、キュアはどこからともなく、ハートの飾りがついているステッキをとりだした。「これを……、天に掲げ『勇者、降臨』と叫ぶんだ。地球人がこの力を使うには、契約の他に、こういった補助アイテムが必要だからな」
「それ……、どう見ても、魔法のステッキですよね。魔法少女ものとかに、よくある……」とスミレ。
「さあユリ、やってみろ」キュアが言った。
「わかった……」ユリはキュアからステッキを受けとると、それを天に掲げ「いくぞ!」
大きな声で叫んだ。
「勇者、降臨っ!」




