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勇者少女群  作者: お休み中
第五幕 百合の花嫁
34/42

「い、泉さんっ。た、たた大変なんですっ!」電話口から、慌てているチャコの声が聞こえてきた。

「なによ、そんな慌てて」とチャコ。ちなみに、事務室のまま、店の備えつけの電話で話している。

「う……、ウサギが……」

「ウサギ?」チャコは眉を寄せる。

「はい……。ウサギが、いつの間にか、逃げ出してしまって」

「はあ? なにわけのわかんないこと」

「いや、二人で、バタバタお茶をかけあったり、キスし合っているのに気をとられてたら、そうなってしまったんですっ」

「えーと……」泉はテーブルに肘をつき、頭を抱えた。「ちょっと待って。チャコ、あんたどんなプレイしてたのよ」

「えっ、プレイ?」

「いや……、お茶かけあって、キスしてって……」

「はあ……。よく言ってる意味わかりませんけど……。とにかく、で、ウサギが逃げ出したんですよ」

「わかった。ウサギっていう名前の女の子ね。で、三人で、なにかをしていたら、その内の一人が逃げ出したと」

「ん? 話かみ合ってないようですけど……。と、とにかく、それでですね、そのウサギが、地下室に入り込んでしまったんですよ」

「なっ! ちょっ」泉は電話に口に手を当てて話す。以前、ユリたちが事務室にいるためである。「ちょっとっ。まずいじゃない。地下室には、アレが……」

「え、ええ、そうなんです」

「でも……、なんとか、アレは見つからなかったんでしょ?」

「いえ……。それが……」

「ん?」

「ウサギを探しにいった、他の人間がですね……。偶然、アレの部屋に入ってしまいまして……」

「バッ、バカ! なにやってんのよ!」

「す、すいません……」

「でも……」泉は自分に落ち着け落ち着けと言い聞かせながら「作動は、しなかったでしょ?作動さえしなければ、問題ないもんね」

「いえ……、それが……」

「ん?」

「ほら、さっき、ウサギがいる、って言ったじゃないですか」

「え、ウサギっていう名前の子でしょ?」

「ち、違いますよ。そのウサギが……。発進スイッチの上に乗っかちゃって……」

「なっ……」泉は絶句した。「ど、なにがどうしたら、ウサギが発進スイッチの上にのっかるのよっ! バカじゃないの?」

「はあ……。い、いや、カーザさんが抱えていて、ウサギが無理矢理逃げ出したんですけどね」

「ん、カーザさん?」

「それで、今外にアレが……」

「え?」

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