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勇者少女群  作者: お休み中
第三幕 赤い鎖
23/42

「邪魔が入ったわね」

 同時刻。

 とある高層ビルの、最上階にて……、

 三人の、黒い影が佇んでいた。

「あいつはなに者なんだ?」その内の、一人、壮香(そうが)りむが言った。手には、双眼鏡を持っている。「この距離で……。こちらに気づいていたようだったが」

「ふっ、気づくわけないじゃない」三人の中のリーダー格、()(ぜん)(いん)(いずみ)が言った。「なんキロ離れてると思ってるの? 偶然よ、偶然」

「しかし」りむは泉を見ながら「甘く見ない方が……、なにせ、相手は」

「わかってるって」泉はりむに振り向き、腰に両手を当てながら「花影塚ユリ……。私たちが、捜していた……、ただ一人の後継者なんだから」

「あのー……」と、三人の内、一番背の低い少女、()()チャコが後ろからやってきて「こ、これ……、一応、持ってきたんですけど、本当に……、その、プロジェクトと関係あるんですか?」と言って、一つの箱を差しだした。

「おっ、やっときたか」笑顔を見せる泉。

「ん? なんですか、それ?」りむは箱を覗き込む。

「見ての通り」

 泉は箱からそれをとりだし、つけて微笑んだ。

「ネコ耳よっ」

「はぁ?」りむは頬をひくひくさせながら「え、えっとちょっと待ってください。私の、幻覚及び幻聴かな……。あの、よければ、もう一回言ってくれますか?」

「ネコ耳よっ! しかも、白のフワフワ! 一番人気のあるやつっ!」

「いや、えーと……。その、まったく意味が」

「これはね、頭につける、アキバとかで流行ってる、アクセサリーみたいなものでぇ……」

「ち、違うっ! そういう意味じゃない! どんなものかは知ってますっ! だ・か・ら。なんでネコ耳なんか」

「あの……」と、チャコが「りむさんのも、ありますけど……」

「……ちょ、ま、まさか」りむは手を大きく横に振った。「あ、あのね……。止めてよね……。私、そういう趣味なんか」

「りむ、誤解しないで」真面目な顔で泉が言った。「これも……、科学の発展のためよ」

「いやいやいや! そんな科学滅んでしまえ! つーか仮にっ、それで科学が発展するとしても、人類としての尊厳は後退しますっ!」

「つべこべ言わずに」泉はネコ耳を持ちながら「つけるがよいっ!」りむに勢いよくダイブした。

「い……、いっ、嫌ぁぁあああああああ――――っ!」

 夜に、悲鳴がこだまする。

 それは、新たなる惨劇の合図。

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