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「ユリ、おやすみ」
「待て、服は着てくれ」
「む? 何故だ?」キュアは、ベッドの中で掛け布団に埋もれながら、こちらを向いて目をぱちくりさせた。ちなみに、思いっきり全裸である。「私はなんの問題もないが」
「いや、私がある」ユリは額に汗マークをつけながら言った。ちなみにユリはパジャマ姿。「なんにもなくても、せめて服は着てくれ」
「別にいいだろう。愛し合っている二人なのだし」
「確かに私は、お前を愛している。だが、それとこれと話はまったく別だ」ユリは目を細める。「なんでもいいから、せめて一枚だけでも着てくれ。寝れない」
「裸で寝ると、健康にいいんだがな……。まあいい。ユリがそう言うのなら、そうしよう」キュアはベッドから降りながら「なにか、借りてもいいか?」
「えっと、パジャマなら、その引き出しの上から二番目に」ユリは指差す。
「よし、じゃあこれにしよう」引き出しから、Yシャツをとりだし、自らの体に当てるキュア。
「ちょっと待て。まさか、下にはなにも着ない気か?」
「ん? ああ。もぞもぞして、どうも気になってな。上を着ているんだから、別にいいだろう」
「……しょうがない。とにかく、早く着てくれ」
「まったく、わがままなやつだな」Yシャツに袖を通し、ボタンをつけるキュア。
「明日は学校だからな。今日は早く寝よう」
「ダメだ。寝かさないと言ったろう?」布団に入りながら、キュアが言った。
「いや、なにもないんじゃなかったのか?」
「冗談だ」キュアはそう言うと、ユリの頬に手を当てながら「しかし、これでは蛇の生殺しだな……。我が国の文化が、こんな時に邪魔するなんて」
「破ってしまえばいいんじゃないか?」ユリが、ベッドに肘をつけ、その手で頭を支えながら言った。
「ならん。これは、決まりだからな。宗教上の意味もある。性行為は、成年してからだ」
「そうか……。じゃあ、気長に待つよ」ユリは体勢を仰向けにし、布団を首までかけながら言った。「おやすみ」
「待て」キュアがその手を止める。「提案がある」
「……なんだ?」
「接吻しながら、寝よう」
「……なんだ、それは?」
「文字通りだ。接吻しながら寝るのだ。接吻は、性行為には入らないし」真面目な表情でキュアが言った。「大丈夫だ。鼻で呼吸はできる。物理上は……、可能だ」
「いや、物理上どうこうじゃないだろ、それ。寝れるわけないって」
「寝れる。というか、寝れるはず。ていうか、むしろ寝ろ!」
「うっ、うるさ――――いっ!」と、上のベッドから、スミレが顔をだして大きな声で叫んだ。「静かにしてるっていうから、渋々いいって言ったのに、こんなやりとり下でやられてて寝れるわけがないだろうがあああーっ!」
「なんだ?」キュアが首を傾げながら言った。「フリフリ、お前今、悶々として寝られないのか?」
「うっさいバカーっ、さっさと寝ろおーっ!」




