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勇者少女群  作者: お休み中
第二幕 物語は、キミの微笑み
10/42

「なにっ? 風呂は別なのか? 地球では、恋人同士は共に入るのが法律だと聞いたが……」

「そんな愉快な法律は日本にありませんっ!」

 スミレたちは、一階のリビングでくつろいでいた。夕飯は先程食べたところ。準備が出来なかったため、近くの弁当屋で購入。

 リビングは、四人がけのテーブル席。スミレの横にユリ。スミレの対面にキュア。キュアの横にはミカゲ、という席順だった。

「残念だ……。背中流しっこしようと思ったのに」しょんぼりするキュア。

「すまない。うちの風呂は狭いんだ」ユリが言った。「こればっかりは、どうしようもない」

「むむぅ。手で作った水鉄砲をかけあって、わーきゃーやりたかったのに……」

「結構、粋な遊び方知ってるわね」スミレは頭に汗マークを浮かべながら言った。「しかも、わーきゃーって……」

「さて、そろそろ寝るとするか。なんだか色々あって疲れた」キュアは両腕を伸ばしながら言った。

「あのさ、未だに、変な能力について、詳しい説明がないんだけど」スミレは手を挙げ、目を細めながら言った。「そろそろ、説明してくんない?」

「なんだ、まだそんなことを考えていたのか?」とキュア。「もっと、考えるに値する有意義なことがあるだろう。たとえば、今ユリはどんな下着を着ているのか……、とか」

「……そんなことを考えていたのか?」ユリがキュアを見る。

「冗談だぞ」キュアは言う。「まあ、気にならないこともないのだが……」

「どっちよっ」つっこむスミレ。 

勇者(サージェント)は、とあるパワーを戦闘力に変えるんです」ミカゲは掌を広げながら言った。「ですが、少し前に大佐も言った通り、地球人は契約がないと使えません。ですから、そのために口づけが必要だったのです」

「ん、とあるパワーって?」スミレは首を傾げた。

「はい……、それは、愛のパワーです」

「えっと……」スミレは眉間を押さえた。「さっきキュアが言ってたの、本当だったんだ。愛のパワー……、ねえ」

「たとえば、結婚すると、お互いの愛の力が高まりますでしょう。すると、家庭を守る力が強くなる。それと同じことです」

「は、はあ……」

勇者(サージェント)は、こちらの言葉でいうと、戦士みたいなものですね。勇者(サージェント)の力を使うと、体の一部分、もしくは全体が変身します。大佐の場合は、手だけでしたが、違う場合もあります。人それぞれ、といったところでしょうか。ただ、共通する部分は……、契約者二人の、愛の力が強ければ強いほど、その力は高まりやすくなるということです」

「へえ……」スミレは額に汗マークを浮かべる。「まあでも、それが本当だと、ちょっと見てみたいかも。お姉ちゃんの、勇者(サージェント)

「いや、敵がいないのに、不用意に使うのはまずい」キュアが小さく首を振った。「無駄にパワーが消費され、本番時に万全の体制で臨めなくなる可能性がある。よって、変身するのは、敵が現れてからだ。先程の私の変身は特例だ。普段は出来るだけ使わない」

「しかし」ユリが掌を広げながら「本番でしか能力を使えないのなら、それまで、私たちに出来ることはないのか? ただ待っているだけなんて、もどかしいぞ」

「ふっ、あるじゃないか」キュア言う。

「ん、一体それはなんだ?」

「私たち二人の……、愛のパワーを増やすことだ」

「ふっ」ユリは口元を緩ませた。「愛は地球を救う……か」

「えっと……」スミレはミカゲを見ながら「どうしたらいい?」

「う、うーん」ミカゲは汗マークを浮かべる。「一応、間違ったことは言ってないんですけどねぇ。あの二人の口からでると……、どうもおかしな方向に」

「さあ、では、そろそろ寝るとするか」キュアは立ち上がりながら言った。「ユリ、ところで、夜はなんの時間だか知ってるか?」

「夜? さあ?」ユリは首を傾げる。

「愛が育つ時間さ」

「あのぉ……」スミレが手を挙げる。「そのベッドの上にいるの私なんだから、くれぐれも、そういうのは止めてよね。ほんっとに。絶対静かに寝ててよね」

「大丈夫ですよ」ミカゲが微笑む。「星の決まりで、そういうのは、固く禁じられてますから」

「心配だなあ」目を細めてキュアを見るスミレ。

「ユリ……、寝かさないぞ」キュアが言った。

「おいっ、やっぱダメだろっ!」

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