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ゲームの世界に転生?  作者: まほろば
2の町と3の町
7/95

クエスト



ずんずん歩いたから昼過ぎには次の2の町へ就いた。

2の町は始まりの町の半分もない小さな町だった。

地図で見ると3分の1くらい。

始まりの町は初心者が集まる町だから大きかったのかも。

次の町への食糧と水袋と鍋とお茶とコップを買ってその足で町を後にした。

確か次の3の町へは徒歩5日だったはず。

ステータスから地図を開くと、今出てきた町が黄色くなっていた。

な、何で?

あちこち開いてみると、2の町のクエストが未達成になっていた。

2の町のクエストは初級ポーションの納品。

最初の時は初級ポーションを買うお金が無くて、丸2日をポーションの素になる薬草採取に費やした苦い記憶があった。

転生してからはクエストが復活とか無かったのに、何で今回はあるの?

疑問に首を傾げながら始まりの町のクエストを見た。

始まりの町のクエストは薬草採取10回。

その横で初心者のダガーが点滅していた。

点滅の上にパーティーと書いてあるのを見たらがっかりしてしまった。

ソロの私にパーティークエストって…。

2の町のパーティークエストは初級ポーション5個の納品になっていた。

初級ポーションはあるけど…、ソロじゃクリア出来ないじゃん。

いじめ?


大きく深呼吸して出てきた町へと戻る。

地図で確かめた冒険者ギルドへ着くと、早速初級ポーションの依頼を探した。

幸い依頼は初級ポーションとあるだけで採取は書かれていなかった。

依頼の紙と初級ポーションを手に受付カウンターの列に並んだ。

中々列が進まないので前を覗いてみたら、男の人が少女を怒鳴り付けていた。

「ご免なさいご免なさい。お願いですからパーティーに置いてください」

「パーティーに聖者はいらねぇんだよ!」

聖者?

疑問に思いながら改めて栗色の毛の少女を見た。

金髪じゃないけど?

私が不思議がってる間に、少女はパーティーから外されてしまったらしい。

列が進みだしたのでよたよた前の人に続く。

男の人が冒険者ギルドから出ていったのは見たけど少女がその後どうしたのかは気にならなかった。

順番が来て、依頼書と初級ポーションをカウンターに乗せた。

悔しいけど、これでこの町のクエストは終わり。

カウンターから離れて歩き出そうとすると、受付のお姉さんからCランクへの昇格を知らされた。

手続きに少し時間がかかるからと、横の椅子で待つよう言われる。

手持ち無沙汰で、壁にある初心者冒険者の手引きとか読んでみたけどつまらなくて時間を潰せなかった。

他人と目が合わない程度にギルド内を見渡す。

目に着いたのはさっきパーティーから外された少女。

何を熱心に見てるのかと思ったら、パーティーメンバー募集板らしかった。

外されたその足で、直ぐに新しいパーティーを探せる彼女に脱帽する。

私なら…、何日も立ち直れないと思う。

現に、始まりの町でパーティーを断られた事実がトラウマになりかけてた。

名前を呼ばれてカウンターへ行くと、カードの他に1枚の用紙を渡された。

見れば初級ポーションの代金を請求する書類のコピーだった。

中身は、あの4人から初級ポーション5本の代金を冒険者ギルドが責任を持って回収してくれるらしい。

間違いはないかと訪ねられてそうだと頷いた。

ウサギの時の1本を今から足すのは説明がめんどくさいし、あのきつい子が素直に払うとは思えなかったから書くのは止めた。

「代金はギルドで回収してカードに入金しておきますね。定期的に残高を確認してください」

頷いて冒険者ギルドを出て、その足で2の町を出た。


歩きながら焚き火の後を探して休憩する。

焚き火と焚き火の間には法則がありそう。

それが何かを考えるのが面白かった。

日が沈みかける前に焚き火跡に着いた。

辺りを見渡して人影が無いのを確かめてからアイテムボックスの中のテントを取り出した。

テントに掛かっている隠蔽の魔法をオンにする。

これで魔物にも人にも知られず朝まで寝られる。

この2日の寝不足を一気に取り戻す様に串焼きを3本食べて寝転がった後は、朝まで記憶がなかった。

翌朝、起きたらもう太陽は真上で昼近かった。

寝惚けた頭でコップに水を注いで飲んだ。

頭が冴えてきて、朝ごはん代りの丸いパンをかじりながら3の町のクエストをステータスから確かめた。

3の町のクエストは、麻痺を治す薬を作る赤い実3個の納品だった。

これも中々見付からなくて苦労したヤツだ。

2の町と3の町の間にある道から少し外れた森の中に、私の身長くらいの低い木に赤い実がなってる。

その実を3個。

森の動物たちの水分補給にもなる実だから、最初の時は傷のない実を見付けるのに一苦労した。

今回もスキルの探索を掛ければ見付けるのは簡単だろうけど、薬に使う傷のない実を見付けるのは苦労しそうだった。

パーティークエストは3の町で買える装備の納品。

買って終了って…。

このゲーム、ソロに意地悪なゲームだったんだね。

テントをしまって、歩きながら森へ探索をかける。

初日、2日目と探索に実は引っかからず3日目に小さな反応があった。

反応を便りに森の中へ入っていくと、まだ低くて若い木で実はほとんど食べられた後だった。

次を見付けるしかない。

地図を見ると、3の町までのもう半分以上来ている。

早く見付けないとって気持ちばかり焦せった。

やっと3つの実が見付かったのは、3の町へ到着する日の昼前だった。

最初の時はスキルの麻痺耐性も無かったから自分用にも実をもいで薬の調剤をお願いした記憶が懐かしい。

持ち込みなのにかなりな金額だった記憶がある。

3の町は2の町より少し大きくて、お店の種類や扱ってるものも始まりの町みたいに豊富だった。

早速冒険者ギルドで実を納品する。

ステータスからソロクエスト完了を確かめて閉じようとした。ら、イベントが黒くなってるのが見えた。

毎回あったのに何故今回は無いの?

諦めて町を見て回った。


次の4の町までの食糧や髪をとかす櫛を買う。

始めての町で買った櫛は使う度に歯が折れてしまって困ってたから折れない櫛はうれしかった。

この1週間は体の汚れを落とすスキルだけでお風呂に入ってないから、今日は宿に泊まってゆっくり髪と体を洗いたかった。

服を着ながらミストのシャワーを浴びる感じのスキルだから清潔なんだけど、やっぱり日本人だからお風呂に入らないと1日が終わらなかった。

屋台のおじさんから勧められたお風呂のある宿にチェックイン。

相部屋じゃなくて個室を希望したら、宿のおばさんが急に親切になった。

3人用の相部屋なら1人銀貨1枚なのに比べて、個室は1人銀貨5枚。

高いけど他人と同じ部屋では気を使って眠れそうもなかったし、もしもだけど、もしいびきとかかいてるなら同室の人の迷惑になる。

色々考えると個室は譲れない選択だった。

ご飯の前にまずお風呂。

夕飯は宿でとったけど、塩が足りなくて物足りない野菜スープだった。

食べ足りなくて夜の町の大通りを散策。

ゲームの中でも治安は良くないから、夜に路地へ入るのは襲ってくださいと自分から言うのと同じ。

美味しそうな食堂に入って夕飯をリベンジしてから、明日のご飯にしたいとお弁当を2つ作って貰った。

屋台も美味しいけど、こうしてお弁当も嬉しい。

贅沢を言えば、そろそろパンに飽きてきててご飯が恋しかった。

確か中盤以降はご飯があったような…。

あやふやな記憶だけど確かにあった気がした。

ふと鞄屋が目に入る。

小振りの肩掛けタイプの袋が目を引いた。

グレーと薄い黄色の斜めストライプ。

これなら斜めに背負える。

値段は金貨1枚と高かったけど気に入ったから買うことにした。

店主に欲しい袋を指して金貨を見せる。

「あれは魔法の袋じゃないぞ。それでもいいんだな」

店主の確認に頷く。

宿へと歩きながらステータスから残金を確かめる。

残金は大金貨29枚、金貨3枚、銀貨12、銅貨7枚だった。

初めは大金貨35枚あったのに約40日で大金貨5枚以上が消えた計算だった。

独りなら一月大金貨2枚もあれば余裕で間に合うのに、何で?

始まりの町で売った装備の代金もあったのに、何でこんな減ってるの?

自分、使いすぎでしょ。

あ、お風呂だ…。

1回銀貨5枚のお風呂が財布を圧迫しているんだ。

…むり、お財布危なくてもお風呂無いのは無理。

…売ろう。

道路の両側を見回して装備を売る店を探した。

目に着いた鍛冶屋に入って、装備を売りたいと書いて店主に見せる。

まずこの町と次の町で手に入る装備を今さっき買った袋から1つづつ出した。

店主は装備をちらっと見て信じられない安値を提示してきた。

安過ぎると書けば、なら他所へ行けと返ってきた。

頷いて装備を袋へ戻そうとすると私の手首を捕まえて慌てて止めてきた。

「喋れないお前から買ってやろうと言ってるんだぞ」

ぐいっと引いて手首を取り返してから、ノーと店主に首を降って店を出た。

悔しくて涙が出そう。

宿へ帰って、装備を何点か売りたい事を伝えると売れる店を教えてくれた。

裏町にある店だけどおばさんの親戚が開いてる店だから安心してと手紙を書いてくれると言ってくれた。

翌朝、手紙と一緒に渡された地図を便りに目当ての鍛冶屋を探す。

見付けた店は小さくて、おじいさんが独りで開いている店だった。

手紙を見せて、袋から昨日の2点を出してみる。

ちょっとおまけの金額に頷いて、ここでもコレクション用を残して全部売った。

受け取ったのは大金貨3枚。

おじいさんにお礼を伝えると、またこの町へ来たら寄りなさいと穏やかな笑顔で見送られた。



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