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ゲームの世界に転生?  作者: まほろば
43の町から50の町
69/95

別れ



カレンが連れていかれた場所の見当は着いてた。

それでも助けに行く気持ちにはなれなかった。

レナルドが待つ宿に戻って、見張りの兵士が居なくなっていて使用人が部屋を掃除していたと伝えた。

「居なくなってただって?何故目を離したっ!お前の失敗だぞ。次の作戦では絶対失敗するな」

怒鳴るレナルドを黙ってみた。

カレンみたいだと思った。

私の失敗?

レナルドも私のせいにするんだね。

あっ、て顔で私を見たレナルドを冷たく見返す。

「悪かった。つい興奮してしまった」

『宿から何処に移されたかはレナルドも分かるはず、冒険者の私に協力できるのはここまで』

「本当に悪かった。謝るから協力してくれ」

『無理』

「俺を見捨てるのかっ!」

『私に軍と戦う力があると思ってるの?』

「だから仲間を集めれば軍からカレンを救出出来る」

『本気で思ってるの?』

どこまで馬鹿なんだろう。

「出来るっ!」

『私はあなたの仲間にはならない』

「アンリっ!」

レナルドの、腕を掴みにきた手をするりと避けた。

ドアを開けて外に出ても、レナルドは悔しそうにするだけで追って来なかった。

解放軍の生き残りはカレンとレナルドだけ。

仲間が欲しいのは分かる。

でも間違ってるよ。

もう遅いし、36の町の宿にはもう泊まれない。

こうなったら、48の町の宿に泊まろう。

前の姿で泊まろうかと最初思ったけど、絡みもめんどくさいしロンの話を聞くのも辛かった。

今の女の子の姿で、48の町に宿を取った。


翌朝から、改めてダンジョンの攻略をしなおす。

1階、2階と降りながらあの少女を思い出していた。

今頃何階に居るんだろうか。

1日で5階まで攻略出来た。

翌日、6階から始めて10階を攻略しても夕食には早かったから11階に降りた。

その11階で、少女と一緒だった青年に会った。

青年はソロらしかった。

魔物にてこずって傷だらけだった。

まだ降りたばかりの場所だから10階に逃げればいいのに、青年は必死に剣を振り上げていた。

見殺しにもできないから、青年が戦っていた魔物を倒して引き摺りながら出口まで連れて行った。

「あ、ありがとう」

外に出て安心したからか、青年はお礼を言いながら私の方を見た。

「え?女の子?」

驚いた後の青年の目付きにゾワッとした。

利用する者を見付けた上級生の目と同じで、背中がぞわぞわして逃げたしたかった。

「君強いね。パーティー組んで一緒に攻略しない?」

ノー、と首を振って宿に戻った。

翌日11階から15階と、番人まで攻略して宿に戻ると昨日の青年がいた。

「君もこの宿だったのか、偶然だね」

青年の笑った顔で、昨日つけられてたと気付いた。

この宿に移ってきたのは私を仲間にするためだ。

夕食で同じテーブルに座ってくるから場所を移した。

「別に避けなくてもいいだろ」

青年もテーブルを移ってくる。

周りの視線を感じながら、もう1度席を変えた。

「止めておけ」

しつこく後をついてくる青年を、居合わせた冒険者たちが止めた。

「俺はダンジョンで助けて貰った礼を言うだけだ」

「なら追い回さず言って帰れよ」

「見ててみっともない」

青年は言われて怒ったのか冒険者に言い返した。

「彼女が1人だから、Bランクの俺がパーティー組んでやろうと思ったんだろ」

冒険者たちが私を見たから短く言った。

『頼んでない』

「だとよ」

冒険者たちが可笑しそうに青年に言うと、青年は更に怒った顔で食堂を出て行った。

『ありがとうございました』

「礼は良いさ。気を付けろよ」

「また絡まれたら俺たちに言いな」

「また助けてやるよ」

何度も頭を下げて部屋に戻った。

翌日からも順調だった。

あの青年は翌朝宿を引き払って違う宿に移った。

ダンジョンの中でもニアミスしなかった。

目指す裏ボスは黒のゴースト。

ピコーーン。

天井の蝙蝠と一緒に光のシャワーで消した。

ポーーン。

レベルがいっきに2上がった。

ドロップは盾。

氷のダンジョンのドロップより防御は低いけど、それなりに良品だった。

その日はそこまでにして宿に戻った。

竜のダンジョンじゃないからか、裏ボスは毎回盾をドロップした。

ボスと裏ボスでもう少しレベルを上げたい。

それからの1週間は28階から30階を毎日歩いた。

レベル147まで上がると、もう経験値が期待できなくなってきた。

ボスも裏ボスも日付が変わると復活する。

何度ボスを倒しても上がる感じがない。

疲れて宿に戻ると、あの青年の話になっていた。

「あの野郎、弱そうな女のパーティー見付けりゃ近付いて食い物にしてやがった」

「明日から覚えてろ」

一昨日からこの宿に泊まってる女性3人のパーティーに近付いて、言葉巧みにお金を貢がせてるらしい。

今日、泊まってる冒険者の1人がその現場を見付けて追い払った事で明るみに出たそうだ。

「お嬢ちゃん良かったなー」

夕飯を食べてる私を見付けた冒険者がそう言った。

うんと頭を下げた。

「あの野郎、弱い女と見れば金たかって金にならない女は店屋に売ったってよ」

え?

店屋に売った?

まさかあの少女を?

思わずスプーンを落としてしまった。

本線の町より少ないけど、ダンジョンのある町だから50件は家がある。

あの青年に問い質すのが近道だけど、後がしつこそうだから自分で探そう。

見付けてどうするのかって考えた時、迷った。

あんな青年だから少女の意思で別れた可能性もある。

それに青年から逃げてこの町に居ない可能性もある。

居なければ無意味だ。

考えるより今は探そう。

もし困ってたらその時考えればいい。

私は神じゃないから、困ってる人全部は救えない。


翌日から少女を探した。

町の端から順番に。

普通の家も全部調べた。

居るのが酒場とは限らないから。

調べた中に、二十歳くらいの女の人が気になった。

八百屋に買い物に来た女の人で、お喋りなおばあさんがその女性の身の上を教えてくれた。

両親が借金を残して死んで、立て替えてくれた叔母夫婦に引き取られたそうだ。

その叔母夫婦の家で使用人代わりに働かされてると、おばあさんが話していた。

気になるけど、少女も気になった。

探し歩いて、翌日酒場で少女を見付けた。

私が酒場に行くわけにもいかないから、宿の冒険者に様子を見てきてくれるよう頼んだ。

苦しい作り話だけど。

青年がダンジョンで、冒険者に少女の事を話してるのを聞いたと言った。

自分と同じくらいだから可哀想だと言ったら、冒険者が簡単に引き受けてくれた。

少女は店に大金貨10枚の借金をしていた。

あの青年にそのお金は渡したらしい。

大金貨10枚働いたら、青年と結婚すると少女が言ってたと冒険者が言った。

誰が考えてもそれは嘘だと思う。

少女が可哀想だと言う冒険者に、少女の借金と同じ大金貨10枚と利息と言われたらの5枚を渡した。

その日の夜には冒険者が少女を宿に連れ帰ってきた。

みんなで良かったなと少女を歓迎した。

少女を迎えに行った冒険者は、大金貨10枚と利息も取られて大金貨1枚を自腹で払ったと威張ってた。

その1枚を私に出せと言ったから、店に確かめてから払うと言うと舌打ちして酒盛りに戻って行った。

本当の借金は大金貨10枚と利息の1枚で、11枚だったらしい。

後から酔い潰れた冒険者が、4枚くすねたと自分で言っていたそうだ。

少女の念願の冒険者になる夢を、叶えてやるとみんなが言っていた。

その会話にホッとしながら、私は女の人が買い物に出たところを待ち伏せて短い時間話した。

女の人の名前はエリス。

昔は冒険者に成りたかったと言っていた。

私のメモにビックリしてたけど、追求はしてこない。

私から、喉が悪くて長く喋れないからメモにしてると書くと納得してた。

この人なら、と試しに初心者の剣を振らせると、ふらつかないし素質は有りそうだった。

『私が借金を立て替えたら、冒険者をしてみたい?』

「両親が冒険者だったから、可能なら冒険者で暮らしていきたい」

エリスなら少し経験を積めば一人立ち出来そう。

エリスの親戚に挨拶して、エリスの両親の借金のみを肩代わりして払った。

エリスが両親の借金の額を知っていたがら、叔母が金額を盛っても払わなかった。

今まで育てたお金も返せと言い出したけど、それならお喋りな八百屋のおばあさんに言い触らすと返したら悔しそうに口を閉じた。

初級の上級の装備を出して、エリスと1階からダンジョンを歩いた。

エリスの実力が知りたいから後ろから付いていった。

1日で3階まで攻略して、宿は2人部屋に変えた

「装備だけじゃなく宿まで」

エリスが深々とお辞儀したので、焦ってしまった。

食堂で冒険者のみんなに引き合わせた。

翌日、4階から6階を攻略すると見知った顔がちらほら見えるようになった。

エリスで倒せなくて私が倒したとき、エリスはポカンと私を見ていた。

「アンリって強いのね」

『ソロで15階まで行けるよ』

「凄い」

3日目は7階から9階で、そろそろエリス1人では倒せなくなってきた。

エリスからもパーティーの話が出て組んで欲しいと言われたけど、もうパーティーを組んでるから無理とごめんなさいした。

自分だけ先に下見に来てると話した。

7階から9階のドロップを売ると予想外の値段になって、エリス1人なら十分暮らせた。

そのうち気の合った仲間が出来たらパーティーを組んだら良いとか話した。

助けた少女も冒険者と組んで実力を上げてるし、そろそろ私も移動先を考えたりしていた。


その日は突然来た。

少女と一緒に行動してた冒険者が凄い勢いでみんなが朝食を食べてる食堂に来た。

「あいつが居ないっ!」

有り金も全部無くなっているそうだ。

この半月、恋人同士のようにいちゃいちゃしてたから最初は誰も信じなかった。

もちろん私も。

エリスが女性だけ3人の冒険者パーティーに誘われてお試しでダンジョンに潜る日だったから、みんな少女の行動を気にして見てなかった。

話だと来月結婚して冒険者の田舎で暮らす話が決まっていたそうだ。

手分けして町中探したけど、少女は見付からない。

そんな中エリスが女性パーティーに入る事が決まって、私もエリスが慣れるまでの1週間をパーティーのサポートに一緒に潜った。

パーティーの実力は12階まで攻略出来るから、4人パーティーで十分採算があった。

パーティーに、1度見てみたいとお願いされて15階へ連れて行くと震えてすいませんでしたと言われた。

エリスもパーティーメンバーと楽しく暮らせそうなので、私はまた温泉に行こうとしてたところに少女を見たと思わぬ情報が入ってきた。

少女は違う酒場に居た。

会いに行った冒険者の話だと、あの青年にそそのかされて有り金持って近くの村に隠れ住んだらしい。

でもお金が無くなったらまた酒場に売られた、と少女は冒険者にすがって泣いたそうだ。

もう1度と言われて、冒険者は無理と言ったらしい。

また誰か馬鹿な男が現れると言って、店を出てきたと宿で酔いつぶれてた。

恋は怖い。

いつか私も、と思ったら身震いした。




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