表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの世界に転生?  作者: まほろば
バック30の町から
59/95

討伐



翌朝、食堂の声を風魔法で聞きながら40の町へ向かう仕度をした。

朝食の時間も惜しくて、食べずに行くつもりだった。

そんなところに飛んできた情報は爆弾だった。

「チェスター国に軍の内通者がいるぞっ!」

「あの氾濫の魔法使いの情報も軍に売ったっ!」

!!

ルルっ!!

心臓が止まるかと思った。

急いでクラークさんに念話した。

『クラークさん』

『ルアンか?何処にいる』

『43の町です』

『間に合ったか、直ぐに戻ってこい』

クラークさんは何度も念話してくれてたらしい。

『すみません』

『話は後だ、voiceを切って冒険者ギルドへ着てくれ』

『分かりました』

急いで宿を引き払い、宿の裏からクラークさんのいる冒険者ギルドへ転移した。

『遅くなりました』

メモに走り書きした。

「モナーク国の軍が、内通者として国民にルアンの名前を出している」

『私?ルルじゃないんですか?』

ビックリ過ぎてクラークさんの顔を見てしまった。

「ルルは数日前に消えた」

どう書いていいのか言葉が無かった。

「チェスター国として、モナーク国、ハルツ国、冒険者ギルドと商業ギルドに向けて公文書を出した」

『公文書ですか?』

「チェスター国から追放されたクララとその娘のルルへの情報の徴収。それを悪用してチェスター国民のルアンに内通者の汚名を浴びせた事実をモナーク国の軍と冒険者ギルドに強く抗議した文書だ」

『それこそ偽だと言いそうですけど』

「その方が助かるな。モナーク国の軍が否定すれば、チェスター国は2度とモナーク国を助けない」

話が理解できない私を見て、クラークさんは笑った。

「肯定すればモナーク軍の恥を国内外に晒す事になる。否定すれば氾濫の討伐を頼めなくなる」

クラークさんは職員が集まっている奥を指した。

そこには大きな大陸全部の地図が広げられていた。

モナークには氾濫の前兆の大きな光が3つ。

ハルツにも2つあった。

光の大きさから見ると、前兆の魔物の数はまだ1000に満たないと思う。

…嘘。

ステータスの地図と目の前の地図を見比べたら、大きさと数が全然違った。

ステータスの地図は昨日と殆んど変わってない。

クラークさんを見たら苦笑された。

…これは近未来の地図だ。

「明日の朝だ」

クラークさんは短くそう言った。

兆しが1日で…。

『モナーク軍には龍人が付いていると話してました』

緊張して書いた。

「ルアンは龍人が誰か知っているのか?」

『いいえ。今日見に行くつもりでした』

「モナーク軍が捕獲した龍人はグラムだ」

『そうですか』

やはり、だった。

ならカレンは?

『一緒に居たはずのカレンは?』

「一緒に捕らえられた」

…やはり。

『モナーク軍が捕らえた龍人がグラムなら、チェスター国に来れないはずです』

「その理屈をモナーク軍が理解できれば、滅亡への道に足を踏み入れないさ」

有り得ないと思いながらも、軍にそう話したのはカレンの気がして仕方無かった。

「ルアン。3日、動くな」

モナーク国は軍をあげて私を探してるらしい。

『何故3日何ですか?』

「氾濫を討伐出来なかったモナーク軍がどう出るかで、チェスター国の出方も変わるからだ」

『かなり被害が出ると思いますが』

「モナークは人が増えすぎた、良い機会だ」

クラークさんの冷たい言い方にゾッとした。

その日から冒険者ギルドの仮眠室を使わせて貰って、入ってくる情報をリアルタイムで聞いた。


それからの3日は長かった。

聞きたいカレンとグラムの情報は殆んど無くて、崩壊した被害ばかりが届いた。

「ルアン。氾濫の討伐を頼めるか?」

この時モナークには2つ、ハルツには1つの3000を超えた氾濫が起きていた。

『こちらから動くんですか?』

「モナーク国じゃない。救援依頼はハルツからだ」

『ハルツからですか』

地図から見る被害はモナークの方が大きい。

疑問に思ってたらクラークさんが言った。

「氾濫はハルツの王都に向かっている」

『世界樹に?』

冒険者ギルドの地図とステータスの地図を重ね合わせてみると、町から離れた村の感じだった。

『残念ですが、光ってる場所まで行く方法があり』

「11の町へ迎えに来るそうだ」

書いてる途中でクラークさんの声が重なった。

『11の町の乗り場は警戒されてると思いますが』

「そこが問題なんだが」

『11の町にあった、ウサギの鞄屋の前では?』

「鞄屋?」

『相手が転移を使えればですが、そこなら裏町ですから見付かる危険は少ないはずです』

「分かった。それで話を進める」

話が決まったのはそれから3時間くらい後で、その1時間後には落ち合う手はずが整っていた。

約束の時間の5分前、指定した場所の近くに転移して周りの様子を確認した。

感じる気配は5人。

念のため、しっかりバリアを張った。

時間が迫ると、3人の犬の耳の青年が店の前に出できて周囲を見渡した。

時間ジャストに擬装に金髪の私が転移で出る。

一瞬で空気が固まったけど構わす念話した。

『案内を』

「先に目隠しをしろ」

『断る』

モナークと似たやり方にげんなりしていたら、隠れていた2人が魔法を唱え始めた。

『これがハルツのやり方か』

唱える2人を魔法で縛り付けて引き出した。

「人間は信用できない」

『決裂だな』

そのまま10の町の冒険者ギルドに転移した。

「ルアン」

驚いてるクラークさんに事情を話した。

氾濫の渦が迫っているハルツ国からの非難を、クラークさんは逆に非難で返した。

ハルツからはそんな非礼はしないと返って着たから、クラークさんが魔法使いまで用意していたと返す。

何度かの応答で事実を理解したハルツ国側は、誠実の証に王族に迎えに行かせると言った。

『なら、末の王子を』

「分かった。場所は?」

『同じ場所が使えるか見てきます』

飛んだ町外れから鞄屋まで歩いた。

幸い辺りにモナークの影はない。

無いけど、ハルツの魔法使いの影は増えていた。

めんどくさい。

戻ってクラークさんに伝えた。

ステータスの地図も氾濫が村を飲み込もうとしてた。

『残念ですが、間に合わなくなりそうですね』

往復2回の転移で地味に魔力が削られてる。

その話もクラークさんにした。

100に届いてないレベルが魔力不足を呼んでいた。

夜になって、ハルツがチェスターの条件を全て飲む形で再度鞄屋の前で接触した。

「ハルツの末の王子だ」

きらびやかな衣装の精悍な青年を、付き添ってきた老人がそう紹介した。

「これで満足だろう。こちらの条件も飲んで貰う」

老人の後ろから縄と目隠しを持った青年が現れた。

『私に見分けが付かないと思っていたのか』

その青年と懲りずに唱える2人を魔法で縛り付けて前に引きずり出した。

『私は奴隷商に居た末の王子を知っている』

ハルツ側は一瞬動揺したけど、本物だと言い張った。

『骨格から変わるとか、面白い冗談だ。決裂だな』

「待ってくれっ!」

偽王子が転移しようとした私を動揺した声で止めた。

「私が弟の代わりに人質になる。それでハルツを助けて貰えないか」

声の必死さに改めて青年を見た。

『お前は?』

「ハルツ国皇太子キング」

『愚かな行為を重ねるハルツの何を信じろと?』

皇太子キングの返事より先に周りがうるさくて、げんなりしたのが顔に表れたんだろう。

キングが厳しく一喝した。

「すまない」

悔しそうに口を閉ざした4人を見て、キングを見た。

『条件が1つ』

「言ってくれ」

『キングは転移が使えるか?』

「使える」

『私を共に転移が可能か?』

「可能だ」

『この先はキング1人。それが条件だ。キングを信用したわけではないがその4人はもっと信用できない』

今にも殴りかかってきそうな4人をキングが止めた。

「これ以上ハルツの恥を晒すなっ!獣人の誇りを捨て人間に成り下がりたいのかっ!」

キングの言葉が偽善に聞こえる自分に笑えた。

「時間がない。同行して欲しい」

私が頷くと、キングがすぐ横に来て転移した。


視界が歪んで戻った先は空気の澄んだ森だった。

勝手に高い木の上のイメージを持っていたから、見えた光景をぐるっと見回してしまった。

後ろに西洋みたいな城と町が広がっていた。

視界を前に戻せば、魔物が透明の壁を叩いていた。

ハルツ国にも結界が有るのか?

「壁がもうもたない」

キングが目の前の結界を指して言った。

『私をあの真上に飛ばせろ』

「何をする気だっ!」

『討伐』

氾濫の渦を見て、キングを見た。

「本気か?」

キングがごくりと唾を飲んで、私を飛ばせた。

落下するに任せて全体の雷魔法を使う。

ポーーン。

レベルの上がる音が連続した。

風魔法で落下速度を抑えながら、2発3発と雷を落とし風魔法で素材の回収する。

レベルが上がっても魔力が足りるか危なかったけど、最後の1匹までしっかり倒してから転移で戻った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ