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ゲームの世界に転生?  作者: まほろば
ハルナツさんの村で
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討伐とクララとルル



翌朝、夜明けから討伐スタート。

明るくなって魔物の強さを改めて測ってみる。

昨夜と出る魔物が殆んど変わらないから、氾濫の予兆では無さそう。

数も50頭はいないし、動きもバラバラ。

きっと集まりやすい条件が揃っただけだと思う。

村に近い魔物から腕輪の雷魔法と剣で倒して、村人が一斉に解体する。

そのスピードは思ったより速くて、昼までに3頭解体して土に返した。

このペースだと1日多くて7頭、ざっと4日は掛かる計算に村人の体力の方が心配になった。

『体力勝負ですね』

ハルナツさんに言えば、大丈夫と笑われた。

「力だけは自慢の人がいますからねぇ」

「そうですよ。ここで良いところを見せないと、娘に家へ入れて貰えなくなりますからねぇ」

ははは…おじさん可哀想に。

最初は胡散臭そうに見てた村人も、2日目3日目となってくると態度が変わってきた。

それは村長も同じだった。

「出来れば食用の肉になる魔物は後回しにして貰えませんか」

討伐の目処が付いたら欲が出たらしい。

『埋めるとき印を付けておいて後から掘り返せば良いと思いますが』

「それでは鮮度が」

『なら私は降ります。村人を守りながらの討伐は危険が高いので残りは冒険者ギルドに依頼してください』

その話を村人から聞いて、ハルナツさんが村長をやり込めた。

「私は村の事を思ってだね」

「冒険者ギルドの冒険者が逃げ帰ってしまったから」

「私たちがお願いして来て貰ったんですよ」

「それを肉が取れる魔物を後回しにしろとか」

「よくそんな事が言えますね」

おどおどとハルナツさんに言い訳して無駄だと分かると、最後は私に任せると逃げていった。

それからは手を変えて、村の青年を私との連絡に使ってくる。

村長の気持ちも分からないではないけど、気持ちの無い2人を取り持とうとするのは止めて欲しい。

そんな中、クララさんの家の裏でクララさんの娘とあの連絡係の青年が口争いをしていた。

青年は少女に求婚してるみたいだけど、少女ははっきり嫌と言っていた。

もし私に気に入られれば嫌でも村のためだと結婚させられる。

青年はそうなる前に少女と結婚したいらしい。

聞いててムカついた。

確かに地味子ですが?

そんな毎日を4日続けて、やっと明日には一掃出来る目処が着いた。

「ルアンのお陰で村が生き返ったわ」

「ありがとう」

『その言葉は終わってから聞きます』

「そうね」

「私たちもルアンにずっと居て貰いたいの」

「クララさんも良い話し相手が出来て最近はとても体調がいいし」

「どうかしらねぇ」

無理だと思った。

この村に5日居て、人が近すぎて落ち着かなかった。

「その顔は無理みたいね」

「残念だわ」

村の人みんなが優しいから1日とか2日とか滞在するなら満点だけど、ここでずっと暮らすとなれば違う。

今まで人に拒絶されて生きてきた私には、この村の人と人の交流がずっしり背中に重かった。

翌日一掃を終了して村長から大金貨50枚を貰った。

村長からも村に残ってくれと頼まれた。

また増えたらと恐れてるらしい。

なので今回は偶然が重なって数が増えただけで、この先も繰り返す事はないと話した。

もしまた発生したら私が来るから、と安心させた。

その夜は泊めて貰って、翌日に旅立つと決めた。


最初はチェスターに帰ろうと思ったけど、カレンとガウが気になるから27の町まで行こうと思い直す。

離れてもクラークさんと話せる事から考えて、近距離で念話出来たら長距離もいける。

ちょっと乱暴な仮説だけど近いと思う。

もしカレンと繋がらなくても、ガウとは絶対繋がれる確信があった。

繋がればチェスターに居ても連絡が取れるし、ピンチの時は助けにも行ける。

だから会いに行こう。


その日の夜はクララさんが寝るまで通訳だった。

討伐が終わるまで、と思って我慢していた、と言われたら疲れていても断れなかった。

クララさんが寝てから少女と少し筆談した。

少女の名前はルル。

将来は冒険者をしながら薬剤師に成りたいそうだ。

本線の町の本屋で調剤の本と装備を買いたいらしい。

だからあの青年の求婚を断ったのか。

私の戦いを見て、冒険者になりたいと思う気持ちがなお強くなったとルルは言った。

『19の町では良い装備も買えないし、ルアンが羨ましい』

『本は無理だけど、装備なら予備が何点か魔法の袋にあるからルルが欲しいのあげるよ』

『本当ですか。ありがとうございます』

『明日、発つ前に見せるね』

『あの、出来ればで良いんですが慣れるまでパーティーを組んで貰えれば…』

『ご免なさい。友達と連絡が取れないので、彼女が行くと言ってた27の町へ行きたいの』

20の町から先はまだ行ったこと無いから、ルルを連れて行ってもし何かあったらクララさんに申し訳ないから今回はごめんなさい、と理由も話した。

『友達が…、大変ですね。お友達も冒険者ですか?』

『うん。頼れるお姉さんなの』

『ルアンさんも強いですよ。それにその腕輪』

ルルは目をキラキラさせて腕輪を見てる。

『譲って貰う事は出来ませんか?』

『これを持ってるのが軍にバレると没収されるよ』

ホントに没収されてもう一回取りに行ったと話した。

『軍がですか?戦争するからかなぁ』

『決まったの?』

最初は敬語だったけど、話してるうちに口調も変わってきた。

『27の町の先でしてるって大人が言ってた』

えっ!

『本当なの?』

『本当なのかは大人に聞いてみないと』

ルルも大人が話してるのを耳にしただけだと言う。

その後もルルの関心は手首の腕輪だった。


翌朝、ルルに初級の上クラスの装備を見せた。

最初は私と同じ装備が欲しいと言われて、これしかないからあげられないとやんわり断った。

それなら…、と綺麗な青の装備を可愛いと選んだ。

ハルナツさんと村長へ旅立つ挨拶に行く前に、クララさんの家へ寄った

『また着ます。それまでに体を治して下さいね』

「ありがとう。あのね、お願いがあるの…」

クララさんは、昨日ルルが欲しがった腕輪を護身用にくれないかと言った。

装備は冒険者の命を守る大切な物。

クララさんはルルのために護身用と偽った。

母としての子を思う気持ちは分かるけど、それはしちゃいけない事だと思う。

これってあの試しに着せてって言って、予備があるならこれ頂戴って言ったヨハンと同じだ。

『クラークさんが冒険者なのはご存じですか?』

「ええ、最初の装備は私がプレゼントしたので良く覚えてます」

それでも欲しがるのかと思った。

クラークさんのお婆さんだから、とクララさんを勝手に信頼してたところがあった。

だからショックもかなり大きかった。

それでも腕輪は渡した。

クララさんの家を出てきた私は泣きそうな変な顔をしてたんだと思う。

ハルナツさんは私を見てクララさんの家を見た。

「ありがとう」

「ありがとう」

「次は休暇に着てね」

「美味しいものを用意して待ってますよ」

『ありがとうございます』

「予定は決まったの?」

『友人と連絡が取れないので向かうと言っていた27の町へ行こうと思っています』

「そう。30の町から先はモナークとハルツで小競り合いを続けてるそうですから充分気を付けてね」

『戦争の話がこの村にも?』

「それは聞こえてきますよ」

「獣人の奴隷を魔物の反乱に向かわせてしまったから数がいなくなったとか」

「獣人たちも捕らえられないよう魔法で体を守っていて奴隷の数が増えないとか」

「自分の国ですけどね。人としてこの国のやり方は間違ってると思いますよ」

ハルナツさんの話をして聞いていたら ホッとした。

同じ思いの人が居るのは嬉しかった。

「もっともこの村の外では言えませんけどね」

「少なくても国民の半分はそう思ってますよ」

「あら、もしかしたらお友達は27の町の国を解放する何とかに入っているのかしらね」

「あら、裏切りがあって散り散りになったと聞こえてきてますよ。気を付けて行くんですよ」

ハルナツさんの話に不吉な予感しかしない。

村長への挨拶もそこそこに20の町へ転移した。




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