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ゲームの世界に転生?  作者: まほろば
12の町と13の町
28/95

カレンの仲間と戦争の話



夕方に着いた13の町は酪農の町だった。

20件くらいの家が宿屋を中心に建っていた。

ピコーーン。

柵の中の家畜は牛より豚に似ていて、久し振りに図鑑が増える音がした。

牛舎独特の臭いに閉口しながら町で1件の宿に泊る。

依頼を終わらせようと食堂へ行ってみたら忙しそうなので、届けるのは夕食の後に予定変更した。

夕食の時他の宿泊客と一緒になった。

ニコルさんと2人の女性は居たけどカレンと6人は居なかった。

カレンも野宿してる?

不思議に思って町の周辺に探索を掛けたら、町を外れた右側にカレンともう1つの反応があった。

ついでに6人も探すと、カレンと反対側の町外れに6つの反応が固まっていた。

夕食の後お届け物を渡してサインを貰う。

その後宿から2人分の夕食を作って貰いカレンの元へと運んだ。

わざと足音を立てて近付いていく。

もう1つの反応は素早く気配を消して家畜の中に紛れてしまっていた。

カレンは調教のスキル持ち?

カレンに聞いても答えては貰えないだろう。

「ルアンか」

カレンが警戒をといて笑った。

まず2人分の食事をのせたトレイをカレンに渡す。

『夕食を持ってきた』

「気を使わせたね。一緒に食べよう」

『それはカレンの分だよ』

「2人前あるけど?」

『私も1人前じゃ足りなくて2人分食べたから、カレンもだと思ったの』

「ルアンは育ち盛りだものね」

カレンは可笑しそうに笑って食べ始めた。

『朝食器を取りに来るね。ゆっくり食べて』

カレンの鋭い視線が一瞬私に向けられて、消えた。


翌朝、朝食の前にお弁当を5つ作って貰ってからカレンのところへ行った。

お弁当を3つ渡すと夕べの夕食代とお弁当代を渡してきた。

受け取って食器を下げた。

もう1つの反応はかなり離れた場所にあった。

走っているのか飛んでるのか分からないけど、移動スピードがかなり速かった。

朝食のあと、仕度した乗客が乗り場に集まってくる。

カレンと6人も来た。

14の町へは馬車3日で銀貨5枚だった。

乗客は14人。

今回は馬車が満杯なので荷台を指して頷かれた。

乗客は6人とニコルさんに女性が2人、新しく3人のおじさん冒険者と荷台のカレンと私。

3台の馬車で出発した。

途中の休憩でニコルさんがおじさんたちと話してるのが聞こえてきた。

3人の冒険者も14の町のダンジョンへ行くらしい。

14の町で先に行ってる3人と合流するそうだ。

カレンはどうなんだろう。

他に仲間はいるのだろうか。

ゲームの時も調教のスキルを使うNPCが何人か居たからカレンが使っても不思議じゃない。

ゲームと設定がずれてきてるから確かじゃないけど、調教スキルを持ってるNPCに出会うのはもっと先だった気がした。

凝った筋肉を解したくてお昼は下へ降りた。

6人はおじさん冒険者パーティーと話していた。

声が大きいから嫌でも会話が聞こえてきて、6人はどの階までクリアしてるのかとかボスは倒せるかとかしつこいくらい聞いていた。

おじさん冒険者たちはBランクのリーダーとCランクのメンバー5人のパーティーらしい。

この馬車にはCランク3人が乗り合わせたそうだ。

パーティーが行動を別にするとかあまり聞かない。

不思議に思っていたら、メンバーの2人が雨に濡れて熱を出したので1人を看護に残し、他のメンバーは先に行ったそうだ。

9人が話している14の町のダンジョンの話につい聞き入ってしまう。

やっぱり前回とかなり違うと思った。


夜営地に着くと火の番は9人ですると聞こえてきた。

もちろんカレンと私は荷台でマントにくるまってぐっすり眠った。

その晩は何事もなく明け、次の夜狼の群に襲われた。

群れは11匹。

おじさんたちの計算違いは6人を戦力に数えたことで、逆に6人を庇って戦う形になってしまった。

荷台から飛び降りて馬車に近い狼から倒していく。

見るとカレンも戦っていた。

私が5匹、カレンが4匹、残り2匹をおじさんたちが倒した。

カレンも私も自分が倒した狼を魔法の袋にしまった。

防戦を強いられたおじさんたちは互いに傷の手当てをしながら言い訳する6人を完璧に無視していた。

「ありがとう、助かった」

「怪我の方は?」

「3人とも軽傷だ」

「それは良かった」

3人との応対はカレンが引き受けてくれた。

あの6人からカレンと私の事を悪く聞いていたらしくお詫びされてしまった。

荷台に戻るとカレンの後ろに銀色の毛の狼がいた。

ピコーーン。

狼じゃない。

魔獣だ。

まるでカレンを守るように、それはこっちを見てた。

ゼスチャーでそっちへ行っても良いか聞いてみたら、ちょっとビックリしてカレンが頷いた。

『撫でても良い?』

カレンに確かめてから魔獣に近付いて、敵意はないと私の臭いを嗅がせた。

それからゆっくり首から背中を撫でた。

『この子の名前は?』

「名前は無いよ」

『何時も隠してるの?』

「見付かると狩られるから」

冒険者ギルドで申請したらティムした魔獣として登録できると伝えてみた。

「え?」

カレンは知らなかったらしくて詳しく聞きたがった。

『首輪か足輪を着けなくちゃいけないけど町の中へも連れて入れるよ。ただしこの子が誰かを怪我させたりしたらカレンが責任を持たないといけないけど』

「こいつを部屋へは連れていけないだろう?」

『うん。馬車を引く魔物と同じとこで寝せるよう』

カレンはがっかりした顔をしたけど、この子を隠して連れ歩かなくて済むと伝えるとこくこくと頷いた。

『この子もダンジョンへ?』

「そう、こいつは炎の魔法を使う」

あ、確かアイテムボックスに炎の腕輪があったはず。

中級くらいの補助強化だから使えると思う。

『良かったらこれ。炎の威力が上がる腕輪』

「高そうだけど…、良いの?」

『どうぞ』

カレンが魔獣の右足に腕輪を着けてやると、ぶぁっと魔力で空気が揺れた。

「…スゴいね」

『登録に名前が必要だから付けてあげてね』

「え?…ルアンなら何て付ける?」

困った顔でカレンが聞いてきた。

『私はセンスがないから無理』

カレンが止めるのも聴かず急いで戻った。


その夜は朝まで4回も襲撃があった。

おじさんたちは懲りたのか、6人を馬車に乗せ朝まで出てくるなときつい口調で言っていた。

夜明け間近魔獣の熊が襲ってきたとき、戦えたのはカレンと私の2人だった。

倒した後売ったお金は山分けと決めてカレンが魔法の袋へしまった。

「君らは強いな」

「助かったよ」

「君たちもダンジョンに挑むのかい?」

「はい」

自然に応対はカレン。

「俺らも仲間と合流して14の町のダンジョンに潜る予定だ」

「中で会えそうだな」

また寝るには時間が短いので、薪を足してお茶の仕度を始めた。

暫くするとダンジョンの話も尽きてきて、話題は戦争の戦況に変わっていった。

今はまだ各地の小競り合いだけで大きく兵が動くほどにはなってないらしい。

小競り合いは21の町から先でしているらしく、おじさんたちは20の町のダンジョンへは戦争が終わるまで行かないと言った。

20の町のダンジョンの情報が欲しかったけど、その後のおじさんたちの話は戦争で終始した。

戦争になったのはモナークからの使者をハルツが殺したからだとおじさんたちは怒りを露にしていた。

モナークからの使者?

獣人を奴隷として捕まえてるのがモナークだと聞いていたのに、そのモナークから使者を出したの?

その使者をハルツの獣人が殺した?

だから戦争になった?

もしかしたら仲間をたくさん奴隷にされてしまったから、怒って使者を殺してしまったのかもしれない。

そう思ってみたけど何か違う気がした。

その使者は何を伝えにハルツへ行ったんだろう?

11の町でウサギ耳のおじさんに泊めて貰った時、戦争の話を聞いておけば良かったと思うけどまた訪ねる気にはとてもなれなかった。

「何、戦争になって苦しむのはハルツだけだ」

「好きなだけ同士討ちさせるさ」

あ、あ…。

獣人の奴隷と獣人が戦う…。

モナークの人は何て残酷な事をするんだろう。

何度も聞いた話なのに、笑いながら話す冒険者を見ていたら吐き気がしてきた。




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