貴神咲哉・御曹司①上手い話がありました 遅めのお昼御飯
裕福な家族は優雅な朝食を取る。
「明日はお前の26の誕生日かもういい年だそろそろ…」
恰幅のよい男はアイスワインの入ったグラスをくるりと回し、一口飲む。
「またそのお話ですか父さん私はまだ遊んでいたいんですよ」
青年はうんざりしたように白のシャンパンを含んだ。
「あら嫌だ、どこが似たのかしらねぇアナタ」
浮き世離れしたパフスリーブのドレスを着た女は皮肉たっぷりに持っていたカップをソーサーに置いた。
「はー大人の男女関係ってめんどくさーい」
見た目は可憐な少女はその容姿にそぐわないだらしない格好でロールキャベツを貪った。
「そんなこと微塵も考えていないだろう?」
青年の言葉はその場しのぎであったと探りを入れる。
「どうでしょう」
青年は父のしたり顔に口角を吊り上げ内心であざわらった。
「結婚してからではだめなのか?」
恰幅のよい男はやれやれ、背もたれに寄りかかる。
「失礼」
ほとんど食事をとらないまま青年は顔をしかめながら食事を退席する。
「世間からの避難が恐ろしいのですよしようと思えばすぐ出来ます」
言い捨ててドアマンより先に扉を閉めた。
「あーどこかに楽して稼げる仕事はないかなー」
ドラマや小説のようにどこかのお金持ちが現れて恋に落ちたり。
「お金に目が眩みすぎて虚しい妄想しちゃった」
「西菜!なに一人で喋ってんの!!お豆腐買ってきなさい!」
しぶしぶスーパーに走る。
場違いすぎるスーツのイケメンがスーパーの惣菜コーナーを見ている。
見とれるというより邪魔で豆腐がとれない。
一定の距離からあからさまにガン見していたのでスーツの男性はこちらに気づいて私の方を向いた。
「なぜ?」
いきなり話し掛けられる。
なにがなぜ?なのだろう。
少しは彼を見ていたが目的は豆腐である。
しかし私は惣菜を買いに来たのであって喧嘩を売りに来たわけではない。
菩薩のように晴れやかな気持ちに切り替えて豆腐をカゴに入れる。
「君は気にならないのか」
「え?」
賞味期限か消費期限が近いのかと、パックを見るが問題ない。
「豆腐は水を張った鍋で持ち帰るものだと映画で学んだ」
普段買い物や料理をしない人なのか、昭和からタイムスリップしてきたのか、ものすごい世間知らずというかズレた事を言っている。
古い映画で得た知識をそのまま信じているのはどうしてなんだ。
普段外に出ないやんごとないお坊っちゃん育ちで初めてのお買い物に挑戦しているとか?
見た目はクールなイケメンなのに中身は変な人だよ。
私は苦笑いするしかない。
「どうして君は、そんな顔をしているんだ」
「バレましたか…」
「何か変なことを言っただろうか」
男性は時計を見る。
高そうな時計、この人金持ちか。
できれば金持ちには関わりたくない。
金持ちは愛人を作るイメージがある。
よって一般人の私が関わるとロクな目にあわなそうだ。
「悪いが、買い物の仕方がわからない」
「あはは…カゴの商品を持って、あそこのレジにいって、レジの叔母さんにピッピッとバーコードしてもらって金を払って荷物を運んだらそのままにお家に帰りましょう」
一気に説明したら息が切れた。