【私は人間です 共通Ⅰ
「お姉ちゃん、今日面接の結果きたんだってね?」
同じ会社を先に受けていた姉は今日結果を通知されたらしい。
「落ちたって」
事前の調べでは明日受ける101社目のC<カウ>会社には、とても厳しい面接の鬼がいると聞く。
適当に探していたら不運にも明日受ける社がその面接官のいる会社であった。
私の場合、どうせ落ちるんだから面接官が厳しいか厳しくないかの問題じゃないけど―――――
――――
『春乃東奈です』
『かわいかったし採用……』
『私情による贔屓的な判断は許しませんよ』
その日の夜、中々眠つけず一睡もできないままついに当日になってしまった。
昨日は私より優秀な双子の姉が落ちてしまい、不安になった。
どうか鬼が出ませんように、そう願いながら社内に入る。会社に備えてある時計を見ると予定の時刻より二時間早く来てしまった。
そうか、余裕を持てるよう時計を早く進めたのを忘れていたんだ。
さすがに二時間も待つのは辛い、どこかで暇を潰してからにしよう。
「兄崎、今日も全員落とすんだよね?」
黙っていても飄々とした雰囲気の男が履歴書をぺらりとめくりながら呟く。
「紙面だけならな…」
なぜこいつは愚問でしかないことを聞くのだろう。
紙面がダメならまず落とす。
「おい見ろよ面接の鬼と蛇狐が並んでるぞ」
同僚がこそこそと話をしている。
「なんだあいつら、こそこそと」
「同期じゃなけりゃ落としてたね」
だいたいなにが鬼なのか、陰陽師か金太郎にでもなったつもりか。
「よっ酒呑童子」
さらに隣にいた空見澤に冷やかされた。
「俺は酒は飲まない…ところで空見、今日の相手、昨日落とした奴と住所や名字が同じなんだが?」
年は離れていないし双子と考えるのが妥当か。
「そんなこと言われても今日は俺の担当じゃないからなあ」
「おい次の審査まで二時間あるコーヒーでも飲みにいくか」
「なにが悲しくて野郎とカフェなんかいくのさ」
―――――
「失礼します」
「……どうぞ」
中へ入ると五人の面接官がいて、気になったのが若い二人。
いかにも厳しそうな黒髪と、隣の軽そうな茶髪の面接官だった。
「春乃西奈です」
志望動機とかを聞かれ、答える。普通でなにもおかしくなさそうなんだけど何がいけないのかな。
やっぱり大学いったほうがいいかな。
しばらく頭真っ白で面接を終えて、帰宅した。
さて、これから何しようかな。
【未来の自分へ手紙でも書く】
【とりあえず寝る】
【テレビをつける】
【遅めのお昼御飯】
【その場で腹筋する】
【なにもしない】




