新型ウイルス
その一家は平和に暮らしていた。母親こそいないものの、父親が毎日必死に働いているおかげで、一家はなんとか暮らせていた。
ある日、三男が熱を出した。初めこそみんな気に留めなかったが、その熱は上がったり下がったりを繰り返しながら、どんどん悪化していった。父親は驚いて、三男を急いで診察してみると、どう見ても新型のウイルスが増殖していた。そのウイルスは日に日に増えていき、とうとう七十億個を突破した。父親は原因の解明を急いだ。
すると、ある事実が判明した。三男だけ綺麗だが青い物が顔面に付着していたのだ。どうやら、ウイルスはその青い出来物から発生したらしい。
また、ウイルスはどうやら感染型らしい。しかし、その青い出来物がなければ活動できないようだ。そこで父親は、世界中の人々にこの事実を発表し、青い出来物がある人は三男から急いで遠くに避難して、診察を受ける事を勧告した。
それを聞いた人々は、一斉に避難を始めた。
「あれ、おかしいな…。」
「新入り、どうしたんだ。」
「昨日見つけたはずの地球型惑星が、なんか消えちゃっているんですよ。」
「宇宙は何が起こるか分からないんだ。そんなこともあるさ。」
「そうですか…。」
職場の先輩に相談した新人は、落胆してまたもや新しい惑星を探し始めた。
人類の進歩のために。