Story0:「プロローグ」
古の都
CROSS†HEAVEN
十字架の楽園
そこは、至上の幸福とまで云われ、人が望むもの全てが揃う場所だと云われていた。
そして、最も人が望む存在、【魔法】が存在した。
古の人々は、その力を求め、争った。
【千年戦争】
名の通り、長年続いたこの戦争は、人類初めてのものとなった。
この戦争によって、無垢だった人の心に【欲望】と【憎悪】が生まれた。
それを、見かねた【神】はその【魔法】を使い、戦争を終結させた。
その【神】は、魔法の7属性を自由に操ることができた。
その力を操り、野山を焼き、土地を水没させ、天から雷を落とし、大陸を2つに破った。
そして、その戦争を完全に終らすために、
世界、そのものから【大気】を奪った。
人々は、空気を求め、苦しみ、悶えた。
その【神】は、余りにも残酷な戦争の終わらせ方をしたので、人々から【鬼神】と呼ばれた。
それから、千年の間【風】の力を使える者は、現れなかった。
そして、二度と争いが起きないよう、力を分散させ、
分散された力を持つ【族人】と何も力を持たない【人】に分けた。
それから、人々を絶滅においやった【魔法】の力をもつ【族人】を【人】が受け入れるはずはなく、一部を除いて【人】と【族人】との溝は埋まらなかった。
それは、千年たった今でも続いていた。
力では、圧倒的に弱い【人】、人口では、圧倒的に少ない【族人】。
そんな平行線の関係で、世界の時間は穏やかに過ぎていた。
もしも、そんな世界にどちらにも属さない人が存在したら?
これは、自分の居場所を求めた少年の物語…