馬×犬
私はただ、命じられたことを正確にこなすだけの人間だ。
それ以上でも以下でもない。
「フィリップさん!この書類、完璧でした!」
「……そうか」
「すごいです!丁寧で早くて、全部整ってて!」
「仕事だからな」
「それがすごいんです!」
後輩のペルロは、事あるごとに私を褒める。
最初は評価だと思っていた。
最近は——少し違う。
「鍛えられた体も素敵ですし、目も優しいですし」
「……それは仕事と関係ないだろう」
「あります!だってフィリップさんですから!」
意を決して、聞いた。
「どうして、そこまで言う?」
「……好きだから、です」
理解できなかった。
「君が、私を?」
「……迷惑、でしたか?」
「いや。迷惑ではない」
「じゃあ……このまま、思っててもいいですか?」
「思うだけ、か?」
「え?」
「私は、君となら……愛を交わしたい」
「フィリップさん!?」
驚いた顔。
だが、拒絶ではない。
「……迷惑か?」
「そんなわけありません!光栄です!」
「そうか」
腕を伸ばす。
自然な動作だった。
「ちょ、えっ、なんで抱っこ!?」
「嫌だったか?」
「嫌じゃないから困ってるんです!」
「なら、慣れろ」
「横暴です!」
「馬鹿正直だな」
「それ、褒めてます?」
「もちろんだ」
腕の中で、ペルロが笑う。
「……フィリップさん」
「なんだ」
「これからも、いっぱい褒めますからね」
「そうか」
「嫌ですか?」
「いや。悪くない」
むしろ——
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
ありがとうございました。
良い夢を




