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秘密の決闘

ザイオンのギルドに戻って結果を報告したFランク冒険者「エンジェルウィスパー」。彼らはいつも通り、報酬のみ受取り、ランクアップは辞退した。上級冒険者はそんな彼等に意見する。そして結果、それぞれの事情が噛み合わず決闘をする事に・・・

 ザイオンに帰還した3人は、早速ギルドのカウンターで結果報告を行った。


 今回の件は難易度が高い依頼でもあり、一気にDランクになるケースなのだが、彼らは辞退して褒賞金のみ受け取る事とした。


 生活費は海路で帰還したので、最終的にはクラーケン2体、シーサーペント2体、上位魔族のコア魔石1個を買い取ってもらい、チーム3人で贅沢しても半年以上遊んで暮らせる額になった。


 そんな彼らを見て、話しかけて来たのは、ザイオンでは有名なSランクチーム「ライオンハート」のリーダーであるセイン・カールドであった。


 彼は生粋の剣聖にして、個人的にもSSランクの規格外の実力を持つトップランカーである。


 「君達は何故実力が有りながら、ギルドランク評価を受けない?」真面目な顔で問いただす。


 「私達は、有名になりたく無いんです。魔物の素材を売れば生活費にも困らないですし、このままが良いんです。」


 「偶然遭遇した高位魔物の魔石や、素材が手に入ればそれをお金にしたり、最近では指名依頼が多いので無理のない範囲で受けていると困る事は無いんです。」瑠璃色の大きな瞳でセインを見つめる。


 「納得出来ないなぁ、ギルドの上位ランカーは、その評価に誇りを持っているんだ。そして君達はその誇りをいらないという。まるで価値が無いかの様に評価したんだ。とても、許せる事ではない。」


 マーリィにとっては、ギルドでの仕事は、生業でしか無かったのだ。


 「御免なさい。私達は皆さんの誇りをバカにするつもりは無かったんです。見逃してもらえませんか?」


 「マーリィさん、私達のチームと交流戦をしましょう。そこで貴女達が私達に負けたら、ギルドのランキングに参加していただきます。」


 マーリィは少し考えてから答える。


 「公式の記録に残る交流戦型式はお断りしたいです。どうでしょうか?私と貴方で今から決闘で決着をつけませんか?」


 ザイオンのトップランカーは、少し驚いた顔をしたが、直ぐに答える。


 「良いでしょう。で?相手は誰ですか?」


 「代理はたてません。相手は私です・・・」


 マーリィはじっと上目遣いにセインをみつめる。


 「・・・まさか、貴女と直接決闘する事になるとは・・・、手加減しませんが大丈夫?」


 「望むところです。女性で魔術師だからと言って油断したらダメですよ。」少し俯いて答える。


 対人戦において魔術師相手で最も有利な職業は、戦闘速度の早い剣士系の職業であり、特に剣聖などは魔術を展開する時間を与えない動きの速い職種。


 セインはマーリィにとっては最も苦手なハズの職種だった。


 そして、考える暇も無く決闘は開始された。


 「開始!」


 セインの身体が霞む!剣聖のスキル「神速剣」である。


 マーリィも無詠唱で転移魔法を唱え、一旦距離をとる。  


 「成る程・・・無詠唱でこれだけ高度な空間魔法を展開出来るとはなぁ・・・」マーリィの賢者としての能力の高さに感心していた。


 「天弓!」マーリィは魔法弓を展開して複数の光の矢を放つ。


 セインは、難なく回避したつもりだが、光の矢は軌道を変えてセインを追尾する。


 驚いたセインは思わず尻もちをついてしまう。


 「ディメンション・ケージ!」


 セインが顔を上げると、すでにマーリィが空間隔離魔法を展開、セインを閉じ込めてしまった。


 「私の勝ちでいいですか?」


 マーリィは、ふわっと微笑むと、光の矢で射抜かれた左大腿部に治癒魔法をかける。


 「私の負けだ、認めよう。」


 「分かってもらって嬉しいです。この決闘についても他言無用ですよ。」


 「さ、先程の隔離魔法は大天使をも捉えて無力化したと云われる伝説の魔法・・・貴女は聖戦の舞台となった伝説の魔法大国の皇族の子孫なのか?」


 「御免なさい、詮索も遠慮して頂いてもいいですか?」


 「・・・承知致しました。皇女殿下・・・」セインは正体を察してしまったようだった。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年もご意見、ご指導お願いします。

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