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小国の片隅で

侵略国家である魔法大国の皇女さま。王位争いに嫌気が差し母国を後にする。冒険者の国でFランク冒険者でありながらドラゴンスレイヤーとなり、知る人ぞ知る冒険者となり、新たな依頼を受ける。

 大陸の西の端に冒険者達が大国からの依頼を受けることで生活の糧としている小さな国がある。   

 そこは政治の中心はギルドであり、報酬の何割かを税金としておさめる形で国が成り立っている。


 小国の名前はザイオン。


 そして、街には実力のある冒険者が集まる事もあり多くの金銭が動き、経済が成り立っているのだ。


 冒険者達はあらゆる国から集まって来ており、罪人や自国に居場所を失った貴族など訳ありの人間の恰好の隠れ家になっていた。


 そんな中、最近ギルドに加入した3人組が注目を集めていた。


 彼らは正規の依頼は受けず、S級の魔物を倒しては獲得したレアな素材を高価で売って生活するギルドでも有名な初級チームなのであった。


 彼らのチーム名は「エンジェルウィスパー」。


 構成は、剣聖ルナフォース、魔剣士フィンテック、賢者マリアンルージュの3人であった。 


 実際には、其々はSランクにも匹敵する実力者であるが、彼等も例に漏れず訳アリであり目立ちたくなかったのだ。




 はその日もギルドのクエストはこなす事はなく、ただギルドのラウンジで静かに紅茶を楽しんでいた。


 そんな彼等に突然の依頼が舞い込んだ。


 既にFランクにしてドラゴンスレイヤーである彼らの実力を評価した隣国からの指名依頼であったが、中でも賢者であるマリアンルージュは、光属性を得意としており治癒、欠損部位の再生から蘇生まで行う天才であった。


 


 このバロック大陸、南の大国バルザークの王太子妃が不治の病で意識不明との事であり、彼女を治せる治癒魔法師を血眼で探していたのだ。


 そこで白羽の矢が立ったのが賢者マリアンルージュであった。


 「マーリィ!どうする?指名クエストだけど受ける?」 


 「いいよ。受けようか。」マリアはにこやかに微笑むと受付嬢に返事をした。


 「では、明日朝には迎えの馬車が来ますのでギルド前に集合して下さい。」恭しく受付嬢はカウンターに戻って行った。


****************


 翌朝、迎の馬車に乗ってギルドを出発する3人。


 マリアンルージュは、真っ白で金色の刺繍を施した、グラマラスな彼女の身体の線がハッキリ見える魔導着に純白のシルクのショールを羽織ったスタイル。


 見た者全てを釘付けにする美しさである。 


 容姿は長く伸ばしたプラチナブランドのストレートヘア、大きな明るいブルーの瞳、綺麗に伸びた睫毛、整った小さな鼻、サクランボの様にプクッと瑞々しく実った唇、非の打ち所がないのだ。


 目的地は、大陸南東の大国であるバルザーク太陽国である。


 非常に豊かな国土を抱える国で、今回病に倒れた令嬢は、シャルティエ・フラン・バルザーク。


 自らが豊穣の聖女として知られた、大陽国王太子妃である。


 裏事情として今回の件も、バルザークの国力を妬んだ周辺国が画策して、彼女の命を狙った可能性すらあるのだ。


 そして、バルザーク太陽国領内に入り半時程すると馬車の周りが騒がしい。


 周辺がこの多く暗殺者達に囲まれていた。


 「囲まれたね・・・何で私達が狙われたのかしら?」


 「王太子妃さまの治療は何がなんでもさせたくないのかもな。」


 馬車の周りは20人ものアサシン達やアーチャー達が潜んでいる。


 「皆さん、敵襲です。これから排除しますので、馬車から動かないで下さいね。」マリアンルージュがバルザークから遣わされた御者に動かない様に説明、周囲に防御結界を張り巡らす。


 「では私が露払いしてまいります。」馬車を降りるのは白い軍服を纏った剣聖ルーナである。


 索敵を行い概ね敵兵の数と位置を把握して剣を構える。


 音もなく周囲から毒矢が一斉にルーナに降り注ぐ。


 「カキキィィィン」全ての矢を弾き飛ばす。


 続けてアサシン達が一斉にルーナに飛び掛かるが、攻撃はルーナの身体に触れる事なく薙ぎ払われてしまう。


 ルーナの鋭い剣戟は、その剣圧のみで離れた敵も切り伏せてしまう。


 「キィィィン!」ルーナの鋭い剣圧がアサシン全員を切り捨てる。


 残った数人は、馬車を狙って爆弾を投げつけ、大きな爆音が響くが、賢者マーリィの対物理結界に傷一つつけることが出来なかった。


 驚いた暗殺者たちは一斉に逃げ出したが、瞬間移動を駆使してルーナは残ったアーチャーや、アサシン達を全員切り捨ててしまった。


 暗殺者は一人残らず返り討ちにされたのだった。


 「流石は姫様専属の護衛騎士だな。」魔剣士フィンがルーナを冷やかす。 

 

 「Fランクのドラゴンスレイヤー様には敵わんよ。」ルーナも負けてはいない。


 何事も無かった様に馬車はバルザークの王宮へ急ぐのだった。


 そして、程なく王城が見えてくる。


 豊かな大国らしく豪華絢爛な城、薔薇の咲き乱れる美しい庭を通り過ぎて漸く城の入り口に辿り着く。


 「バルザーク王太子妃は、ご無事ですか?」


 「ザイオンのギルドから派遣されました、賢者マリアンルージュです。早速ですが姫様の元に連れて行って下さい。一刻を争うかもしれません。至急姫様の状態を診せて下さい。」


 

 

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