7話 帝都ノアに進軍
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現在、帝都ノアに向けて進軍している。村や町があれば、統治者の変更を伝え、ノア帝国の軍人がいれば排除する。反発があれば、残念ながら死んでもらう事になるだろうとガラテアが言っていた。降伏すれば、必要人数を残して、残りは進軍する。この作業をひたすら繰り返していく。
帝都ノアだけは厳しい戦いになるだろうと言っていた。籠城戦は確実なので、こちらの兵士を消耗させつつも何とかして門を破るなどの突破口が必要になってくる。何となくイメージが湧いたので、何か俺も役に立てればと思う。
話はかわるが俺は、ガラテアの側近という扱いでガラテアの側を馬に乗り移動している。オリバも同様である。後ろにいる兵士は、ポッと出の子供がガラテアの側にいることに嫉妬している気がするが、残念ながらすべて才能だから仕方ない。
でも俺は少し前までは、武器屋になるつもりでいたのに、まさかの軍人だからな。運命なのかもしれないが、なりたくてなったわけではない。
「オリバ、旧王都跡の壁に向かった諜報員からの連絡はまだないか?」
「は、そろそろと思いますので、確認して参ります。」
オリバがガラテアから離れた後、なぜそんなことを気にするのか聞いてみた。
「ここだけの話だが、オリバにいったん離れてもらった。少年、今回の作戦は上手くいくと思うか?意見を聞きたい。」
「将が俺に聞くな!だが、普通に考えれば、今回の人数では籠城戦を攻略するのは無理だ。相手は、おそらく兵士が10万人はいるだろう。数で負けていて、籠城戦ならこちらに勝ちの目はない。だが、内側に忍び込み、城門を開けて奇襲できれば可能性はあるが……。まさか……俺にやらせるつもりなのか?」
「私と2人で、軍より先に帝都ノアに向かい、冒険者を装い侵入する。姉弟という形でいこう。その後、オリバに指揮権を任せていいタイミングで帝都ノアに来てもらう。」とガラテアが言っていた。
ガラテアの顔がわれていなければいいが、こいつが言うことを聞くはずがないので、了承しておいた。まったく無茶をするお嬢様である。万が一捕まれば、俺達はまともな死に方をさせてもらえないぞと思ったが、ガラテアの事だから既に理解しているだろう。
しばらく話しているとオリバが戻ってきて、壁の方は低ランクの魔物が現れる程度で、今のところ異常なしとのこと。先ほど話した内容をガラテアがオリバに伝えると、危険過ぎますと心配そうな顔をしていたが、最終的には移動石だけは持っていく様に言われた。
何でも2つの石で1セットになっていて、青色の石を持っている人を赤色の石を持っている人の所へ一瞬で移動させる魔道具らしい。長年の研究が実を結び、利用可能になったらしい。
便利な物だが、とても高価で一度しか使えない代物なので、余程のことがない限り使う事はないそうだ。ちなみに青色の石を持っている人の体に触れていれば何人か連れていけるそうだ。
翌日、ガラテアと俺は装備品を質素な物に切り替えて、装いを冒険者風にして他は俺のアイテムボックスにしまい、馬に乗り先に帝都ノアに向かった。実際に、ガラテアはD級冒険者、俺は一番下のF級冒険者だから噓ではない。
全軍はオリバの指揮のもと数日待機してからの行軍再開となった。軍から先行して馬を休ませつつ3日後に帝都ノアが見えてきた。初めて見たが、高い城壁に囲まれており、登るのは厳しい。上から矢を放たれたら、蜂の巣になるだろう。あるいは魔法でも同様かもしれない。
入口は事前の調査から北門と南門しかなく、南門は非常時のみで、基本は北門からの出入りになるようだ。南門を出ると後ろには魔の森と呼ばれる大森林があるだけだ。ガラテアと俺は北門の入口にたどり着いた。
「少年、ここからは余計な事は話すなよ。私はルークと呼ぶから、私の事はお姉さんと呼びなさい。あくまで姉弟で冒険者活動に来たのだから。わかったわね。」とガラテアが言うので、しぶしぶ了承した。
検問では、持ち物の検査とどこから来たのか、冒険者カードの確認が行われた。自由を好むのが冒険者だから、あまりしつこいと嫌われるよ!特にガラテアは、地味な格好をしていても美人で目立つので男の兵士によるボディチェックが念入りだった気がする。俺のチェックはテキトーだったよ。
兵士が、戦時下だから許されよと言って鼻の下を伸ばしながらガラテアの胸を服の上から触っていた。ガラテアは苦笑いで我慢していたが、よくやるよと思った。何とか2人とも中に入る事が出来たので、宿をとり冒険者ギルドに顔を出す事になった。
全軍が来るまで数日あるので、簡単なギルドでの実績を作っておきたい。いくら何でもF級は低いので、せめてE級にしたいな。冒険者ギルドに2人で、顔を出すと傭兵募集の紙が多く貼られていた。
2人で、窓口に行き、「姉弟で出来る依頼とか何かありませんか?」とギルドの受付嬢にガラテアが聞いていた。
「戦時下なので、南門から出て魔の森にて薬草採取という依頼が多く出ています。基本的には南門をあけないのですが、ポーションの原料になりますし、レッサーボアもいるので、食料も手に入ります。いかがですか?」
「その依頼でお願いしたいな。今から弟と向かうことにするよ。」とガラテアが言い、南門の通行許可証をもらい2人で歩いて移動した。馬は、宿に預けているので問題ない。帝都のメイン通りを抜けて行くと、大きな南門が見えてきた。
近くまで行くと、実際には大きい方の門ではなく、その隣にある頑丈そうな小さい門から出入りしているのが見えた。日中のみで、夜はしまっているらしい。内側から2つの南京錠と鎖が巻きつけてあった。
通行許可証を見せるだけで今回は簡単に出ることが出来た。暗くなる前に戻ってこいと言われた位である。魔の森に入り、どうやって軍を帝都ノアに引き入れるか考えながら薬草採取を行った。
眠い時は、コーヒーかエナジードリンク。




