30話 護衛依頼 その1
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無事にエール学園の前期試験を乗り越える事が出来た。仲間がいなければ、俺は間違いなくダメだっただろう。だから、俺も出来ることはしてやるつもりだ。カフェ代で金貨30枚位使ってしまったが……。こいつらは俺がカフェ代を持つ事が当たり前になっている。
現在は、休み前の学園最終日であり、カフェにいつものメンバーで集まっている。クラスのメンバーとも話をするが、やはりこいつらは気の置けない連中だからな。
「明日から冒険者活動をどうする?レイラは白牙に入るんでいいんだよな。」
「そうよ。前衛3人で後衛3人になり、バランスも良くなったからね。この後冒険者ギルドに行きましょう。レイラをパーティーに入れるわ。ルークがいるからDランクの依頼も受ける事が出来るし。」
冒険者ギルドに6人で移動して、ビクタとレイラが窓口にいる間に4人で依頼を見ている。この時間は依頼で外出している冒険者が多く、あまり混んでいなくてよかった。俺とティナはDランクの依頼を見ており、リズとエレナはEランクの依頼を見ている。長期の依頼などあれば受けてみたい。
「これなんてどうかしら?報酬が多く金貨200枚の護衛依頼。期間が1カ月もあり、ここからリベルタ、スタン(旧帝都ノア)、ミスリル帝国の新しい都市リーン(旧ロマネ王国跡地)、ノルンでここに戻ってくる。王都の宝石商が各地で宝石を売ったり仕入れたりするので護衛が必要らしい。どうかしら?」
「確かにいいな。俺達も馬車があれば楽が出来るが……。買えば依頼料を超えてしまうので駄目だな。今は学生だから必要ないし。明日の午後から出発予定だから他のメンバーに聞いてみるか?」
戻ってきたビクタ達に聞いてみると急だけどやりたいとの事で受注する事になった。この依頼を受けたあとは、しばらくは休む計画になった。その後、食料や備品を補充して俺が預かり、夜には伯爵邸に戻ってきた。婚約者のジヨンに依頼の話をしておいた。
「急ですね。いってらっしゃいませ。」と言い不機嫌になってしまった。これは良くないと思い、1ヶ月後にもどるから、その後2人で旅行に誘う事にした。夜、ベットの中で相変わらず不機嫌な感じなので、2人で旅行に行こうと誘った。
「戻ってきたらジヨン、2人で旅行に行こう!王都以外に行きたい所はあるか?」
「リベルタに行きたいわ!あなたの生まれ故郷が見てみたい。」とすねていたが、少し機嫌を直して言っていた。
「わかった。俺がいない間は裁縫でもして待っていてくれ。ジヨンからも執事に休暇を申請しておいて。俺から旅行に誘われていると言ってね。金貨30枚を置いていくから服でも買って準備してくれ。」
機嫌を直したジヨンをしっかりと抱いてから翌日、冒険者ギルドに向かった。到着してから少し待つと5人がやってきたので合流してから宝石商の店に向かった。店の前に馬車が用意されており、何人かで運び入れていた。冒険者ギルドから来たことを伝えると依頼者と思われる宝石商に人を紹介してもらえた。話はビクタに任せた。
「冒険者ギルドから来ました白牙です。1ヶ月ほどの護衛依頼で間違いないですか?」
「長い期間になりますが、よろしくお願いします。町についたら宿代はこちらで持ちますので、それ以外は自分達でお願いしますね。午後から出発しますので、こちらのロビーで休んでいて下さい。」
案内された所で6人で待機している。問題なく依頼に入れそうなのでよかった。中には頼んでいないとかトラブルが色々とあるそうだ。夜の番の話をしていて少しすると先ほどの宝石商の使用人と思われる男がやってきて出発する事になった。
王都を出発してから3時間おきに休憩をとりつつリベルタに向かっている。何度か通った事があるのでだいたいわかるが、およそ1週間の道のりである。宝石商の話によると何でも大きい盗賊団がいなくなり、いくらか治安が良くなったそうだ。
それでもたまに現れるレッサーウルフなどは脅威らしく小さい怪我から腕切断など可能性があるので護衛は必要になるらしい。よかった点は雨ではなく晴れの日が続いていることである。これが雨だと大変で、予定が大幅に遅れる。
街道をひたすら道なりに進んでおり、夜は2人ずつ見張りを立てている。今回は俺達の白牙のみなので気をつかわないが、他にもパーティーがあれば大変ではある。楽しい時もあるかもしれないが……。
ひたすら街道を進むこと途中に魔物に襲撃されたのか壊れた馬車が捨てられていた。誰も片付けないのだろう。ティナが気を遣ってファイアーボールで燃やしていた。気遣いの出来るいい女である。
ひたすら街道を南下していきリベルタに到着した。ジヨンと来るときは馬車を利用しよう。歩きはやはり辛いな。毎日およそ10時間位はゆっくりと歩いている。普通の人ではたぶん厳しいと思う。さらに夜も3時間は監視をしっかりと行うからである。
リベルタに到着した頃は、6人ともかなり疲れていた。手配してもらった宿で2泊3日である。リベルタで何かあるとは思えないが、交代で夜までは宝石商の護衛を担当した。俺とエレナ、ビクタとティナ、リズとレイラのペアである。辺りを警戒しているが、余程の事がない限り問題は起こらなかった。
交代でビクタ達と変わった時にこちらを監視している連中がいるとビクタが言っていた。気をつけた方がいいかもしれないと言っていた。
「エレナ、なるべく宝石商の方にいろ。周りの警戒は俺が行うからな。」
「わかったわ。私の事は気にしなくていいから護衛対象を守りなさい。」
そう言われても気になるからな。確かにこちらの様子をうかがう連中がいるな。冒険者崩れか何かだろう。手薄になった所で襲ってくるかもしれない。エレナに念の為、宝石商にこの事を伝えるように言った。俺1人になったタイミングで3人が近づいて来てナイフを俺に投げてきた。
2人は護衛対象に向かっている。ルビーのナイフで投げナイフを弾いてから、魔力銃を放った。心臓辺りを撃ち抜いて後ろに倒れた。すぐに残りの2人にも魔力銃を放ち3人ともしとめた。エレナの仕事を奪ったが、無理に回復士が戦う必要はない。
死体を集めてから、リベルタの衛兵に引き渡した。宝石を狙っていたので、仕方ない。やるかやられるかただそれだけである。弱ければ奪われる。盗賊討伐として金貨6枚もらえたのでパーティー資金にした。リベルタも以前より治安が悪い気がした。やはり王都が過ごしやすい。
その後は問題なくリベルタを出発したが、俺以外の5人は盗賊とはいえ躊躇なく人を殺す事に対して少し抵抗なり驚きを感じていた。前世から暗殺を生業として生きてきたから、その辺りの違いだろう。そのうちあいつらも軍人になるのだから育ってくるはずだ。
常識がない。よろしくです。




