20話 脱出と入学試験
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デスクの上には、他にも金貨が転がっていたので頂戴した。迷惑料である。他にも読んでいる暇はないが、裏帳簿の様な物もあるかもしれないので適当に回収しておいた。さて、これからどう動くか。とにかくここがどこか知りたい。
まさかと思うが、ここが王都でなかったら相当やばいことになる。伯爵の紹介状をもらったにもかかわらず、試験を受けませんでした。でもエール学園に入れて下さいは通らないだろう。少し焦りながら、ゆっくりと室内から外をのぞいた。すると王宮が近くに見えたので、一安心です。
まだ外は明るいので目立つだろう。屋敷の外には門番が立っており、塀で囲まれているので、出るのはなるべく夜の方がいいだろう。空でも飛べればいいが、それは出来ないので、仕方ない。
脱出方法を考えていると、誰かが近づいてくる音がした。扉の鍵は開いているので、閉めておいた。窓があるので、そこからゆっくりと飛び降りることにした。隠れてもよかったが、上級貴族の屋敷に忍び込んで捕まれば、間違いなく死罪になるだろうからな。さっさと逃げよう。
窓から下を見ると3Fだったので、やばいが掴まりながらゆっくりと飛び降りた。下におりた衝撃で右足を痛めてしまった。何とか歩けるが、そのまま近くの塀に向かって走り、建物のわきまで移動して、量産品の剣を3本刺して足場を作った。
足をかけて5メートル級の高さを飛び越えて反対側に移った。壁を飛びこえたが、かなり足が痛くて早く屋敷に戻りたくなった。歩きながらポーションを飲んでいくらかよくなったが、明日の実技もあやしくなってしまった。よくわからない道を歩きながら、ひとまず王宮を目指してから、その後伯爵邸に戻る事にした。
夕方、屋敷に戻り専属メイドのジヨンに声をかけて伯爵と話がしたいと伝えてくれる様に頼んだ。夕食を普段は、部屋でとっているが、今日に限り伯爵と伯爵夫人、長男と次男の4人が一緒に食事をとることになった。伯爵と話がしたかったが、こういう形ではない……。たぶん後で2人にはなるタイミングはあるだろう。
「そう言えば、ルークは明日エール学園の入学試験だったな。試験の方は大丈夫そうか?」
「はい、おかげ様で優秀な家庭教師をつけて頂けたので何とかなると思います。」
「そうかそれはよかった。私の紹介状があるから落ちる事はないと思うが、良い成績で入学してほしいからな。」
「はい……。」と若干焦りながら伯爵に返事をしたところ伯爵夫人が気にしなくて大丈夫よとフォローしてくれた。その後は簡単な雑談や伯爵軍にいる次男や王国騎士団に所属する長男の話を聞いた。貴族のパワーバランスが崩れてきており、何となく政治もきな臭くなってきているという話だ。
食事の後で伯爵の部屋に呼ばれたので、装備品の回収の件や貴族の件を報告したところ伯爵の顔色が悪くなり後をつけられなかったか何度も確認された。顔を見られていないことだけはしっかりと報告した。最悪は、伯爵の指示で行動したと思われる可能性があり、一族もろとも処刑されるリスクもあったそうだ。ガラテアの功績があるので、国外追放で済む可能性もあるが。
その後地下の部屋に移動して、2人の死体をアイテムボックスから出して確認してもらった。大きなため息をついて、伯爵が頭を抱えていたので、大分迷惑をかけてしまったようだ。
「片方は見覚えがないが、もう1人はリムト侯爵だ。我々王族派の敵対派閥の重鎮だ。ルーク、何てことをしたんだ。この事は口が裂けても誰にも言ってはいけない。わかったな。死体の処理に困るだろうから、こちらで内密にやっておくのでもう部屋に戻ってよい。万が一、調査の手が伸びても何も知らないと言うんだ。いいな。」
「わかりました。よろしくお願いします。ところでいくつか資料も回収してきたので、お渡しします。資金繰りや貴族の繋がりを示すような物がありました。」
伯爵に資料を渡してから部屋に戻ろうとしたところ伯爵からメイドのジヨンを大事にしなさいと言われたので、報告が上までいっていたのが確認とれた。何ならルークのとなりの部屋をジヨンに与えてやると言われた。承知しました。お願いしますと言い部屋に戻る事にした。
前世の記憶では貴族の暗殺を主に仕事としてやっていたのでこの程度の事は何ともない。しかし、部屋に戻ると精神的に疲れていたのか、もとい、痛めた右足が気になり寝れなかった。2日続けてジヨンが俺の部屋に遊びにきてくれたので楽しくはあった。
伯爵が俺の隣の部屋をジヨンに貸してくれると言っていたと伝えたら目を丸くしていた。可愛いので思わずキスをしてしまった。執事か誰かにジヨンから俺達の事を伝えたのか聞いたら、まだ伝えていないと言っていた。他のところから伯爵にもれて伝わったのだろう。
翌日、足が痛く、ほぼ寝れなかったが、エール学園の入学試験に行かなくてはいけない。コンディションはかなり悪いが、まあいいや。専属メイドのジヨンが用意してくれた食事をとり、正装に着替えてから少し早めに出発した。
エール学園は、平民が通う実力主義をうたう学園だが、実際は鶴の一声で貴族の紹介状があれば形だけの試験をして金さえ払えば入学できるところだ。紹介状がなくても入れるが、なかなか厳しいだろう。ビクタ、リズ、ティナ、エレナ達は中等部から通っている平民だから家柄など割といい平民なのだろう。おそらく実力である。あいつらと同じクラスに入れればいいな。
ゆっくりと王宮から離れるように歩いてしばらくするとエール学園の正門が見えてきた。とりあえず入学試験に来れてよかった。来ることが大事だ。受付を済ませた後、案内に従って試験会場に移動した。先に、午前は筆記試験である。俺と同じように試験を受けている連中は、外部の中等部からだったりする受験生だろう。
何となくだが、初めての体験なので面白く感じた。前世では暗殺術を命のリスクをもって教え込まれてきた。それに対してこの試験は落ちても命がなくなる事はなくぬるい気もするが、俺自身はそれも悪くないと思う様になってきた。命をはるときはいずれ来るだろうからな。
たぶん午前の筆記は大した事はなかった。拍子抜けしてしまった。解答をすべてうめたつもりだが、まあまあな出来だと思う。家庭教師のおかげである。何でもプロという領域までいった人間は凄いと思った。その後は、昼食を席でとり指示があるまで待機した。早く帰りたいな。
試験官が時間になり教室に入ってきた。次の試験は実技であり得意な技を披露するらしい。俺の場合、いくつかあるが、針の投擲にしようと考えた。ルビーのナイフや魔力銃はやり過ぎだと考えたからである。
人により魔法を使って試験官にアピールしていた。ファイヤーボール、アイスランスなど強力な魔法を使う者もいた。幼い時から努力してきたのだろう。剣や槍を振り回している者もいた。ヒールを使い傷を治している回復士もいた。それ以外にも調合、武器の補修、身体能力、鑑定など色々といた。案外優秀な連中なのかもしれない。
中には怪力自慢で200キロの重りを持ち上げている奴もいた。個人的には面白くて笑ってしまった。とにかく自分の中にある何でもいいから人より優れた所を見せていた。俺の番がきたが、離れたところから針を投げて的にあてたが地味に感じた。ポーションを作って見せていた奴と同レベルだったな。
試験も終わりさっさと家に帰ることにしたが、結果は郵送で送るらしいので1週間後が楽しみである。何かあいつらと依頼でも受けてみようか考えた。高等部のスタートは同じだから暇にしているだろう。入学は2週間後だから10日位かかる依頼でも大丈夫だろう。翌日、冒険者ギルドに行ってみようと思った。
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