2話 辺境都市リベルタ
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辺境都市リベルタは、豊かで広大な土地があるため、農業から食料品店、服屋、道具屋、宿屋、武器屋、防具屋や冒険者など様々な職業の人が行き交い、暮らしやすい活気のある土地である。
冒険者は、帝都ノアまでの護衛依頼から山脈での魔物討伐や薬草採取、領内の配達、要人警護など様々な依頼をこなしている。冒険者にとっては、仕事がありうれしい位である。
領内にいくつかある武器屋の1つで、主に低ランクの冒険者や兵士向けの剣や盾などを販売しているのが、ルークの父親であるダンだ。ルークの母親は大分前に病気で亡くなっており、それほど豊かではないが、父親と2人で幸せに暮らしている。
ルークは、今年12歳になり近所の友達と遊びに行きたいのを我慢して店の留守番をしている。父親のダンは、ドワーフではないので、職人としての腕は3流程度である。主に仕入れた物を販売しているのが、うちの店になるが、多少のメンテナンス位は引き受けているようだ。
「あ~、お客さんも来ないし暇だな。」と店のカウンターで、ルークは独り言をつぶやいていた。最近は、冒険者ギルドやリベルタ軍からの武器の注文が増えていた。父親がその取引に追われているので、店としては嬉しいが、自分は店番から離れられない。父親には早く帰ってきてほしいと思っている。
父親から布で拭くように頼まれていた量産品の剣を箱から引き出して、せっせと拭いていると、「カラン、コロン」と店の入口から音がして珍しく客が2人入ってきた。姿形からして冒険者の様に見える男女である。親子くらい年が離れている様に見える。
「あら、店主は留守かしら?飾ってある商品を見せてもらうわね。」と言って若くて綺麗なお姉さんが飾ってあるナイフを見始めた。うちの店の商品は、ほとんどが弓に関しても量産品であるが、ナイフには自信があると父親のダンが言っているのを思い出した。
何か1つ位、利益を度外視した店の魅力がほしいとか何とか。職人でもないのに変なこだわりを持っている父親である。「これ下さい。」とお姉さんが持って来たのは、店で一番のナイフで昔父親が手に入れたダンジョン産の非売品のナイフである。飾りで置いていただけのルビーのナイフとよばれる1級品である。
「申し訳ありませんが、非売品になります。店主でないと判断出来ませんので。」と俺が答えた。
冒険者風の男の方は、面白くない顔をしていたが、女性の方が、「気にしなくていいわよ。機会があれば、また来るわ!」と言ってくれた。2人が帰ってから、少しして父親のダンが帰ってきたので、事情を一応説明しておいた。
「売らなくてよかった〜」と父親のダンが情けない顔をして安堵していた。父親の唯一の宝物らしく、店の商品すべてより、このナイフの方が価値があるらしい。
「そんな価値のあるもの置いて置かないでよ!」と文句を言っておいた。ただ、自慢したかったらしい。
その日もいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。冒険者ギルドとリベルタ軍との大きな取引が決まり、ご馳走を食べに2人で店を閉めてから出かけた。こんな日がいつまでも続くと信じて疑わなかった。いつか自分も父親の跡を継ぎ、武器屋をやるつもりでいた。
数日後、父親から休みをもらっていたので、ナイフを1本を腰にさして近所に住む道具屋のポルンと一緒に山を散策しに出かけた。ポルンも俺も冒険者登録はしており、一番下のF級冒険者である。2人で1時間も歩けば山の麓に到着である。
自分達の目的は、木の実や薬草採取であり魔物討伐はあまりやらない。スライムやレッサーウルフに襲われれば仕方なく戦う位だ。なるべく怪我をしたくないし。
「ポルン、少し休憩にしよう!」
「まあまあの収穫だったな。」
薬草など採取できたので、いつものリベルタを一望出来る大きな木の下に移動して2人で家から持ってきていた弁当を食べた。よくこの場所には来ているので、慣れたものだ。しばらく休んで帰る頃に、ポルンが水平線を指差していた。
「あれ、何だろう?」
「えっ、何?人に見えるね!それもたくさん並んで……しっ、進軍している?」
「まさか、リベルタに向かっているのか?何だか嫌な予感がするから早く家に帰ろう!」
2人して急いで片付けをしてから、走って家に戻った。リベルタの門に近づくと慌ただしく大人達がしているのが子供の目にも理解できた。城壁の中に入り、途中ポルンと別れてから急いで家に戻った。
体調不良から復活!




