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9話 VSオヤブンボアー

「わわわっ!?」



 このフロアには隠れられる岩だったり、壁だったりと壁代わりになる物が何も無い。小細工無しの真っ向勝負って感じのボス部屋だ。



「ブモォォォ……!」



 巨大なボスは明らかに僕を睨んでそう、怖いぃぃ!!



 あまりに大きなイノシシの姿を見て、驚いているリオンさんへなんとか向かわせないように僕が引きつけないと。



 すっごい怖いけど!



「フラム!」



 先手必勝と遠距離から僕は右掌を親玉ボアーに向けると、大きな炎の玉を放つ。レベルはあえて1にして消耗の方を抑えておく作戦だ。



 真っ直ぐ飛んで当たるかと思えば、大きな体でボアーは左にサッと移動して躱す。あれ、意外と身軽!?



「ブモォォォーー!!」



 すると親玉ボアーは雄叫びを上げて、僕の方に猛然と突進してくる。あの巨体で防具を特に身に着けていない僕が喰らえば、一撃で終わってしまう。



 僕は左足で地面を強く蹴り、右に跳ぶ。これによって親玉ボアーの突進を躱す事に成功。



 すると急に止まれなかったのか、勢いよく壁に頭からゴォン!と激突していた。あれ、さっきボアーも壁にぶつかって力尽きてたし、これは自滅して終わりのラッキーパターン?



「ブモォォォ……!」



 そんな僕の甘い期待をブチ壊すかのように、親玉ボアーは頭をブンブンと振って再び僕に振り返って睨んで来ている。



 何かダメージ全然無さそう!めっちゃ石頭じゃん!?



 これでは自滅が期待出来ないと悟る僕に、親玉ボアーは容赦なく向かって来た。まさに文字通りの猪突猛進だ。



「っと!」



 今度は左に跳んで、僕も一撃必殺であろう相手の体当たりを避ける。右左と、出来るだけランダムにジャンプして狙いを絞らせない努力もしている。



 再び壁に頭から突っ込んで激突するも、さっきと同じく頭をブンブン振ってから僕に振り返ってきた。



「神城君しっかりー!頑張ってー!」



 リオンさんは遠い位置から僕を応援してくれる。



 このまま長期戦になったら、躱し疲れた僕がいずれ攻撃を受けてジ・エンド。そんな嫌な未来が頭を過ぎってしまう。長期戦は不利で、可能な限り短期戦で決めるしかない。



 魔法も使い過ぎたら、お腹が空いて力が出なくなる。この大食いスキルを得た時点で、長期戦が苦手だと確定していた。



 早く突っ込んで来るから躱す事に集中しないといけないし、というかあの壁にぶつかっても平気な顔面に攻撃仕掛けて、ダメージを与えられるのかも怪しい。あれ、詰んだ?



「ブモォォォーー!!」



 まだまだ元気いっぱいに僕へ突進してくる親玉ボアー。今度も右に跳んでなんとか躱す。リオンさんにヘイトが向いてない事が、小さなラッキーかな。



「ん?」



 その時、僕気づく。親玉ボアーが再び壁にぶつかって頭をブンブンと振る姿を。



 あいつそういえば壁にぶつかる度にあの動作やってたよね?つまりパターン化してるって事だ。僕へ後ろを向けてる僅かな時間、硬い頭も壁に向いて無防備の状態。



 だったら狙うしかないよ!最大の隙を!



 僕はタイミングを見て、再び親玉ボアーの突進を左へ横っ跳びで避ける。此処で僕はさっきまで躱してホッとしてたけど、すぐに振り返って相手が壁に激突した所を狙う。



「フラム!」



 ターゲットを狙って、右掌から炎の玉を放つ。その先には壁にぶつかり、首を振ろうとしていた親玉ボアー。



「ブモォォォーー!?」



 胴体の方にフラムがヒット。ダメージがあるのか、悲鳴のような声を上げていた。これはチャンス!



「フラム! フラム!」



「チャンス! いけいけ神城君!ゴーゴー!」



 僕は炎の玉を連続で左右の手から放ち続け、一気に仕留めに行く。こっちを向く前に出来る限り攻撃を浴びせまくってやる!



 応援チアリーダーみたいな役割となっている、リオンさんの声援でより力が入った気がした。



 大分喰らわせて倒れたかなと思った時。



「……ブモォォォーーー!!」



 親玉ボアーは通常モンスターより遥かに体力があるのか、倒れずに激怒したかのように雄叫びを上げた。



 やっぱボスは全然倒れてくれなくてタフだね!体力ゲージ長くて多いの確定!



「ブモァァァーーー!!」



 ちょっと雄叫びが変わったかと思えば、さっきまでの勢いを超える突進で僕に迫る。あぶなぁぁ!後少し跳ぶの遅れてたら喰らってたかも!?



 でも壁に勢いよくブチ当たるパターンは変わらず、この隙に魔法を……。




 ぐうう〜〜



「う……!?」



 フラム連発の代償が今になって来たのか、僕のお腹が飯をよこせと鳴らして来る。そのせいか、僕の放ったフラムは球が小さくフラフラと飛んで消えてしまう。これが空腹の代償で大きなデメリットだ。



「神城君!?」



 離れた場所からリオンさんの心配そうな声が飛ぶ。



 一転してピンチに陥り、僕は親玉ボアーの突進を躱すのに精一杯だった。リオンさんに料理を作ってもらおうにもこんな戦闘中、いつ彼女に攻撃が向くのか分からない状況下での調理は多分出来ない。それにさっきみたいにステーキを渡してもらって、呑気に食べる暇も無さそう。



 どうにかサッとエネルギー補給出来る手段はないかと、考えていた時に僕は思い出す。このダンジョンに来る前、託された物を。




「ブモァァァーーー!!」



 次の突進して来たタイミングで躱した直後、僕は自分の道具袋から紫色の包みを取り出す。そこから美味しそうなおはぎが2つ現れ、僕は2つを手にとって素早く食べた。



 こんな状況だけど粒あんで包まれた優しい甘さのおはぎが、とても美味しく感じて癒される。気の所為か力が戻っていったかもしれない。



「ブモァァァーーー!!」



 微妙にパターンを変えてきた突進もタイミングを掴み、僕は右に跳んで躱す。



 そして僕はすかさず立ち上がると、魔法を今度こそ放つ。



「フラム!!」



 両手を合わせた掌から大きな炎の玉が飛んで、壁にぶつかり無防備な状態を晒す親玉ボアーに当たる。



「ブモォォォ〜〜!!」



 命中した瞬間、その巨体に炎が燃え広がって焼き尽くしていく。この一撃はクリティカルヒット、と言って良いかもしれない。



 少しずつ炎の勢いが弱まると親玉ボアーの巨体はぐらつき、スローモーションのようにゆっくり、ズズーンと派手に音を立てて倒れていった。



「え、やった……? 勝った!? あのおっきぃモンスター倒しちゃった!?」



「はぁ〜、多分……」



 半分信じられないような感じで、リオンさんが駆け寄って来るのが見えると、僕は急に力が抜けた気がして地面に座り込む。



『レベルアップしました』



 その時、僕のスマホにレベルアップを知らせるAIの音声が聞こえた。ボスモンスターを倒した事で、やっとレベル6に行けたんだ。このお知らせも久々に聞いて忘れかけてたよ。



『新たな魔法、ブリッツレベル1を習得しました』



 え、ブリッツ?どんな魔法なんだろ。これは分かんないからAI君解説をよろしく。



『前方に雷を素早く飛ばす雷魔法です』



 素早く、フラムより速いのかな?これはちょっと試してみたい。とりあえず雷魔法を覚えたのは把握出来たね。



『レベルアップしました』 『レベルアップしました』



「え、嘘!? あたし2レベル!? やったやったー!」



 リオンさんのスマホからは2回続いて、レベルアップを告げる音声が聞こえた。一気に2レベル上がるのは羨ましいなぁ〜、近づいたと思ったらもっと離れちゃったし。



 とにかく今回は2人でのボス戦勝利。



 僕だけの力じゃなく、リオンさんがくれたおはぎが何より大きかったから、これは2人で倒したようなものだ。



 というか今回のMVPはおはぎで決まりだね!

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