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49話 皆がダンジョンを潜るようになった理由

「キキキー!」



 森の中を思わせるダンジョンに入ると、狩れた木に不気味な顔を持つモンスターが現れる。



「植物のモンスター……ウッドマンか」



 護君は戦った経験があるみたいで、特徴は力任せに木の枝を振り回すパワータイプという。



「フラム!」



 僕はすかさず右手に持つ杖を敵に向けて、炎の玉を放つ。



「キィィ〜〜!」



 やっぱり植物にとって炎は弱点か、炎の玉を受けたウッドマンは悲鳴を上げて消滅する。


 というか猿みたいな鳴き声だなぁ、やっぱり木だからキーって言うのかな。




「「キキキィィーー!」」



 すると続々出て来るウッドマンの群れ、植物に囲まれるのは良いけど、モンスターの植物に囲まれるのは嬉しいもんじゃない。



「波動脚ー!」



「キィィーー!?」



 リオンさんの青いオーラ宿る右足、その飛び蹴りがウッドマンに炸裂して壁まで吹き飛ばす。


 相変わらず凄いパワーだ。



「ふっ! はっ!」



 護君は片っ端からウッドマンを斬って斬って斬りまくる。


 倒し慣れてる相手のせいか、仕留めるのがもう速い。



 集団のウッドマンはあっという間に壊滅。


 見た目怖い感じだったけど、Fランクでそんな強くもなかったから、今の僕達にとっては問題なく倒せる相手だ。



「うーん、やっぱり都合良くは現れないよねー」



「レアだから簡単じゃないよ」



 確認した限り、ウッドマンの中にレアモンはいない。


 今回も地道に回っていくしかないと、僕達はダンジョン探索を開始。




「お腹空いてきたぁ〜」



 今回は相手が植物という事で休む事なく、僕はフラムを連発し続けていた。


 結構長い時間戦ってたから、魔力が上がったとはいえ流石にお腹が空いてしまう。



「じゃあ相当戦ったし、ご飯にしましょうー」



 リオンさん最大の見せ場、今回は木のモンスターだったので現地調達は出来ず、前のダンジョンで収納してきた猪肉を使う。


 ダンジョンボアーのイノシシステーキ美味しいから、何時でも歓迎だよ。



「ねぇ護君、さっきの話の続き……聞いても良いかな?」



 座る護君の姿を見ると、僕はさっきの話を聞くには丁度良いと思い、彼と向き合う。



「……ああ、俺も話そうと思っていた」



 周囲には僕達アンフィニアーミーしかいなくて、リオンさんがフライパンで肉を焼く、美味しそうな音がする中で護君は口を開く。




「俺の父親は警察官で、母も元警察官だった。名は父が辰巳(たつみ)に母が紅葉(くれは)だ」



「え、凄くない!?」



 護君と立樹ちゃんの両親、2人とも警察官というのを聞いて、僕に焼き上がったイノシシステーキを皿に乗せて渡しながら、リオンさんは驚いていた。


 僕もその事実に驚きながらも食べ始める、うん、相変わらず美味しくていくらでも食べられそう。



「ダンジョンが出現した時、父も仕事で探索に向かい戦っていたんだ。その場所について調べる為に」



 当時のダンジョンは誰も足を踏み入れた事が無いので、何が待っているか分からない状態だった。


 だからその時は主に武装した軍や警察が、ダンジョンに多く潜って行ってたな。


 冒険者でダンジョンに潜る人が誰もいなかったから。



「警察官って事はやっぱり2人とも強い?」



「共に剣道をやっていて強かったな。加えて警察官として体術も磨いていたから、身体能力はかなり高い」



 護君の強さが納得出来たかも。


 2人の両親が警察官で強いなら、護君はその背中を見て育ったって事だし、真面目な性格もそのせいかな?



「父の仕事に元警察官の母も協力して、ダンジョンに潜っていたが……ある日そこから戻らなくて行方不明となってしまったんだ」



「!?」



 ダンジョンに入ったまま行方不明と聞いて、僕の食べる手やリオンさんの作る手が思わず止まってしまう。



「それは……何処のダンジョンで行方をくらましたか分かる?」



「いや、俺には教えてくれなかった。教えたら1人で向かい探し始めると思ったんだろう」



 確かに両親がいなくなって息子としては探したいだろうけど、捜索する側は彼が1人で無茶をして、最悪の結末になる可能性を考えたのかもしれない。



「だから護君は冒険者になってダンジョンに潜るようになったんだ?」



「ああ、無論稼いで立樹を養うというのもある。それでいずれは2人を探し出せれば、と」



 リオンさんからの言葉に護君は頷く。


 彼が冒険者をやっているのは立樹ちゃんの為もあるけど、行方不明となった両親を探す為。



「……見つけたいよね、何時か必ず」



 僕もその2人を見つけて護君、立樹ちゃん兄妹と再会させたいと思った。その為には多くのダンジョンに潜り、行方を探さないといけない。



「いや、何か……本当凄いよね護君。僕も両親が行方不明になって大変だったりしたけど、そこまでは出来ていなかったと思うから」



「神城の両親も? ダンジョンか?」



 2人にはまだ話してない僕の両親の話、護君が打ち明けたし、僕も話した方が良いと思う。



「それが関係してるかは分かんない。世界でダンジョンが出現した時より少し前に姿を消して、警察に捜索届を叔父さんが出してくれたけど……」



 僕の両親はあの日急に家へ帰らなくなって以降、何処で消息を絶ったのかも分かっていない。


 本当に煙のように消えたって感じだ。



「明弥君の両親は何やってる人なの?」



「僕の方は普通の会社員とパート主婦だよ」



 目立った経歴は聞いてないし、家でもそういった物を見た覚えは無い。


 事件に巻き込まれたとか、そういうのならニュースになったり、警察から何かの連絡が来ると思うけど何も来なかった。


 2人は何処に消えたのか……あの時会った黒いフードの人が何か知ってそうだけど、その人にも全然会えないし。



「そうか……神城の両親について、俺からも白岸さんに話しておこう」



「ありがとう」



 護君も僕の両親の行方を探す事に協力してくれて、僕は彼に礼を言う。


 今の僕の目的は再びあの黒いフードの人に会い、助けてくれたお礼と知っている事を聞く。


 今普及してるダンジョンスマホを僕に託したりと、僕へ何を望んでいるのかを。



「……」



 リオンさんは僕達にステーキを作りながら、何かを考えてるみたいだった。



「どうかしたリオンさん?」



「え? あ、ううん。あたし場違いだったかなぁって」



 場違いとはどういう事なのか、僕がそれを聞こうとする前にリオンさんから語ってくれる。



「あたしはもうぶっちゃけ言うと家出して、そのまま冒険者として暮らすようになったからさぁ。両親が行方不明な2人と比べてなんかしっかりしてないっていうか」



「いや、そうじゃなきゃ駄目とかないからね?」



 リオンさんの方は両親が行方不明とか、そういう事はなく自分から勝手に家出して、冒険者となっただけ。


 それが申し訳なく思ったのかな?



「むしろ両親健在が普通だ。俺や神城が特殊なだけで、そこを気にする必要など全くない」



「そうそう、リオンさんは美味しいご飯をこうして作ってもらって大助かりしてるし、どんな理由で冒険者になってても欠かせない心強い仲間っていうのに変わりないからね」



 僕も護君もリオンさんは欠かせない仲間、そう思っている。


 このチームは1人も欠けてはならない。



「そう言ってくれるとあたしも気が楽だなぁ、ありがと♪」



 リオンさんは元気を取り戻すと、再び料理作りに戻る。


 特に僕はリオンさんいなくなったら戦えなくて何も出来ないし、デメリットあるスキルもリオンさんのおかげで打ち消してくれてるんだ。



 なので欠かせない……



「キィィ〜〜」



 そこへ魔物の声が聞こえた。


 またウッドマンか、と思い僕はステーキを食べ終えて空にした皿を置くと、相手を見る。



「え、火!?」



 そこにいる大木の魔物は木に顔を浮かべ、上の部分は炎で燃え広がっていた。


 僕は炎魔法をまだ使っていない、にも関わらず木は燃える。


 ただその魔物は燃えてるにも関わらず、苦しそうな顔は全然していない。



 何かレアモンの予感めっちゃするんだけど!?

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