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4話 助けられれば勝ち

 ダンジョン内は薄暗く、遊園地のお化け屋敷のような雰囲気がある。



 あっちは作り物だけどこっちはリアルな分、緊張感は断然上だ。ランクはGでもダンジョンなのは間違いない。僕も初めてGランクのダンジョンに入った時は、緊張がハンパなかったのをよく覚えてる。



 フラム通じなかったらどうしよう、とかなってたけどそんな事もなく、Gランクのモンスターなら僕でも倒せるぐらい弱かったし。



 っと、そんな事考えてる間に何か揉めてるような声が聞こえて来た!僕は身を隠して遠くから彼らの様子を伺う。



 こういう時は小さな体って得だなぁ。



 遠くから見てみると、男達の姿が見えて2人はシャツの上に肩や胸に鎧の一部を身に着け、左腰には剣を納める鞘も下げていた。いずれも僕よりずっと背が高く体格も良くて、180ぐらいはありそうだ。



 女性の方は金髪のポニーテールで、大きな可愛らしいピンクのカバンを背負っている。男達よりは低いけど、身長は女性では高めかな?



 格好はノースリーブの白い服に白いミニスカート。頭は白いキャスケットみたいなのをかぶっているのが見えた。なんというか、看護師さんかコックさんの服を女の子向けに可愛くデザインした感じだ。



 と、僕が彼らの様子を見てると話し声が聞こえて来た。




「いい加減諦めろや嬢ちゃんよ?」



「俺ら取って食おうって訳じゃねぇんだぜ? 一緒にパーティー組もうって誘ってるだけなんだからよ」



 男達はニヤニヤとした嫌らしい笑みを見せながら、何もしないとアピールするように両手を広げていた。



 難解なダンジョンには何も1人で行くというルールは無い。団体行動で行く人がいるなら、ソロで行く人もいる。ちなみに僕はソロで1人、Gランクダンジョンに行くのが当たり前だ。



 何故ならGランクで低レベルの5で僕と組みたい、という人が誰もいないから。……自分で言ってて結構悲しいなぁ。



 つまり彼らはパーティーを組もうとあの女の人に迫った訳か。相当嫌がられてるみたいだけど。



「嫌よ!あんた達は何か悪い感じするし、何よりやらしい目で見てんじゃないの!?」



 彼女からすれば、男達はやらしい目つきをして自分の体目当てだと思いパーティーへの誘いを口実に近づいて来た。そう見えたみたいだけど、まぁ僕の目から見ても彼らって善人には間違っても見えないよね。



 ヘラヘラしてチャラそうだし。



「ちっ、話の通じねぇ女だな」



 1人の男が苛ついた感じで舌打ち、そこにもう1人の男がとんでもない事を言い出す。



「けどよ。此処ってダンジョンだよな? 何か起こったら自己責任……つまり何が起きてもこっちに責任が無い上、外には全然分かりっこねぇって事だろ?」



「……ああ〜」



 男達の目はまるでハンターみたいだった。彼らは間違いなく女性を狙っている。色々とヤバい意味で。



 何か一気に雰囲気がヤバい感じになってきたよ!?



「っ!?」



「運が悪かったと思って諦めなぁ。そんな体してるお前が悪いんだぜぇ?」



 男の1人が女性の右手首を掴み、拘束。あれじゃさっきみたいに逃げ回る事は無理だ。



 どうする?逃げるのは出来るけど、これで逃げて……あの女性の人生が壊れてしまうのは凄く嫌だって思う。ただ、まともに立ち向かって彼らと喧嘩するとしたら、人数不利な上に体格で劣る僕じゃ太刀打ちは不可能。



 此処で「止めろぉ!」とか言って、真っ向から行っても駄目だ。それならどうする?簡単な事だ。



 僕の魔法で遠距離から不意討ちあるのみ!卑怯バンザイ!



 いいよね!?だってあいつら犯罪者みたいなもんだし!



「(フラム!!)」



 僕は物陰から、男達の背後から魔法を唱えると炎の玉を右掌から飛ばす。



「ギャアァァ!? あづぅぅぅ!!」



「な!?」



 女性を掴んでいた男の背中に見事命中。我ながら良いコントロール!男は背中を焼かれて悶え苦しみ、その間に女性は男の拘束から抜け出す事に成功。



「(フラム!!)」



「ぎえええーー!!」



 仲間がやられ、驚いて剣を鞘から抜き取ろうとした男にも奇襲の炎の玉をお見舞い。ちなみに炎を飛ばすスピードは当時より上がっている。



 そりゃあの頃から4レベル上がってるから当然だよね。



 黒焦げになった男達はその場にパタっと倒れる。あれ?僕のプランではフラムを浴びせてパニクらせるぐらい、のつもりだったんだけど……え、まさか死んでないよね!?



 急にヤバいとなって僕は物陰から飛び出して、呆然と立ち尽くす女性に構わず男達の様子を見る。



 それぞれ見てみれば、気絶しているだけだと分かった。よし、一番都合良い!だったらやる事は一つだけ。



「お姉さん、今のうちに逃げるよー! 動ける!?」



「え!?う、うん!」



 何時までもこの場所に留まってる理由は何も無い。彼らが寝てる間に逃げる!あ、お兄さん達悪く思わないでね?腕っぷし立ちそうでGランクの洞窟に置き去りにされたぐらい、助からないって事は無いと思うし。



 ダンジョンで何かあったら全部自己責任、だもんねー?これが巷でよく言われるざまぁwってやつか!




 女性と一緒にダンジョン内を走り、幸いモンスターは出て来ないまま外へ出て来る事が出来た。



 とりあえずお姉さんが無事に動けたのが何よりだ。これで動けなかったら運ばなきゃいけないけど、そこは非力で小さい僕の体。格好良くヒーローみたいにお姫様抱っこで運ぶ、なんて真似事は出来そうに無い。



 そこから町中まで一緒に歩く中、女性の方から口を開く。



「キミ……凄くない?」



 突然僕の事を凄いと言ってくる。そう言われるのは嬉しいけど、僕としてはそんな凄い事をしてるつもりは無い。



「凄いって遠くから魔法を使っただけだよ?」



 今時魔法を使える者は珍しくない。僕は自分の小さい体を活かして、彼らの視界から見えない場所で攻撃しただけ。



 胸張って凄いとは、全然言えないと思うんだけどな。すると何故僕を凄いと思ったのか、この後の会話で分かった。




「だってあいつらレベル18よ? それを不意討ちでもキミだけで2人倒しちゃったんだから」



「え、18……?」



 意外と男達のお高めなレベルに驚かされる。あいつらそんな高かったの!?



 レベル18といえば、大体Dランクぐらいで多いイメージだ。僕そんな相手を不意討ちしたんだ……まともに戦ってたらどうなってた事か。



 でもそんな相手をフラムで燃やして倒せたのは、あいつらよっほど気を抜いて油断してくれたんだな。そうじゃなきゃ不意討ちでもああはならないはずだし、今日の僕ってラッキーじゃん?



「もしかしてキミって相当腕の立つ魔法使いとかじゃない?」



 目の前の女の人は何処か期待を込めた目で僕を見る。この時、白い服に包まれた彼女の揺れるであろう大きな胸が、身長差の関係で僕のすぐ目の前で見えた。



 いやいやいや!僕そんな邪な目で見ないから!見えちゃっただけだからね!?つい見ちゃっただけだよ!?多分顔は赤くなってるかもしれないけど、僕は出来る限り冷静に話す。



「魔法使いだけど腕は立たないと思うよ? だってレベル5だし僕」



「え、レベル5!? あたしより低いじゃない!?」



 彼女は盛大に驚いた様子だ。無理も無い、レベル5で格上の18の連中を1人でやっつけちゃったからね。



「ああ、自己紹介まだだったよね? あたしは姫島(ひめじま)リオン。Fランクのレベル10でダンジョン料理人よ♪」



「ダンジョン料理人……あ、僕は神城明弥。Gランクのレベル5で魔法使いだよ」



 此処で彼女について分かった。姫島リオン、僕の倍のレベルを誇り、ランクも上。そしてダンジョン料理人という珍しい職業だ。



 ダンジョン料理人はその名の通り、料理人だけど他の料理人と違うのは彼らは通常の食材だけじゃなく、ダンジョンにある食材も使って調理する。更に時には食材に出来そうな魔物を使って、料理したりするので長時間の探索のお供として最適だ。



 そう考えると彼女の背負う大きなカバンも納得。調理器具とか、そういうのが入ってるんだなぁ。




「はぁ〜、安心したら甘い物食べたくなってきちゃった。ね、良かったら一緒に行かない? スイーツのタダ券2枚持ってて1枚余ってるんだー」



「え、良いの?」



 突然の姫島さんからスイーツのお誘いを受ける。僕としては断る理由が何も無く、魔法を使って丁度小腹の空いた僕としては凄く好都合だった。



 ていうかこれ、逆ナン!?いやまさかね?助けたお礼とかだと思うし、断る方が失礼だからこれは素直に受け取ろう。



 という訳で僕は姫島さんとティータイムに行く事となった。

次回は姫島リオン視点での回となります。

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