38話 レアモンスター討伐大会の知らせ
「レアモンって、レアボスは会ってるけどそういうのもいるんだ?」
ボスと付いてない方のレアモンスターことレアモンに、リオンさんは初耳という感じ。
僕はダンジョンに潜っていたJTuberがたまたま、ライブ配信していてレアモンを運良く見ている。
『レアモンスター、レアボスモンスター討伐イベント。その名もレアハンティングダンジョン! 略してRHDだ! ルールは至ってシンプルで、大会が開かれる3日間の間に多くのレアモンスターを倒した者が大会の優勝者だ!』
RHD……RがレアでHがハンティングにDがダンジョンって感じで略してるよね絶対。
「レアモンスターだけを狙うか、それは腕が鳴るな」
「面白そうじゃねぇの。運次第で格上のチームを凌げる可能性があるだろ」
元々レアボスを狙ってダンジョンに潜り続けていた護君、そこへ熱血漢の盾山君も加わって、2人ともイベント参加への意欲を見せている。
「まだ優勝した褒美について何も聞いてませんが、レアと付くモンスターを見つけて倒すというのはかなりの難関。相応の物でなければ納得は……」
暗夜さんはあまり出る事に前向きじゃなさそう。今の所は3連続で会ってるから、見つける方はともかく倒すのは凄く大変。それだけは間違いない。
今までレアボスで楽だった事なんか無いし、僕1人とかだったらまず攻略出来なかったよ絶対。
『1位を取って優勝したチーム、またはソロには好きな武器防具を1つ、ラビリントカンパニーからプレゼントだー!』
「出ますよね盾山君?」
「たりめーだろ!」
MCから賞品について告げられた瞬間、暗夜さんは大会に出る気満々へと変わる。
まさか自分は装備出来ないけど、物凄くゴツい武器か防具見たいからとか?
「明日にはハンマー完成間違いないニャ?」
「おお、漢グレイドに二言は無い! ちゃんとRHDの時までには間に合うさ!」
「それなら最初から暴れられそうニャー♪」
任せろと自分の胸をドンと叩くグレイドさんに、シュンちゃんは新しい武器の完成が大会に間に合うと分かって、とても嬉しそうだ。
尻尾でもあったら凄い振ってそうな感じ……ってニャーニャー言ってるけどネコじゃないし。
『おっと、此処で大事な事を1つ! その大会の開催期間中は1つのダンジョンには3チーム3ソロまでしか入れなくて、それ以上の数は入れないように設定されるんで要注意だ!』
此処でMCから大会についてのルールが告げられる。RHDの開催期間中は3チームと3人のソロ冒険者までしか入れなくて、早めに行くダンジョンに狙いを定める必要がありそう。
『ちなみに大会開始からダンジョンの前で野宿とかも駄目だぜ!? その周囲は準備期間の時は立ち入り禁止になってしまうからな。ちゃんと自分の家か離れた場所でその時を大人しく待つ、これお兄さんとの約束だぞ?』
しっかり事前のスタートダッシュが出来ないよう、運営から対策をされていた。
『後はより平等とする為、ランクC以上の冒険者達はそれより下のランクに行く事は禁止! 弱い奴をバシバシ倒しまくってレアを狙って優勝しても何の自慢にもならないぜ!?』
Cランク以上という事はDランクの護君がいる僕達は、ギリ大丈夫で何も影響を受けない。めちゃくちゃ強いであろう、ランクAの無双とかを防ぐ為の大会システムって所かな?
ダンジョンに入る人数限定も、多くのチームが押しかけて来て混雑化を防ぐ為っぽい。
「アイアンシールドとアンフィニアーミーで共闘していたけど、今度の大会じゃ優勝を争うライバル同士って事になるか」
「いや、僕達は……出るのかな?」
盾山君が僕達とライバル同士になると言ってるけど、まだ大会に出るときまった訳じゃない。護君はやる気そうでもリオンさんの意思を聞いてないし。
「出るでしょ普通に! 優勝したらアンフィニアーミーの名が一気に広がるかもしれないじゃん!?」
めちゃめちゃリオンさん乗り気だ!というか護君より前のめりに見えるよー!
このチームのリーダー的存在である彼女が望むなら、僕もその大会に出るしかなくなる。
優勝出来るかどうかは分かんないけどね?縛りがあっても上位ランクが圧倒的に行くかもしれないし、他のチームが運良くレアモンに遭遇する可能性もあるから。
「ニャー! 優勝はアイアンシールドが貰うニャー!」
「ええ……強大にして重量級の武器か防具をいただきましょう」
シュンちゃんも大会へ出場するつもりで、張り切っている。暗夜さんはやっぱりそれが目当てか。
「良い! 非常に良いねぇ、若者同士が火花を散らして競い合う姿! これぞ青春だなぁ!」
「ダーリン? お・し・ご・と・は?」
「あ……は、はいー!」
グレイドさんが盛り上がっている所へ、マリアンさんの凄みある笑顔がグレイドさんを仕事に向かわせていた。
夫婦も色々大変そうだなぁ。
「ダンジョン付近が立ち入り禁止になる期間は何時だ?」
「え? 確か大会サイトだとー……3日後だってさ。その翌日に大会が始まっちゃうから」
先に店を出てアイアンシールドと別れると、駅へ戻る道の途中で護君は今一度大会について、リオンさんから教えてもらっていた。
それを聞くと護君は考え込む仕草をして、僕達と改めて向き合う。
「なら……空いているその2日間、ダンジョンに行って修行がしたい」
「ダンジョンで修行?」
急な護君からの提案。なんでまた修行がしたくなったんだろ?
「あの浅草でのダンジョン……俺は不利なモンスターを前に何も出来なかった。周囲に頼りきりで俺だけ何も……!」
護君は悔しさからか、僕達にそう言いながら右の拳を震わせるのが見えた。
苦戦は無理もないと思う。ゴーレム達に斬撃は効き難いし、かなり分が悪かったはず。
そんな事はないと言いたかったけど、僕もリオンさんも彼にそれは言えない。彼にとって慰めの言葉にならなくて、傷つけるだけだと分かっていたからだ。
「だったら、潜って新しい装備を手にしたアイアンシールドに負けないぐらい……強くなろ?」
リオンさんはそう言うと笑顔で、ダンジョンへの特訓に賛同する。
僕も護君が強くなってくれる方が良いし、彼へ付き合う事に迷いは無い。アンフィニアーミーの武者修行って感じかな?
「……感謝する」
護君は僕とリオンさんに深々と頭を下げた。
「もうー、いいじゃん護君! 仲間なんだからそんな事はー」
「親しき仲にも礼儀ありと言う。こういう事はきっちりしなければならない」
そう言う護君の姿は僕より年下と思えないくらい、立派な大人に見える。僕もしっかりしないとなぁ……。




