30話 初めてのランクアップ
喫茶店でお茶を楽しみ、交流を深めてから妙な流れで再びラビリントカンパニーに行こうという流れになった。僕達アンフィニアーミーだけでなく、何故かアイアンシールドの3人も同行する形で。
こんな短期間で大企業に2度も訪れるのは流石に想定外。ただ行くエリアは限られているけど、一般人も出入りが自由に許されている。
大企業の立派な所だから事前に約束とかそういうのをしないと、入ったら駄目とかイメージあったけどそこは気軽に行って良いみたい。
「1回こういう所の一国一城の主とかなってみてぇなぁ。男達の憧れだろ」
かなり広々としたエントランスホールを通りながら、盾山君は辺りを見回して住んでみたいと口にする。
僕とかこんな所住むの一生無理そうだけどね、というか住んでも多分落ち着かないと思うし。っていう世間話をしつつ、僕達はランクアップが行われるホールを目指してエレベーターに乗り込んだ。
「ランクアップの行われる階は4階ですよ」
確か以前行った3階がモンスターデータに関する所で、そのすぐ上となる。僕達はそこに乗り込むと、暗夜さんから場所を教えられて4階のボタンを押す。
僕達を乗せたエレベーターはあっという間に目的地まで運び、4階のフロアにぞろぞろと降りていく。僕達の前に受付の長い赤髪のお姉さんが黒いスーツを着て、カウンターに座ってるのが見えた。
あの人が担当かな?
「あの、すみません。ランクアップをお願いしたいんですが」
「はい、ではお手持ちのスマートフォンを見せてください」
明るい声でお姉さんはスマホの提示を求め、僕は自分のスマホを取り出して見せる。
「神城明弥様……Gランクと、モンスターを一定数……大丈夫ですね。条件を満たしています」
お姉さんはパソコンを操作して、僕の情報を確認。モンスターをこれまで何体倒したかの情報まであるって凄いもんだなぁ。
何よりランクアップの条件を満たしている事に、僕は内心ホッとしていた。これで駄目と言われたら、付き添ってくれた皆が無駄足になっちゃう所だったし。
「ではこれより神城明弥様はFランクにランクアップします」
ゲームみたいに派手な光に僕が包まれたりとか、何か証が貰えるとか、そういう事はなくてパソコンの操作1つで僕のランクを上げるだけ。
「ランクが上がっているかどうか、お手持ちのスマートフォンでご確認ください」
「あ、はい」
僕は自分のスマホでランクが上がってるか確認。するとランクGと表示される所がFへ変わり、ようやくランクアップを実感した。
味気ない感じはしたけど、僕にとって初めてのランクアップなせいか嬉しく思う。何年もずっとGランクのままだったせいかな?
「神城ちゃん、これからはランクアップ出来るかどうか確認をこまめにやった方が良いニャー」
確かにシュンちゃんの言う通り、条件満たしてるのにずっとランクアップやらずに怠ってたし、この先は気をつけよう。
ていうか僕ちゃん付けにされた?シュンちゃんって言ってたから、そのお返し?まぁ嫌じゃないし良いけどね。
「この勢いでEランクアップも行けるんじゃね? 確認だけでもしてみろって!」
盾山君からEランクも行けるんじゃないかと勧められる。
さっきランクアップで嬉しさ味わったばかりだけど、まさかの連続アップとかあるのかな?
「Eランクへのランクアップ条件はフロアボスモンスターを1体以上倒しているかどうかです」
そこへ暗夜さんから、次のランクアップ条件について教えてもらう。メガネを煌めかせる辺り、何かデータマンっぽく見えてきたかも。
「だったらあたしも行けそう! 神城君と出会うまで1体だったけどそこから2体……ってレアボスはカウントされるっけ?」
「それは、どうなんだろ……?」
リオンさんと出会い、共にダンジョンへ潜り続けて僕達は2体のボスモンスターを倒している。ただそれはレアフロアボスの方で、数としてカウントされるのか僕にも分からない。
「お姉さん、あたし達ランクFでレアフロアボスモンスターを2体倒してるんですけど、これってノーカウントですかー?」
「え、レアフロアボスですか……!? し、少々お待ちください」
リオンさんが受付のお姉さんに聞くと驚いた顔をされる。その後に電話をかけて確認してるように見えた。
「すみません、レアフロアボスモンスターってEランクアップのボスモンスター討伐の数にカウントされてましたっけ? あの、Fランクでそう問われる方がいまして……はい……はい、お願いします」
多分電話で上司とかお偉いさんに電話してそうで、僕達と話すよりも緊張した様子で話してる。
ややこしい事を言っちゃったかな?
「あ、そうですか! 分かりました、至急お伝えしますね!」
答えが出たみたいで、お姉さんは電話での会話を止めて再び僕達と向き合う。
「ただいま確認した結果、レアフロアボスモンスターもカウントされるそうです」
「そうなんですか!? じゃあ神城君とあたし、ランクアップ行けるじゃん!」
確かにレアボスを含めれば僕は2体、リオンさんは3体討伐だから条件は満たしてる。揃ってランクアップだ。
僕とリオンさんはそれぞれスマホを提示して、再びお姉さんがパソコンを操作。
「確かにレアフロアボス2体ですね……ではこれより神城明弥様、姫島リオン様はEランクにランクアップします」
僕とリオンさんはスマホをそれぞれ確認すると、ランクはEに上がっている。僕に限っては今日だけで2ランクアップと、かなり上に行けた気分を味わう。
「もうひょっとしてランクDの条件も実は満たしてるんじゃないかニャー?」
いやいやシュンちゃんまさか、でも二度あることは三度あるって言うしなぁ……。とりあえず一応確認しておこうか。
「あの、このままDランクアップも出来るかどうか」
「あたしもお願いしますー!」
お姉さんの仕事を増やして申し訳無いと思いながらも、僕はリオンさんと共に再びランクアップ出来るか確認してもらう。
「Dランクアップの条件は満たしてませんね」
流石に快進撃は此処で打ち止めだった。まぁそんなポンポンすぐにランクアップ出来る程、甘いもんじゃないよね。
「条件は確かこれも一定数以上のモンスターを討伐している事が条件……ただしFランクの時の条件よりも数は遥かに多くなってると思われます」
頼れるデータベース暗夜さんからFランクアップの時と同じく、モンスター討伐数だと情報を得る。
「おい護、突っ立ってねぇでお前もやってみろって!」
「俺も満たしてるとは思っていないのだが」
盾山君が護君の背中を押すとランクアップを勧めていく。護君は僕達と会う前から結構ソロで潜って、相当モンスター倒してそうだから行っててもおかしくないかな?
「いいから確認だけやっとこうぜ?」
「はぁ……お願いします」
盾山君の勢いに負けてか、護君はため息をつくと共にスマホを取り出した。お姉さんが再びパソコンで確認をすると……。
「ランクアップ条件、満たしてますね」
「ほらぁ! 確認して良かっただろ!?」
相当倒して来たのか、護君はDランクアップの条件をクリア。追いついたと思ったらまた先を行かれたけど、アンフィニアーミーとしては行けるダンジョンの幅が広がって良い事だ。
「ではこれより岸川護様はDランクにランクアップします」
これで護君はランクとしては、アイアンシールドと並ぶ形になる。
「流石は俺のライバル! ランクも並ばれたか!」
「お前がやれと言ったからやっただけだろ」
護君が同じランクに並び、盾山君は嬉しそうに護君の肩を組む。うーん、何か微笑ましく見えてきたかも。
「ねぇねぇ、Cランクアップはどうしたらいいの?」
「そこからは一気に難しくなります。モンスターやボスの討伐数となりますが、低ランクのダンジョンでの討伐はカウントされず、Dランク以上のダンジョンで出現するモンスターだけしかカウントされません」
リオンさんからCランクアップの条件について問われ、これも暗夜さんが教えてくれる。聞いてると一気に難しく思えちゃうなぁ……高ランクのモンスターしかカウントが許されないって。
「だからDランクまでの冒険者は居ても、Cランクからはあまり見かけなくなってくるニャ」
「Aランクなどそれこそ有名人だ! そこに所属する覇王団にカンピオーネ等の、そうそうたるチームがダンジョン攻略の先頭を走っているんだからな!」
確かに高ランクの人がダンジョン配信して、攻略する動画とかダンジョンを潜る人達にとっては良い手本になるし、人を集めやすい。
超人気で僕も当時は有名どころの動画を視聴してたし。
「なので俺達アイアンシールドは現在その数少ないランクを目指し、精進している所だ!」
アイアンシールドの3人はDランク、あと一つ上げればCランクと一流の仲間入り近くまで来ている。それを思うと護君も凄い所まで来てるんだ。
「とりあえず一旦出ましょ? お騒がせしましたー♪」
盾山君の声が大きく、受付のお姉さんの迷惑になると考えてか、リオンさんは外へ行こうと言った後にお姉さんへ振り返って笑顔で挨拶。
「あ、いえ。こちらこそびっくりしました。今までGランクやFランクでレアフロアボスを倒している人を見かけたの、私は初めてなものでして……正直凄いなと」
低ランクでのレアボス攻略がお姉さんとしては凄かったみたいで、僕はその凄さに全然気づいてなかった。
何か今日は色々ステップアップ出来た気分。




