29話 オフ会でパーティ同士の交流
「いや、信じられないぜ! まさか護と此処で再会するなんてなぁ!」
僕達は今アイアンシールドが行きつけとしている、アキバの喫茶店に来ていた。
盾山君が護君と会った時は一食即発の雰囲気になって、どうなるかハラハラしたもんだよ。
僕達は奥の席でそれぞれ座り、盾山君は護君との予期せぬ再会に楽しそうに笑っている。
「ええと、それで盾山君は護君の幼馴染という事で良いのかな?」
「おう、こいつとは剣道で知り合ってな。よく打ち合ったりしたし大会でも当たったもんだ!」
護君と幼馴染なら彼は同じ19、または20の可能性が高い。なので僕の中で盾山さんから盾山君へ、勝手に変更させてもらう事にした。
年下や同年代にさん付けは変だもん。
「大会で戦っては負けて優勝を毎回のように掻っ攫われ、まぁ悔しい思いをしたもんだ。なぁ?」
「……そんな事もあったな」
「何だよ、すっかりクールぶりやがってー!」
盾山君の前の席に座る護君はブラックコーヒーを飲み、盾山君も同じ物を注文している。ちなみに僕は到底飲めなくて、あんな苦いのを砂糖無しでよく飲めるなぁと毎回思う。
なので僕はクリームソーダを頼む。やっぱり炭酸とアイスって美味しいよね。
「えー、俺の事はもう2人は知ってるし護も当然知ってるだろうから2人の紹介と行くか」
「はいにゃー」
盾山君からの言葉を受けて、仲間の女性は席から立ち上がる。語尾に猫みたいな事を言うのはクセなのかな?
「私は猫野春林、長いからシュンちゃんでもリンちゃんでも良いよー。ランクDで戦士やってるニャ♪」
猫っぽい要素も含めて呼び方結構迷わされますが。とりあえず僕はシュンちゃんにしておこうか。
女性の戦士というと、同じ戦士でも護君とはまたタイプが違う?そこは彼女の戦いを見てみないと何とも言えない。
「……僕は倉田暗夜、同じくランクDで一応僧侶やってます……」
随分と暗い感じのする僧侶で、盾山君やシュンちゃんとは正反対なタイプに見える暗夜さん。けど前衛の2人と後衛の回復役という組み合わせは、結構バランス良い感じだ。
回復出来る人って何人いても困らない貴重な存在だからね。
「2人ともこう見えてすっげぇ頼れる仲間でなぁ、もう俺は頼りっぱなしな訳よ!」
明るく笑う盾山君の顔はまるで自分の事のように、誇らしく自慢してるみたい。
Dランクまで上がると、こういう信頼関係が築き上げれるんだなぁ。僕達も頑張っていかないと。
それから互いに飲み物を飲みつつ、お互いのランクやレベルを確認していく。ダンジョンを潜るパーティ同士が集まれば、レベルやランクの見せ合いはよくある事だ。
「レベル27!? 俺より2レベル高ぇ……なのにランクがEって何してんだお前!?」
「レアフロアボスを狩る事に集中していて、ランクを後回しにしただけだ」
幼馴染同士、護君と盾山君でレベルとランクの確認をしたら、盾山君は自分より護君の方がレベル高い事に驚かされている。
2レベル高いという事は盾山君は25、それも7の僕からすれば結構高いけど。
「うわー、24ってリンちゃんレベル高いねー!」
「そうなの! 此処までレベル上げるのも大変だったニャ〜」
リオンさんは自分より高いシュンちゃんのレベルを見て、驚いてるみたいで24の彼女はえっへんと胸を張っていた。
ちなみに結構揺れて大き……いやいや!何処見てるの僕!?
「暗夜さん、レベル26って凄いですね?」
「ただのおんぶに抱っこで上げたようなもので、そんな胸を張れるような事ではないです……」
アイアンシールドの中で、実は一番レベルが高い僧侶の暗夜さん。特に偉ぶる事もなく、盾山さん達のおかげと小さめな声ながらも謙虚な態度。
「キミの方は……レベル7」
「あはは、全然低くて凄くないですよね。ランクも一番下だったりと」
周りと比べたら際立ってしまう僕のレベルの圧倒的低さ。こうした集まりでそれを晒すのはこれが初めてで、笑われるかなと暗夜さんの表情を見る。
「……そう言う人程、実は凄い。それに今は低レベルでもゲームを攻略出来てしまう時代でもある。現時点でキミがどうなのか、僕には判断が不可能です」
馬鹿にする事はなく、暗夜さんはメガネをクイッと上げる仕草をした。いや、それはちょっと僕を結構買い被ってるかも。
そこまで大層じゃないと思うし。
「あ、神城君は低レベルでもね。レアフロアボスを2体倒してるんだよ? 護君とも1対1で勝ってるし♪」
「えええー!? 私達まだそれ会った事もニャい〜!」
横からリオンさんが口を挟み、僕の情報についてペラペラと喋るとシュンちゃんも驚いたり、レアボスに会ってて羨ましいという視線が向く。
「な……何ぃぃ! 護、お前レベル7の彼に負けたってのか!?」
「大声を近くで出すな、本当だ。俺は神城に負けた」
盾山君の耳にも届いて話が、ややこしい方向に向いて行きそう。いかにも俺とも戦え!みたいな流れになってもおかしくない。
戦う気無いけどね!しんどかったし出来る事なら、もうあんな戦士系とタイマンなんてお断りだよ!
「むうう、お前がそう言うという事は本当か……神城、今度俺とも勝負してくれ!」
本当に来たし、すっごい断りたいんだけど……。
「えっと、今すぐは無理だよ?」
「勿論いずれで構わない、レベル7でそれが出来るという事は何か秘密があるはず……それが分かれば俺も更に強くなる切っ掛けとなるからな!」
タイプは違うけど流石は幼馴染と言うべきか、護君と似たような事を言ってる。というか僕もついつい断りきれなくて、いつかは戦う流れになってしまう。
「でもそんな強いならランクも上げなきゃ勿体ないニャー」
「ああ、特に神城はランクFに行けそうだし護も行けるだろう! 特に護がDにまで上がればアイアンシールドとアンフィニアーミーで一緒にダンジョンへ潜れるからな!」
ランクアップをやたら強く勧めてくる盾山君とシュンちゃん。そういえばどうやればランクアップするのか、その辺り聞いた覚えあるけど忘れたかも……。
自分のレベル上げだったり、JTuberとしての活動を一生懸命やって、その辺り結構忘れてそう。
「ランクGからFは一定以上のモンスターを倒していれば、その場で上げてくれるので比較的簡単のはずです……」
タイミング良く暗夜さんがランクアップの条件を出してくれて、僕は言われてから思い出す。
そうだった、とりあえずレベル上がってからとGランクダンジョンに潜っては離脱、潜っては離脱を繰り返し、動画配信の活動も重なって後で上げる目的は何時の間にか流れてしまう。
「じゃあアキバだから本社のラビリントカンパニーはある事だし、後で忘れず行っておこうか♪」
「いや、善は急げって事で今すぐ行こうぜ! 付き添うからよ!」
リオンさんの後で行こうという言葉に賛同する前、そこに盾山君が口を挟んでくる。
なんとわざわざ僕のランクアップの為に付き添ってくれるらしい。
めっちゃ付き合い良いじゃん!?




