26話 大食いイベントへの参加
「立樹ちゃん護さんが安静にしなくて、すぐトレーニングしてるんだってさー」
「あー、彼は真面目に鍛えるのサボらなそうだね」
甘利が動画の編集をパソコンで行いながら、スマホで立樹ちゃんとやり取りしてるのを、僕はコンビニで買った肉まんを食べている。
勿論甘利にもちゃんと買ってて、編集してるから後で食べるとの事だ。
「最近ダンジョンに夢中みたいで、大食いサボり気味かなって思ったけど、それもちゃんとやってるんだ?」
「そりゃJTuberとして動画の更新をずっと止める訳にはいかないからね。大事な収入源でもあるし」
ダンジョンに挑む傍ら、僕は出来る限りデカ盛りのあるチャレンジメニューに挑む。ちなみに今編集してるのは回転寿司でどれくらい食べて皿数重ねられるかどうか、というチャレンジだ。
制限時間50分で皿の枚数カウントはニ貫の皿のみ、一貫やサイドメニューは全部ノーカウントの厳しいルール。僕はサーモンやエビにえんがわと、様々な味を楽しみ美味しく食べていた。
もう食べる寿司が全部美味しいから、楽しいチャレンジだったなぁ。
「お兄ちゃん寿司得意じゃないのー? この前のラーメンの時と違ってあまり辛そうな顔がないよ」
「まぁ熱くないのが大きかったかな? 色々な味を楽しめたし」
今回の寿司はネタが色々あって、それが自然と味変になり飽きさせない。順調に行けるとこの時の僕は思ったけど、大食いはそんな甘くないんだよね。
猫舌な僕にとって寿司は相性良く、パクパク行ける。ただ50皿を超えてくると一気にお腹がズンと重くなってしまう。寿司ニ貫を食べてるという事はそれだけシャリも、お米を食べている事になるから終盤でペースはダウンしていた。
記録は56皿。けど50は超えたいと思ってたし、目標を達成は出来たので僕としては満足のいく結果……。
「大食いの凄い人はもっと凄いから、これで満足したら駄目だよー!」
僕より向上心の高い妹が満足する事を許さず、背中を押してくる。応援してくれたり動画編集してくれる可愛い妹に、僕の頭は上がらなくて下がるばかりだ。
「あれ?」
その時、動画コメントをチェックしていた僕は1つのコメントに目が止まる。
「えっと、「小さな体で素晴らしい食べっぷりですね!良ければこちらで主催する大食い大会イベントに出場してみませんか?」って何これ?」
「んー、名前は唐揚げ店ダンジョンチキン。ちょっと調べてみようか」
何処の誰か知らないので、念の為本当なのかどうか甘利に調べてもらう。便利なネットの世界だけど、たまに危ないのとかいたりするから気をつけないといけない。
「代々木にある公園で明日に唐揚げのイベント本当にあるみたいだよ。そこで大食いの大会もあるって」
「本当だったんだ……」
「ついでにダンジョンチキンも見てみればダンジョンの鳥系モンスターを使った美味しい唐揚げを提供するお店で、結構評価の高い所みたい」
とりあえず大食い大会は本当みたいで、このコメントを見るまでその存在を知る事は無かった。
護君が左腕の負傷をして、それが完治するまではダンジョンに潜るのは無理だろうから、特にやる事は無いし美味しい唐揚げにも興味はあるから僕は参加する事を決意。
グルーチャンネルが広まるチャンスなら、そういうのは積極的に出た方が良いからね。
翌日、代々木にある大きな公園へ訪れる。
近くには東京が誇る大都市、新宿があるせいか多くの人々が今回のイベントに足を運ぶ姿が見えた。その中には多分僕みたいな大会参加者もいるかもしれない。
僕や甘利も参加や動画を回す為に来てるけど、此処に何故かあの人まで同行してきた。
「本当に凄い人だねー、結構人気のイベントなんだ〜」
リオンさんの姿もあって、多くの人々を眺めている。甘利から昨日イベントに参加するのを聞いたようで、この場に駆けつけたらしい。
アキバでこの前結構な量の漫画やラノベを買ってたと記憶してるけど、まさかもう全部読んじゃったとか?
「おおー、グルー君来てくれましたか!?」
そこへ僕の姿を見て寄って来る一人の男。小太りで白い服に身を包み、頭にはコック帽をかぶっている。
「あ、はい。ひょっとしてコメントをくれたダンジョンチキンさんの?」
「ええ! 私ダンジョンチキンの店長兼オーナーを務める鳥田と申します!」
ううん、苗字といい体型といい美味しそうな唐揚げを、いかにも作ってくれそうな感じだなぁ。
「グルー君の小柄ながら良い食べっぷりを日々拝見してまして、今回の大会に出てもらえると盛り上がると思い、コメントを思い切ってしたのですが……此処に来たという事は?」
「はい、出られるなら参加しようと思ってます」
「おお! ありがたいです! あ、撮影は自由にして大丈夫なので存分にどうぞ!」
撮影OKなのは動画配信者として、非常にありがたい。場所によっては撮影NG食らうのも珍しくないけど、今日は堂々と撮影して良いそうだ。
「それで今日食べる唐揚げについては、まだ秘密ですか?」
「直前まで皆に秘密ですね、ただ美味しく食べられるのは間違い無いので期待しててください!」
美味しさに関して絶対の自信があるみたいで、鳥田さんは胸を張るとステージの方へと走り去っていく。元気な人だなぁ。
「カメラはちゃーんと回すから、お兄ちゃん出るからには優勝してねー?」
「まぁベストを尽くすよ」
甘利にカメラ担当を任せると、満面の笑顔で優勝してと無茶振りをされてしまう。どんな強豪出るか分かんないけど、とりあえず食べられるだけ食べようと思う。
朝にヨーグルト食べて胃のコンディションは整えて来たし。
「神城君、目立ってアンフィニアーミーの知名度上がるの期待してるね♪」
リオンさんから熱いウインクを貰いながら、知名度の上昇を期待される。
上がんなかったらゴメンなさいと言うしかない。
僕は2人の応援を受けて、大会の出場選手があつまるステージへ足を運ぶ。
「本日はダンジョンチキンが主催するイベントにようこそお越しくださいました!私雇われのさすらいMCカリーと申します♪」
露出度の高い黄色い服を着た金髪のお姉さんこと、MCカリーが場を盛り上げてくれる。
「それでは選手達が今回食べる物を此処で発表しようと思います! 店長の鳥田さんお願いしまーす!」
MCカリーの紹介を受けて拍手の中、鳥田さんがステージに姿を現す。
「今回食べるメニューは……バードバトラーと呼ばれるモンスターによる鶏の唐揚げ、1皿500gとなります!」
これを聞いた瞬間、思ったよりも厳しいチャレンジと確信した僕だった。
鶏の唐揚げ500gってガチで相当だからね!?




