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24話 新たな剣

 リオンSide



 職人とかそういうのって、堅物そうなおじさんがやるイメージあったけどこの店に来てあたしの抱いたイメージは叩き壊されていた。



 いや、いかにも黒ギャルじゃん。本当にこの子が鍛冶職人?名前はルナって言ってたけど、代理行けるのかな?



「……んん?」



 その時ルナと名乗る子が護君の左腕を見ていた。



「ちょっと護君、怪我じゃないの!? 大丈夫!?」



 あたしが護君の左腕をトリートで治療して、応急処置で巻いた包帯。それを見たルナちゃんは慌てた様子で護君の怪我を心配する。



「負傷はしたが回復魔法を施してもらったし、応急処置もしてくれた。大丈夫だ」



 護君は問題無い、という感じで辛そうな顔を全く見せずに答えていた。これで痩せ我慢して後になって体に大きく響くとかダメだからね護君!




「……」



 その時ルナの視線があたしを捉えている事に気づく。



 え、何かあたしの事をこの子睨んできてない?護君へ向けていた表情と明らかに何か違うし!



「あんた、マモ君の彼女?」



「へ!?」



 言われた言葉に一瞬頭が真っ白になってしまう。



 えーと、マモ君の彼女って事は護君の彼女であって、あたしにそれを言ったのは、あたしが護君とお付き合いしてるとルナちゃんは思ってる、でOK?



「違う違う、あたしはそこの護君とパーティ組んでる仲間で姫島リオン! 知り合ってまだ数日とかそこらだからね!?」



 そこは違うとあたしはルナちゃんに声を大にして言う。此処でややこしい誤解を大きくしちゃったら面倒な事になりそうだもん!



 そりゃあ護君はカッコよくてイケメンではあるけど、流石に出会ってすぐにそんな関係なったりしないし!



「えっと、僕も彼の仲間で神城明弥です……」



「ふぅん? 女子供とマモ君パーティ組んだんだ?」



 あたしに続いて神城君もルナちゃんに対して自己紹介。これで彼が20とか知ったら、どんなリアクションを見せるのかちょっと楽しみかも。



 ちなみにあたしは初めて知った時、うそぉぉ!?って驚いた。見た目がどう見ても短パンの似合うショタっ子だし、そうなるじゃん!?



「まぁそれはともかくー、うん。まぁちょっと出る所出て魅力的な所はあるけど、私には及ばないっぽいから大丈夫ね」



 何か腹立つなぁ〜。そっちも結構良い体してるっぽいけど、あたしの胸は平均より絶対あるし、なんだったら今も成長中だから!



「……親父さんがいないならしょうがない、邪魔をした」



「ちょっと待った待ったマモくーん!」



 当の本人である護君が背を向けて帰ろうとしているのを見て、ルナちゃんは護君を必死で引き止める。



「パパは確かに鍛冶を出来るコンディションじゃないけど、あたしは出来るから!サービス価格でやってあげるし!」



「……サービス価格はどれくらいだ?」



「えー、これくらいかなぁ」



 ルナちゃんのサービス価格と聞いて、護君はそこに興味を惹かれたのか足を止める。まぁ妹の立樹ちゃんと2人暮らしだから、安く出来る所は節約しておきたいよね。



「じゃあ仕事を依頼するが……大丈夫なのか?」



「私を甘く見たら駄目だよマモ君〜? こう見えても鍛冶スキル高いし、そこは才能ありまくりだからね☆」



 護君がルナちゃんに新しい剣を作ってもらう事を決意すると、ルナちゃんは軽いノリでハンマーを構えてみせた。



「分かった、素材はこいつで頼む」



「おおっ? これまた立派な剣……いや、モンスターの腕かな」



 伊達に鍛冶職人を名乗ってないみたいで、護君の差し出したレアボス昆虫の腕を見たルナちゃんは、それが剣じゃなくてモンスターの腕だと気づく。



 気の所為かルナちゃんの目が鋭くなったように見える。



「っし、気合い入って来たぁ! マモ君、私の手でこれを立派な剣にしてみせるからね!」



 銀髪の髪をすっぽりと包むように、ルナちゃんは頭に赤いバンダナを巻く。これでスイッチが入ったのか、気合い充分って感じで護君から素材を受け取ると作業場へ向かう。



 折角だから見学してみよ、勿論邪魔にならないよう遠くからね?




「すっごい迫力……」



 鍛冶職人の仕事を目の当たりにした神城君と同じく、あたしもその迫力に驚かされる。



 ゲームとかでハンマーを使ってカンカンと叩いて鍛える、ていうのは見た事あるけど同じ光景が目の前で見られた。



 さっきまで軽いノリな黒ギャルって感じだったのに、右手にハンマーを持ってひたすら剣を打ち続ける。



 まるで何かに取り憑かれたみたいで、大量の汗が流れるのも構わず一切手を止めない。生で鍛冶職人の仕事を近くで見ると、こんな迫力があったなんて全然知らなかった。



 神城君、護君、そしてあたしは彼女の仕事を邪魔する事なく見守り続ける。




「ぷっはぁ〜、やっと出来たぁ〜!」



 突然立ち上がったかと思えば、冷蔵庫から冷たいジュースを引っ張り出してルナちゃんは勢い良く飲む。喉を潤してから仕事が終わった事を高らかに言う。



「持ってみても構わないか?」



「マモ君の剣だから、どぞどぞー」



 ルナちゃんから許可をもらうと、護君は右手で剣を持つ。白銀に輝くような剣で、名付けるなら白銀の剣って感じかな?



「……ずっしりとするが不思議と手に馴染んでくる。良い剣だ」



「良かったー!これで気に入らないとかなったらどうしよ!?ってなる所だったよ〜」



 護君の手に合ってるらしく、良い剣が出来上がったみたい。あの巨大ボスの腕だから、重量のありそうな剣っぽいけど戦士で力のある護君なら上手く使いこなしそう。




「まいどー、護君なら24時間大歓迎だからね〜♪」



「何時からコンビニになったんだ此処は」



 剣の代金を精算して、護君は支払いを済ませるとルナちゃんからのアプローチを躱していた。



 あの子明らかに護君に対してそうだろうけど、多分落とすの大変だろうなぁ……密かに応援しよ。




「護君の用事はこれで終わり?」



「いや、まだ1つ残っている」



 ファッブロの店を出て神城君が護君へ用事は全て終わったのかと聞けば、1つだけやる事があったみたい。



「ラビリントカンパニーへ向かう」



 その場所を聞いてあたしも神城君も驚く。



 ラビリントカンパニーと言えば、この世界にダンジョンが出現してから、ダンジョンの解明や攻略を目指す為に作られた会社。



 急成長して大企業になった今、その名前は日本全国で有名になっている。そんな所へ何しに行くんだろ?

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