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2話 不遇スキルと共に歩き始める

「大食いって、いっぱい食べられるようになるって事?」



「それについては知らん。それがお前を選んだだけだ」



 覚えたらしい大食いのスキルについて、僕は頼れる黒フードの人に聞くが詳しくは知らないらしい。



「ただ言える事は、スキルを活かすも殺すもお前次第。こちらはこれ以上出来る事は無い」



「あ……!」



 黒フードの人は僕にスマホを託したまま、再びその場を風のように去って行く。やっぱり忍者みたいな人だと今でも思う。



 その後スマホのガイドによって、なんとか家まで帰る事が出来た。それから親戚の叔父さんと連絡が繋がり、両親が行方不明のまま家で1人だった僕は親戚のお世話になる。



 おかげでスマホの使い方については教えてもらい、どうにかスマホを操れるようにはなった。




 あれからスマホを詳しく調べてみれば、自分にはスキルの他にレベルという物がついている。RPGゲームとかでよくある、あのレベルだ。まさか現実で僕自身につくなんて想像もしていなかったなぁ……。



「(大食いスキルについて知りたいなぁ……凄い力とかかな?)」



 表示されたレベルは1。その下には開花したとされる大食いスキル。試しに大食いの文字を右手でタップすると、大食いについて詳しい説明をAIが語ってくれた。



『魔法を使えるようになりますが、使えば使う程お腹が減り、あなたの満腹度が魔力代わりとなります。多くの経験値が必要になるのでレベルは上がり難くなります』



「え……?」



 意味が分からなかった。今見ても変な説明で変なスキルだと思う。



 つまり僕の満腹度って言うのかな?そういうのが魔力代わりのような物らしい。それが大食いスキルらしいけど、僕のイメージしていた大食いスキルと全然違う。



 大食いスキルとなれば胃袋が底無しになって、無限に食べられるとかそんかイメージだけど、無限には食べられない。どんなに頑張っても何度かご飯をおかわりすれば、お腹いっぱいは迎えてしまう。



 何よりレベルが上がり難い。これを知った時、僕はかなり不利じゃない!?と思った。上がり難いってどれくらい上がり難いのか分かんないし、幼い僕でもレベルが上がらないのは駄目だと理解出来る。


 スキルが大食いだから、レベルアップに必要な経験値も多く食べる……もとい積み重ねろって事?



 この時点でめっちゃ使い難いスキル確定だよね!?



「魔法って僕何が使えるの?」



 言えば何か答えてくれるかなと、僕は期待を込めて聞く。



『フラム、レベル1が使えます』



「フラム……?」



 これは時が経って知った事だけど、フラムとはフランス語で炎を意味するらしい。ただ当時7歳の僕がフランス語が分かるはずもなく、この時の僕には意味が分かっていなかった。



 とりあえず今思うと魔法の名前が短くて良かったと思ってる。だって長い名前で、なんとかフレイムとか凄く長かったら正しく名前言える自信無かったから!



 噛んだりしたら魔法発動しないよね?



 僕は外に出ると、空に向かって試しに魔法を使ってみる。



「フラム!」



 両手を合わせて中心に穴を作ると、その穴から炎が飛び出して来た。まるでサッカーボールぐらいの大きさの炎の玉が、空へと向かって飛び立つと、そのまま空に消えていく。



「本当に出せた……!!」



 自分の手で炎を出せて、僕は驚きと感動に包まれながら自分の手を見つめる。ゲームでよく見てきた魔法を自らの手で使えるようになるなんて、魔法使いになった気分だ。



「フラム!フラム!」



 なんだか楽しくなってきて、僕は調子に乗ると続けて炎の玉を連発して空に放つ。



「う……!? フラム……!」



 すると僕のお腹が突然鳴り始めて、それでも魔法を唱えると、あまりに小さい火の玉が手から出てフラフラと上がったかと思えば消えてしまう。



「魔法出来なくなっちゃった……お腹、本当に空くんだ……?」



 あのAIが言った通り、魔法を使った直後に空腹感が襲って来た。無理して使えばこんな感じで使えなくなると、僕は身を持って思い知らされた。


 これ連発でもしたらお腹が空き過ぎて、ガリガリになっちゃう!?と怖くなったりもしたっけ……。



 こうして僕は魔法が使えるけど、お腹が減りやすくなる変な大食いスキルと付き合う日々が始まった。




 大昔から人類は大変な危機に陥ったりしたけど、その度に乗り越えてきている。



 世界中に謎の洞穴や遺跡みたいなのが出現したと、当時大騒ぎになっていたけど、気づけば謎の場所がダンジョンと呼ばれるようになって、僕の他にもスキルに目覚めた人が次々と現れていく。



 大半が僕よりも強く便利そうな力ばかりで、その能力を振るう姿はJTubeと呼ばれる、動画サイトで公開されて世界中で物凄く見られていた。これは国公認どころか推してもいて、少しでも今の世界についての情報を共有したいとの事らしい。



「うわぁぁ〜……!」



 僕はお昼のおにぎり5個を食べながら配信を見て、驚いてしまう。彼らはダンジョンに入って生配信すれば奥へ進む。



 その中で現実世界にはいない未知の怪物と遭遇。小さなアリを人以上に大きくさせたのが襲って来たり、大きな毛虫が地面を転がって来たりと、とにかくダンジョンの中はそういった怪物……モンスターと呼ばれる存在でいっぱいだ。



 それをスキルを会得した彼らは剣などの刃物で戦ったり、僕と同じ魔法で戦う人がいれば、格闘家みたいに素手で立ち向かう人もいて、皆がモンスターと戦い倒す姿が世界中に流れた。



 こうして今の世界についてはすぐ広まり、ダンジョンに向けたアイテムやスマホが新たに作られたりと、人類が今の世界に適応しようと動き出す。



 世間も受け入れて当たり前となったのを思うと、人間の適応力って本当に凄いと思う。




 JTubeを通してダンジョンについては分かり、配信で活躍する彼らを見て僕は格好良いとなって自分でもその世界を目指そうと、努力の日々が始まる。



 何かしていないと、不安に潰されそうというのもあったかもしれない。


 どんなに時間が経っても両親が戻らなくて、このまま戻らないとマイナス思考が頭の中を支配しそうになってしまう。



「フラム! フラム! フラム!」



 魔法に慣れようと、フラムを主に使う日々。ただその度にお腹が減ってくる。食べる量は自然と増えていき、親戚の大人達は食べ盛りなのは良いと笑っていた。



 ただ歳を重ねて来ると、稼ぎもしてないのに食べまくるのは悪いと思えて、自分でも稼ごうと考えるようになる。



 叔父さんが喫茶店を経営しているので、そこの手伝いをしようとするがバイト出来る年齢にならないと駄目と言われて断られ、早くもどうしようと考えてばかり。



 その時思いついたのがJTubeで、自分のチャンネルを持つ事。上手く行けば僕でも稼げると、早速作ってみる。



 でも何をしよう?僕は他の人みたいに強くなくて、ダンジョン攻略は届けられないし、強いモンスターを倒す動画も無理だ。


 そこで目を付けたのが大食い。食べる量は増えてきたし、特盛も当たり前のように食べられる。参考までに他の人の大食い動画を見たり、色々勉強して僕はJTuberとして無事にスタート。






「(久しぶりだなぁ……こんな昔の事を振り返ったのは)」



 過去を遡る旅は終わって、僕の意識は現在へ。一瞬どうしたんだっけとなるけど、すぐに目的地に行く為に電車で向かうんだと思い出す。



 揺れる電車の中でドアの前に立ったまま、ボーッとしてたみたいだ。目の前のドアが自分の姿を映すと、当時と変わらず短髪の赤髪が見えて黒い無地のTシャツの上に、白い半袖の上着を纏う。下は黒いハーフパンツと僕の普段の姿がよく見える。



 あれから13年、当時7歳と幼かった僕もすっかり大人に成長……じゃないね。僕の身長は明らかに周囲と比べて小さかった。そりゃそうだ。



 20で成人迎えてるけど、僕身長140cmしかないんだもん!



『次は〜曙橋〜曙橋〜』



 おっと、目的地に到着だ。此処で降りなきゃね。

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