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「さて」


 話し合うために向かった場所が魔術塔でそこが半壊してしまったから、これからどうしようかな。

 ここから近くの町に向かうも時間がかかるし、天使であるルルカが目立ちすぎてしまう上、俺という存在が邪魔すぎる。


「あ、あのリルアさん」


「なんだ?」


 俺が考え込んでいると、ルルカがローブの袖を掴んで引っ張ってきた。

 何か言いたげな顔でこちらを見てきたあと指さした方、魔術塔の入り口を向くと、そこには仮面を付けた人間が拍手をしながら歩いてきていた。

 気配もなく突然現れたそいつには、隙がなく、だけど余裕そうな雰囲気を漂わせていた。

 パッと見は子供もしくは小柄な女性、武器は腰に提げている剣だけ、魔力量は魔導具で隠しているのか乱れている。


「いやー素晴らしい、ああ本当に素晴らしい予想通りだよ、魔術の上を行く奇跡、魔法。死者の魔力と言いながら多分君の隠してる力なんだろうね、指定した物を空間ごと刈り取る【断界】絶対防御の壁ですら紙切れのごとく切り裂く魔法、本当はそのまま仕留められた所をルルカくんに任せたのは呪いを見たかったからだろう、ねえ死神くん」


「誰だ貴様、なぜここにいる」


「誰かねここでは、仮面の勇者と名乗ろうかな、で、ここにいる理由は君に依頼した主だからだよ」


「まさか依頼主が直接会いに来るとはね」


 警戒は解けないどころかさらに増していく、そうさせるほどに、この仮面の勇者が強者というのを感じ取っていたからだ。


「まあそんなに警戒しないで、これでもボクは君を助けに来たのだからね」


 それを信じられるわけがなく、鎌を構えて威嚇するように魔力を放つ。

 その時ルルカが割り込むように声を発した。


「リルアさん、あの人私にリルアさんを教えてくれた人です」


「あいつがか?」


 ルルカと出会った時に俺の事を教えていたという仮面を付けた人物の事か。

 それなら自分で助ければいいものをなぜわざわざ俺に依頼なんかしたんだ?

 そう思っていると、仮面の勇者が指を鳴らした。

 すると何も無い空間から机と椅子が現れた、収納系の空間魔術を疑ったが、何か出したという感じがなかった。

 仮面の勇者に促され、椅子に腰掛ける。


「色々考えてることがありそうだが、まずはボクから言わせてもらうね、君に依頼した理由はふたつあって、ひとつはボクがこの世界の理から外れた存在だから」


「世界の理?」


「まあそこはおいおい話すとして、もうひとつはボクが直接ルルカくんを助けると世界が崩壊しちゃうからなんだよね」


「は?」


 世界が崩壊? 突然スケールが大きくなりすぎて頭がおかしくなりそうなんだが。


「そんな顔になるのは当たり前だよね、まあ予言とだけ言っておこうかな、『呪われし天使解放される時、世界は崩壊を迎える。救えるのは死の神のみ』って感じかな」


「感じかなって、俺は悪魔だし死神は周りが言っているようなものだぞ、物語に出てくる死神とは違ってあっちは天界の存在だろ、物語がひとりでに出歩いて人間界で悪魔が死神になるって認識されただけで」


「でも君純粋な悪魔じゃないでしょ、混ざり物なんだっけ? だから人間に近く、悪魔らしくない。天界の状況に詳しいのは君の妹たちがいるからだろう、そしてルルカくんの呪いについてある程度予想はできてる、違うかい?」


 こいつどこまで知っているんだ、いや全部分かっていると仮定している方がいいか、気味悪いな。

 ルルカの呪いがどんなものなのかはさっきのキメラの戦いで予想がついた。


「死神の呪い、もしくは吸命の呪いと呼ばれるもの、死神の呪いはルルカの話の通り傷つけた相手の命を過程を無視して奪う物。効果範囲はいのちある生物、生きているなら不死者だろうが殺せる」


 珍しい呪いで解呪方法がないが致命的であり、今直面している1番の問題が次にある。


「そして吸命の呪い、これに関してはさっきの戦いからわかったことだ、これも発動条件は死神の呪いと同じで相手を傷つけるだけ、生命力を魂から奪い取り自信に取り込む。戦いでけがをしていたのに、傷口がふさがっていたから気が付いた。どっちも強力な力だが、呪いはなんだからの代償がある、けど今はその代償に関してはどうでもいい。問題は同じ場所に呪印があるという可能性だ」


 呪印はその呪いが効果を1番発揮する身体のどこかに刻まれる。

 それが同じ場所にあるがどう問題か、それは呪い同士が共存しあい予想出来ない効果を発揮するのと、それを解呪すると所持者の負担が大きくなるというものだ。


「呪印の場所は恐らく心臓の辺り、ルルカが女性ってのあって今すぐ確認出来ない、間違えはないだろう。で俺の予想だが無理にでもこのふたつの呪いを解いた場合、呪いが暴走してそれが世界の崩壊に繋がる違うか?」


「本当に素晴らしい正解だよ、無理やり呪いを解いてしまったら、呪いが今まで奪った命を形ある生物として生み、全ての生命を吸い尽くすまで活動を続ける」


「じゃあ私はこの呪いを解呪することが出来ないと」


 ルルカの顔が絶望で染まるが残念ながらそうなる、解呪の依頼がなく保護という形なのはそれが原因だろう。

 プラスで言うと多分死亡も崩壊のトリガーになりえるだろうな。

 さてそろそろ呪いの代償とやらが始まりそうだな。

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