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皆は兄弟いますか?

私は弟がいます。

特別仲が良いと言うわけでもないし、特別悪いわけでもない。

弟に不満があったわけではないけどお姉ちゃんという存在に憧れていた。

優しくて話を聞いてくれるお姉ちゃん。男女の兄弟とはまた違って女同士ならではの話なんかしちゃって…

まぁ、憧れたところで今からお姉ちゃんっていうのは難しいんだけど。



―――そう、確かにお姉ちゃんに憧れていた時もあった。

でも違う。

こんなのは望んでない!







-------


私の名前は瑞葉(みずは)。どこでにもいる普通の社会人…に擬態したオタク。

アニメや漫画、ゲームいろいろなものに手を出してはいるんだけど、ある漫画の話をさせて欲しい。


「水色の瞳を持った私は聖女になるらしいけどそんなの関係なく好きなことして生きていく!」

…っていう最近よくありそうなちょっとタイトルが長い漫画。

主人公である少女リーラと隣国の王子が出会い、惹かれあうありふれた良くある話。

リーラは小さな村の花屋の娘で人柄もよく明るい彼女は村人から人気だった。

花屋の店主の老夫婦はリーラの育て親で本当の両親では無かった。しかし3人は仲が良く本当の家族みたいに過ごしていた。

8歳の時にこの花屋にやってきたリーラは記憶喪失で過去の事はある事を除いて何も覚えていなかった。

そのある事というのは2歳下の妹の事である。他の事は何一つ思い出せないけど妹の顔と仲が良かったことだけは覚えていた。

リーラは別れて離れ離れに生活している妹の事を気にしていた。いつか会えると信じて…

そんな生活をしていたある日リーラの生活が一変する。リーラが20歳の年である。

リーラの育て親である老夫婦が亡くなったのである。寿命を全うした二人は仲良く同じ日に亡くなっており、生前仲が良かった二人が起こした奇跡だとリーラや村人は笑っていた。

これから先決して裕福な暮らしとはいかないだろうが、老夫婦が営んでいた花屋を自分が引き継ぎ細々とやっていこうと意気込んでいた彼女の元に二人の人物が訪れた。

1人は細身の男性で、こんな小さな村には似合わない上質な服を着ていた。どこか胡散臭い笑顔の彼は自分をリーラの両親の遣いだと名乗り、成人を迎えたリーラを迎えに来たのだと言った。

急に来た彼に、リーラは怪しんでいたが少し後ろに立っていた人物に目を見張る。

二人目は、なんとずっと気にかけていて自分の過去の記憶に唯一存在している妹だった。

記憶の物とは大分大人びていたが一目見て彼女が妹だと気が付いた。

さっきまでこんな怪しい人についていくわけがないと思っていたリーラだったが、自分の過去や妹のことが少なからず気になっていたため、付いていくことを決意する。

しかし待っていたのは優しい両親や楽しい生活ではなかった。

屋敷に着いてリーラはすぐ生みの親である両親と再会する。自分や妹の面影がある両親の顔を見て、この人が自分の両親だと漠然と理解はしたが、育ての親である老夫婦との思い出が脳裏をよぎったリーラには感動の再開はできそうになかった。しかし、まだこの時はこれから楽しい思い出を一緒に作っていけると思っていた。


屋敷での生活は小さな村で自由気ままに過ごしてきたリーラにとってとても窮屈なものだった。

1日の生活サイクルは細かく決められており、外出もろくにする事が出来ない。作法や勉学もつまらなく自分には必要の無いものだと思っていた。

何より事あるごとに「貴女は聖女になるべきお方なのですよ」と使用人や両親に言われうんざりしていた。

リーラの家には古くから伝わる言い伝えがあった。


-水色の瞳を持つ者が産まれ成人した時、美しい一輪の花を咲かせ世界の未来を視ることが出来るであろう。そしてその者が国に平和をもたらす聖女となりこの国を導いていくであろう-


この言い伝えが本当なのか、嘘なのか誰もわからなかったが、リーラが水色の瞳をもって生まれたとき一族は騒めきたった。そのざわめきは素直に喜ぶもの、悪用しようと考えるもの、様々だっただろう。

最近貴族として名が落ちてきてた一族にとってリーラの存在は一族復興につながる大きな存在だった。

…しかし一筋縄でいかないのがリーラだった。

幼いころからお転婆だったリーラは屋敷に閉じこもり勉学に励むような少女ではなかった。

両親や使用人の隙を狙い二年あとに生まれた妹を連れいつも街へ抜け出していた。この時点で妹の描写は深くされてはおらず、姉に連れまわされていた緑の瞳の少女。程度だった。

リーラは外の世界に憧れ、何にも縛られることのない生活を求めていた。このままではいつか家から出て行く!などと言い出しかねない彼女に焦りを抱いた両親は彼女の記憶を消し、街から遠い、何もない辺鄙な村へ連れていき、お人よしそうな夫婦が営んでいる花屋の店先に置いていった。立派な育児放棄である。

その村は近くには森しかなくさすがのリーラでもこの環境で、さらに記憶が無いならこの村から出て行かないだろうと考えたのだった。もちろん、護衛と監視を兼ねて屋敷から使用人を村人に扮して紛れ込ませていた。

両親の作戦も功を奏し、彼女は20歳まで小さな村から外に出ることなく平和に暮らしていた。


噂と話好きのメイドたちが話していた自分の過去を聞いたリーラは怒った。

そして妹と一緒に屋敷を抜け出し隣国へと逃げる。そして王子と出会い、仲間たちと様々な困難を乗り越え物語はハッピーエンドへと進んでいく…

…というのがこの漫画の冒頭である。

主人公のリーラとそのお相手となる隣国の王子はもちろん。もう一人話題になったのが妹である。

冒頭では詳しく描かれていない妹だが物語が進むにつれ姉が好きすぎる妹として話題になった。

妹は姉の事をとても大事に思っており、自分の怪我を試みずいつも姉を守っていた。

私もこの漫画を読んだとき、この妹はリーラの事が大好きで大好きで仕方ないんだなぁ…程度にしか考えていなかった。

どうしてそこまでリーラの事を守るのだろうかと多少疑問に思っていたのだが、そこまで深い描写は無かったので想像するしかなかった。


それが、こんな身をもって体験することになるとはあの時の私は想像が出来ないだろう。



まさか、リーラの妹に転生するなんて!!

そしてこんな壮絶な人生を送っていたなんて!!

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