二日目(朝)
午後11時。会議終了後の空気は最悪だった。
ペプシ「今日だけで二人…この後誰かまた一人殺されんのか…」
のえる「もう二人死んでるんだから…。俺占いだから守護者の人は守ってほしい」
イリ―「よくそんな事軽々しく言えるな…」
ペプシとのえるの間にイリ―が口を出す
のえる「だって今の所白確俺じゃん」
イリ―「そうじゃなくて…人が死んでるんだよ…簡単に死んだとか殺すとか言わないでくれよ…」
のえる「事実じゃん。俺はあんな風になりたくない、生き残りたいから真面目にやってるんだろうが」
イリ―「そこまでして生き残りたいか?周りの人間見殺しにしてまでよ!」
いちか「ねえやめろって今は…」
いちかが間に入って止めようとする
いちか「とりあえずこの話は明日にしよう…」
のえる「お前だってアイランドに投票したじゃねえか…お前も同類だよ」
イリ―「よくそんな事言えるな…!あ、わかったお前ら人狼か?」
ペプシ「なんでそうなるんだよ…」
いちかが止めようとするが言い争いはさらにヒートアップする
イリ―「占い対抗出ないのってファルコンが占い持ちだったからだろ…」
のえる「は?」
イリ―「ファルコンが役職持ってないとは限らないだろうが…。お前ら二人が人狼か狂人で白語ってんだろ…。だいたいお前ら何を確信にそうくっ付いてんだよ…」
ペプシ「くそが…お前な!」
のえる「いやペプシ…。いいから」
のえるがペプシを鎮める
のえる「…とりあえず、この話は明日にしよう。お互いが生きてたらの話だけどな…。守護者は俺守り把握よろしく」
イリ―が何か言いたそうだったが、そんなことも気にせずにのえるとペプシは部屋に戻っていった。
イリ―「くそが…やってられるか…」
イリ―も部屋に戻って行った。それをいちかとよざくらが見届けて行った。
いちか「はあ…空気最悪じゃん…」
よざくら「そうだね…。…もう今日は戻ろう、それで明日また話し合おう」
よざくらが広場にいる人たちに声かけをする。
よざくら「今日は解散にしよう。ゲームルールに大人しく従った方がいい」
と言ったよざくらは、残されたアイランドの抜け殻に歩み寄って行く。
よざくら「せめて…静かな場所に寝かせてあげよう。誰か部屋まで運ぶの手伝ってくれる人は…。ギルベルノ」
ギルベルノ「…え?あ…俺?」
よざくら「それと、いちかさん。部屋まで案内してくれない?」
いちか「あ…わかった」
嘘だろ…死体を担ぐって…なんで俺が…?
アイランドに触れるのには抵抗があった。さっきまで生きていたのに…。自分も近いうちにこうなってしまうかも知れない。考えてしまうと恐怖で手が震えだしてしまう。
よざくら「ギルベルノ?…いやなら無理しなくていいよ」
よざくらがそう言ってくれた。だが、アイランドは俺が殺したも同然。あそこで何も言わないままだったらログアが死んでいたとは言っても、人一人を殺すように仕向けたのは俺と言っても過言ではない。せめて彼の為に。
ギルベルノ「…やります」
よざくら「よかった、じゃあそっち持って。いちかさん案内よろしく」
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アイランドをベットに寝かせて、手を合わせる。よざくらがそっと毛布を掛ける。とても重くて、冷たかった。
よざくら「ありがとう。ごめんね無理させて」
ギルベルノ「大丈夫です…。せめて彼の為に…」
よざくら「…"自分がアイランドを殺した"とか思ってる?」
ギルベルノ「いや…あの…っはあ…」
よざくらの言葉に驚いた。否定しようとはしたが言葉に詰まり、ため息を出すしかなかった。
よざくら「そんな事考えなくていいんだよ。生きるためなんだ、仕方ないよ」
ギルベルノ「…僕は皆がアイランドさんに投票するように仕向けた…」
よざくら「でもそれのおかげでログアさんが救われたじゃん。君は何も間違ってない。それに…人狼ゲームってそういう物だし」
よざくらはそう言い残すと部屋を出て行った。
彼の言葉を受け取って、なんとなく救われた気がした。それと同時に、"仕方なかった"自分を正当化しようとする自分が憎くて、惨めで仕方なかった。
俺はアイランドの部屋を出て、自分の部屋に戻ろうとする。
帰る途中、部屋の外でいちかと会った。
ギルベルノ「あっ…いちかさん…ですか…」
いちか「はい、今日はお疲れさまでした…」
お互い軽く会釈をする。
ギルベルノ「なんやかんや話すの久しぶりですね…」
いちか「まあ…こんなので会うとは思わなかったですけど…」
ギルベルノ「…あの…なにか…?」
なにか聞きたそうな感じがしたので聞いてみる。
いちか「あの…イリ―さんなんですけど…。なんか変な動きとかなかったですか?」
ギルベルノ「動き…変な…?」
そういえば広場でのえるとペプシに…。
ギルベルノ「そういえば…のえるさんと広場で口論してましたね…イリ―さんが何か?」
いちかさんは言うのを躊躇っているのか、なにか企んでいるようだった。
いちか「その…いや、やっぱりやめておきます…」
そういうと急いで走り去っていった。
ギルベルノ「あ…なんなんだ…?」
イリ―さんを疑ってるのか?…なんで?確かになんか情緒不安定だったけど…。
もやもやが残るが、あまり模索せず、部屋に戻ることにした。
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「いやだ!やめろっ!なんで…!なんでお前が!」
暗闇の中を逃げ惑う声。それを追いかける数人の足音。
「はあ…はあ…っあぁ…。くっそ…」
椅子か何かにぶつかって転んでしまう。早く逃げないと。あいつらが来る。オオカミが。
「なんで…この前まで一緒にゲーム遊んだりしたじゃん…!なんでそんなこと簡単にできるんだよ…!」
オオカミはもうすぐそこまで来ていた。オオカミは獲物の上に馬乗りになり、大きなダガーを振り上げる。
『なんでかって…?』
そのままダガーを獲物の腹に突き刺す
「あ"あ"あ"っ!が…ああ…」
『見たいんだよ…裏切られて…絶望に満ちたその顔が』
もう一撃
「う"あ"ぁ!…やめで…」
『どんな気分?もっと見せて』
もう一撃
「あ"っ…がはっ…」
『叫んでみてよ、生きたいって』
「助…げ…」
もう一撃
オオカミは獲物を食らい続けた。生きたまま腹を開いて、喉を裂いて、内臓を食いちぎった。オオカミは腹ペコなんだ。明日は誰を食べようか。
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「くそ陰キャがw気持ち悪いんだよカスがよ。下手くそな絵晒してんじゃねえよ」
クラスメイトはそう言って俺を小突く
「勉強した?ただでさえ成績悪いんだからしっかりしなさいよ」
親はそう言って俺を罵る
「お前もう死ねば?」「ちゃんとしなよ」「ゴミが」「なんで殺したんだ」「ホント最低」
わかった
わかったからもうやめて
「なんで見殺しにしたの」「苦しい」「助けて」「見るな」「死にたくない」
俺が何したって言うんだ
これ以上構わないでくれ
「人殺し」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」
いやだ
やめて
ききたくない
アイランド「殺してやる」
ギルベルノ「っっっ…!!!」
…夢だ。気が付いたらもう朝だ。ひどい悪夢を見ていた気がする。汗が止まらない、心臓がバクバクなっているのが聞こえる。
ギルベルノ「…そうだ、ここって…」
周りを見渡す。あの部屋だ。俺の所に人狼は来なかった。俺は生きてる。
ギルベルノ「…はあ…生きてる…」
安心してため息を漏らす。でもやっぱり夢じゃなかった。今日も理不尽なゲームに巻き込まれるんだ。
「きゃあああああああああああ!」
高い悲鳴が建物中に響く。この声は
ギルベルノ「…オサシミさん?」
急いで部屋を出ていく。
かしわもち「っあ、ギルベルノ…よかった生きてた…」
部屋を出た所でかしわもちに声を掛けられた。かしわもちは隣の部屋だったらしい。
ギルベルノ「かしわ…今の悲鳴って…」
かしわもち「たぶん…あの女の人…。死体見つけたのかも」
ギルベルノ「そんな…」
また一人犠牲になってしまった。二人は急いで悲鳴が上がった所へ向かった。
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建物中を走り回った。どこにいるんだ…?
周りを見渡してみた。廊下の突き当りでオサシミが腰を抜かしている。
急いで駆け寄る。
ログア「おいオサシミ!もう…なんなんだ…」
オサシミ「ああ…あああログアさん…ログアさん…」
いきなりしがみついてきたと思ったらどこか指をさしていた。
ログア「…っ!」
かしわもち「ログアさん!何が…あ…そんな…」
後からかしわもちとギルベルノも合流した。
ギルベルノ「あっ…これ…」
オサシミ「もういやだ…なんで私…帰りたい」
かしわもち「な…ひどい…なんでこんな執拗に…」
ログア「嘘だろ…」
そこにあったのは、いちかの死体だった
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「人狼ゲーム」
生存者 9名
ログア
のえる
ギルベルノ
オサシミ
あおい
よざくら
いちか
イリ―
ペプシ
かしわもち
死亡 3名
ファルコン 死因:ルール違反
アイランド 死因:投票による処刑
いちか 死因:人狼による襲撃(刺殺)