幕間(1)
日々の雑務お疲れ様です( ´ ▽ ` )
今回は少し時間が戻って夏休みに入ってすぐの話です( ´ ▽ ` )ノ
「それにしても良かったのか? 楓に言った方が良いと思うんじゃがの」
「確かに今ちょっと後悔してるかも、まあ楓なら許してくれるだろ」
夏休みに入り、楓はここの所ずっと俺達と行動していた事もあり、今日は半ば強引に学校の友達から遊びに誘われて出かけている。わざわざ邪魔するのも悪いと思い、俺とルキは黙ってダンジョンに来ている。
「〈天啓力〉20を使った鍵だけど、結構簡単にクリア出来そうだな」
「それもそうじゃろ、淡い死者のダンジョンで解のレベルと〈天啓力〉が上がった事じゃし、1人でも攻略出来るはずじゃ」
“彷徨う蝙蝠の鍵”を使って入ったダンジョンの道中に出てくるモンスターは“ブラッドバット”と“ブラックバット”の2種類でチェインとルキの剣で1人でも対応できる。
時々ルキも蝙蝠に光魔法を打ち込んで一撃で倒していた。
今回のダンジョンはこれまでより少し広い程度の洞窟だったが、それ以外は特に変わったこともなく順調に歩を進めていった。
「ルキは俺達の世界での生活に慣れてきたか?」
「おかげ様での、お主らの世界の食べ物は本当に美味じゃから何にも不満はないぞ。……というか珍しいの、解がそんな話をしてくるとは」
そういえばルキと生活し始めてそれなりになるが、こういう話はあまりしてなかったな。
いつもテレビドラマや食べ物の話しかしてなかったような気がする。
「不便に感じていないなら良いんだ。この世界での生活に慣れたのか気になってな」
「儂はあの狭い世界で気が遠くなる程の時間を鎖に繋がれて生き長らえて来たのじゃ、それと比べれば解との生活は幸せそのものじゃぞ?」
ルキはフッフと笑う。
確かにあの狭い土だけの空間でずっとずっと途方も無い時間を過ごして来たのかと思うと考えるだけでぞっとする。
そう考えるとルキにもう少し優しくしようかなとも思ったが、常にお菓子を食べ横になりながらテレビを見てる姿を思い出し、別に今のままで十分過ぎるぐらい優しくしてやってるなという結論に至った。
「ほれ、ボス部屋の扉が見えてきたぞ。儂は手を出さなくて良いのだな?」
そうこうしているうちに、いつもと同じ大きな赤い扉が見えてきた。
「ああ、1人でやらせてくれ。少しでもレベルを上げときたいしな」
そう言って俺は両開きの扉を開ける。
ゴゴゴ……。と扉が開き、中を確認すると天井に大きな蝙蝠が1体と周りに無数の蝙蝠がぶら下がっていた。
鑑定で名前を確認すると大きい方の蝙蝠がブラッドバットリーダー、無数にいる蝙蝠が魔バットだった。
(いや魔バットて……適当すぎないか?)
俺達が入ってきた事を感じ取ると、魔バット達がキイキイと鳴き飛び立ち部屋の中を所狭しと飛び回る。
「うおっ、キモいし煩い!」
俺は何回も“チェイン”を使い、飛んでる魔バットに向けて攻撃するが、1回の攻撃で1・2体に当たり倒せるものの正直、焼け石に水で全部倒すのは骨が折れそうだ。
「儂も手伝おうかー?」
ルキがニヤニヤしながら意地の悪い笑みを浮かべている。
「くっ、性格の悪い奴め! 大丈夫、俺1人でやるよ」
「そうか、なら儂は休憩でもするかの」
そういってルキは収納魔法からテーブルと椅子を出し、ロー○ルさわやかを飲みながらくつろぎ始めた。
その後も“チェイン”を使って魔バットを数体はたき落としている内に、俺はふとある事に気づく。
「ん? そういえば魔バットを倒しても魔石がドロップしないよな……あっ!」
俺は遠くの方で目立たない様に隠れている一際大きいブラッドバットリーダーに狙いを定め攻撃する。
すると慌てた魔バット達がブラッドバットリーダーを囲む様に集まってくる。
「どうやら俺の考えは当たりの様だな!」
無数の魔バットを貫き、その奥にいるブラッドバットリーダーを縛り上げる。
「どっせえええええい!」
そのまま思い切りこちら側へ引っ張り、動けなくなったブラッドバットリーダーにルキの剣を叩き込んでフィニッシュ。
魔石がドロップした事を確認すると同時に、ボス部屋を縦横無尽に飛んでいた魔バット達も煙の様に姿を消した。
「やっぱりボスを倒すと消えるパターンのやつだったか」
「よく分かったの、ただもっと早く気付いても良かったと思うがのー」
「確かに……まだまだ甘いって事だよな」
「まあそういう戦闘勘はすぐには身につかんとは思うし、意識だけはしておく事じゃの」
そういってルキはボスを倒して出現した宝箱に手をかける。
〈天啓力〉を20使った鍵だし、レアな装備や〈天啓〉のオーブが出てくれると助かるな。
「おっ、なるほどの! ほれ、こんな物が出たぞ」
そう言ってルキは1枚の大きな葉っぱを渡してきた。
おおっ……この瑞々しさ、葉先が三叉に分かれ、ぽってりとした肉厚の葉、確かな満足。
「おいおいおい、これってもしかして某有名RPGで出てくる“世界樹の葉”的なポジションのやつじゃねぇーのか!?」
チートアイテム! これで勝つる!
「その“世界樹の葉”というのは知らんが……おそらく解の思っている物とは違うと思うぞ、ちゃんと鑑定を使ってみい」
俺はワクワクしながら鑑定を使う。
「えっ……上薬……草……上薬草!?」
鑑定結果は上薬草だった。ちなみに普通の薬草より質がいいがそこまでレアではないとルキが補足してくれた。
「なんで……〈天啓力〉20消費したのに……」
「ああ、それはあれじゃの。儂の運の値が低いからじゃの。運の値が高ければ高いほど良いアイテムがドロップしやすいぞ」
「えっ、そうだったのか!? なるほど……ルキの運の値が低かったからハズレのドロップだったって訳か……ってかそれ知ってるならなんでお前が開けるんだよ!」
「わ、儂もたまには宝箱を開けたくなる時はある! 別に開けてもいいじゃろ! ケチ!」
「ケチ!? そういう問題じゃないだろ!?」
そうこう言い合いをしながら俺達は魔法陣を使い、入り口まで帰って来てダンジョンを後にする。
……
………………
………………………………
「えーーーーー!!! 私抜きでダンジョンに潜ったの!? 酷いよー! ケチ!!」
楓が友達と遊んだ帰りに俺の家へ来たので、ついでに今日あった事を伝えた。
まあ大体予想はしていたが、楓からそれなりにお叱りの言葉を賜った、次からはちゃんと伝えると言いお許しを得たが本日2度目のケチという罵倒を喰らってしまった。
俺が悪いんだけど、ちょっと傷つくよ。
「あ、そうだ! そういえば私達結構魔石も溜まったし、ロー○ルさわやかも大量にストックしてあるからネェガさんのお店に行って日下部さんと斎藤さん用の装備の資金を作っとかない?」
「ああ、確かにな。ネェガさんにも事前に話しておいた方が良いしそうしようか」
「儂はテレビが見たいから留守番しとるし、2人で行ってくるといい」
「そうか、なら行ってくる」
「ルキちゃん、あんまりお菓子食べすぎると夜ご飯食べれなくなるから気をつけてね」
……
………………
…………………………
「おい! お前らやっと顔を出したか! 早くロー○ルさわやかを売ってくれ! 多方面から次はいつ入荷するのかと催促が凄いんだよ!」
ドアを開けてネェガさんの店には入るや否や、カウンターに座ってたネェガさんがカウンターを凄い勢いで乗り越えてこっちに飛んできた。
ネェガさんの体型も相まって、カウンターを乗り越える様は良くネット上で見かける“笹食ってる場合じゃねぇ”のパンダと完全に一致していた。
「いきなりすごい剣幕ですね……そんなに人気なんですか?」
「びっくりしたぁ……」
「ああ、かなり人気だぞ! 飲み物ももちろん人気だが、あの容器が凄いんだ。飲み終わった後に鑑賞用として並べるのもいいし、別の容器として使う事も出来る! 今巷じゃどれだけペットボトルを持っているかがステータスになりつつあるんだ! 一体あれはどうやって作っているんだ!?」
「ああ〜……それは秘密です」
(ていうか作り方知らないし……)
「くっ……簡単には教えてもらえねぇか! 仕方ないまた次の機会にでもっ……で、今日は売ってくれるのか!?」
「あ、それは大丈夫です。今回は多めに持ってきました」
そう言ってネェガさんにロー○ルさわやかを売り、今度新しく2人を連れて来て装備を整える予定、その時にロー○ルさわやかの事は話さないでと言う事を伝える。
「お前らには世話になってるからな、そん時はサービスしとくぜ」
「ありがとうございます、その時はよろしくです。では俺達はこれで」
「ネェガさんばいばーい」
そうして家に繋がるドアを空ける。
なるほどなぁ、ネェガさんの世界では今ペットボトルが大人気なのか……俺達の世界では色々な形や色のペットボトルが腐るほどあるけど、今そのゴミが色々な問題になってるよなぁ……あれ? 何かそこはかとない商機の香りが……。
「解、何廊下で突っ立ってるの? 早くリビングに戻りなよー、今日は筍ご飯にするよー」
楓が当たり前のように夕食を作る準備に取り掛かっている。ありがてぇ……。
「いいね! 楽しみだよ」
まあ、ペットボトルの事は今の問題が一段落してから考えるか。
■作者コメント
ここまで読んで頂きありがとうございます<(*_ _)>
今巷ではペットボトルが大人気!
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