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異世界ユスティティア  作者: あずさゆみ
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2019年9月16日 午後10時過ぎ

差し込み差し込み。無計画にもほどがありますね……すみません!

「重い……こんなにたくさんあるとは……」


新しい教科書をぎっしり詰めたリュックに押し潰されそうな気持ちになりながら新宿の大きな書店を後にした。


今日は法科大学院の合格発表日。

パソコンの画面に味気ない字で書かれた「受験番号103番さん、未修コース合格おめでとうございます」の文字列を見た私は、激しく降る雨をものともせずそのまま家を飛び出し法科大学院の学生部に飛んで行った。

そこで昨年度の資料をどうにか頼み込んで分けてもらい、それを参考にしながら早速教科書を買い込みに書店へ向かった次第である。

資料に書かれたものを片っ端から買っていった結果、お財布はすっからかんだ。


初めて手にする六法、そして数々の法律書。

大学では法学部法律学科に合格できずに別の学部に行ったものの、ずっと法曹への憧れを捨て切れなかった。

学部の教授に愚痴混じりに話してみたところ、法学部出身者でなくとも法科大学院に行けば法曹になれる道があることを教えてもらい、奮起した私は未修コース入学を狙い、本日晴れて合格を勝ち取ったのだ。


あぁ、やっと。

やっと私は法律を勉強できる。

今この瞬間も肩にめり込んでくるリュックのせいで辛くとも、今日みたいな酷い雨の日であろうとも、そんなの全部吹き飛んでしまうくらい幸せだ。


さぁ、早く帰って読まなきゃ。

何から読もうかな。

民法かな、いややっぱり刑法かな。


青に変わった信号の交差点を渡ろうと足を踏み出した瞬間。



視界を眩いヘッドライトが埋め尽くした。



全身を襲う経験したことのない衝撃。

身体が宙を舞う感覚。

聞いたことのないような、何か硬いものが潰れる音、そして何かに叩きつけられた激しい痛み。

身体から温かいものが流れ出ていく感覚。


熱い。



寒い。



冷たい。



身体から徐々に感覚が消えていく。



あぁ。私、死ぬのかな。

なんで。どうして。

せっかく合格したのに。

これから勉強したかったのに。



もしこの世界に「神様」がいるのなら。


どうか、来世でも法律に関わる人生を送らせてください。



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