表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

人生最大のトラウマ

読んでいただきありがとうございます。

よろしくお願いします。


地味です。

戦闘がメインではありません。

対話が多くなるでしょう。

よろしくお願いします。

 オレには、幼馴染みの彼女がいた。

 ずっとオレの傍にいてくれて、オレは幸せだった。

 オレの仕事は、薬草を採り、回復薬、ポーションを作る事。

 彼女の父親は商家で、オレのポーションを褒めてくれる。良く効いて一番の売れ筋だと。

 だから、オレは勉強を続けた。

 色んな事を学び、そして…今まで一番のポーションを作り、国の競技会に出品して、最優秀賞を獲得して、王家の御用達にもなれた。

 多分、人生で一番に幸せだった時だ。

 24歳のその年に、オレは、幼馴染みの彼女に告白して、一緒になろうと…。

 彼女も了承して、彼女の両親も喜んでくれた。


 なのに…なのに…。


 彼女は、別の貴族の女として行ってしまった。

 なんでも、彼女の商家で一番の取引先らしく、そこの貴族が、彼女に一目惚れして、彼女の商家に莫大な取引を提供した。

 彼女は、離れて…その貴族の妻になった。


 幸せだったはずのオレは一転、彼女が嫁いだ貴族の意向をくんで、両親がオレを邪険にし始めて、オレはどこぞの山奥で一人、薬草を作る事になった。


 それから、オレは…今も人がいない山奥で薬草を栽培して、回復薬を作っている。

 貴族の男は、オレを始末したかったらしいが…。

 王家御用達という看板があったお陰で、何とかなった。


 それから6年。


 三十にもなったオレは、一人…山奥で薬草を栽培してポーションを作り続けている。

 多分、このまま一人だろう。

 偶に山を下りて街に行くと、オレは山奥で生きる変人扱いされる。

 そして、好きな学術本や日用品を買って、さっさと山に戻る日々が続いたある日だ。



 ゴオオオオオオオ


 オレのいる山の傍に、巨大な魔王が出現した。

 小山ほどの巨体、銀色に光る虫のような躯、その躯からウジのように分体が湧き出て、山奥を襲撃する。


 オレが住んでいる山にも、その分体が襲い掛かり右腕を引き千切った。

 痛みで悶えて、このまま死ぬと…。

 だが、オレの後ろに黄金に輝く魔王級と同じ鎧の巨人が出現した。

 それは、最近、噂で聞く機神という、魔法以外の力、異世界から来た者達によって創造された存在だと…オレは分かった。


 その黄金の機神がオレの腕を引き千切った分体を殺し、オレは、その機神の脚に縋り付くと、機神が動きを止めて、オレを胸部にある巨大なプレートのようなモノに引き入れた。


 そして、その黄金の機神が爆発して変貌、小山ほどの虫のよう魔王の倍もある巨大な機神となり、魔王を粉砕した。


 オレはそれを取り込まれた機神の中から見ていると、多くの機神達が空から降り立ち、オレを取り込んだ機神を回収した。


 運ばれた場所は、隣国の街サイズの巨大な機神の工房で、そこのドームのような場所に入れられた次に、オレは機神から解放されて、オレを取り込んだ巨大な山のような機神がオレの背中から入り込んだ。

「ああああああ」

 何かが溶け込むような痛みが続いた次に、千切れた右腕から鋼の腕が生えて、黒かった髪が銀色に変わり、両目が銀色に変貌した。


 その様子を見つめる男がいる。

 男が驚きの顔で

「これは…まさか…我ら機神人類(ファイブ・エクソダス)になる素養を持つ者がいようとは…」


 オレは、痛みが止んで立ち上がると、男を見つめて

「アンタは?」


 男は微笑み

「私は…中田 武…いや、タケシ・ナカタ・フィアンマ・ハルヴァート。

 他者達は機神伯爵フィアンマと呼ばれる」


 オレは…事情をフィアンマから聞いた。

 フィアンマは異世界から来た異世界人で、この世界、帝国で機神を広めている。

 そして、とある魔王を追い詰める時に、自分達の力を込めた機神で追わせて、そこにオレがいた。

 その機神とオレは融合して、フィアンマの同族、機神人類になったらしい。

 そして、オレは…新たな名前を貰った

 ゼロド(始まり)と…


 回復薬を作るポーション職人から、オレは機神を創造できる存在になったらしい。


 そんなオレに、フィアンマは告げた。

「君にしか出来ない仕事がある」

 

 オレのゼロドとしての人生が始まった。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 アンジェリカは、ホーション職人のジャンと婚約していた。

 ジャンは優秀なポーション職人で、王家御用達になる程の天才職人だった。

 アンジェリカは、そんな彼と結ばれる事が幸せだった。


 だが、とある取引先の貴族のボンボンが、アンジェリカを気に入り、嫁になって欲しいと懇願してきた。

 初めは、拒否していたが…その貴族のボンボンが運んで来るお金と宝石の数々に目が眩んで…。

 魔が差した。


 ジャンとの婚約は破棄、そして…実家の商家は大きくなり、ジャンは…追放された。

 初めは、心が痛んだが…。

 嫁いだ貴族が大資産家だったので、仕方ないと…薄れていった。

 

 初めの一年は順調だった筈…ではなかった。

 なんと、その貴族の夫には、数人の隠し妾がいて、帰りが遅いのは、その女の所へ行っているからだ。


 貴族だから仕方ないと…そう思った事もあった。

 だが、とある女が目の前に現れて、こういった。

「子供を産むのを許してください」


 そう、バカ貴族夫の隠し子だ。


 そして、あろう事か、バカ貴族夫は、その女に私の悪口を散々に言っていた。


 私は、大資産家の貴族に嫁いだ後、その資産を生かして自分なりに商売を始めた。

 そのお陰で、実家と嫁いだ貴族の家は、大きくなり海運財閥になった。


 それがバカ貴族夫ならぬ、バカ貴族男には許せなかったのだろう。


 そして、最悪な事が分かったのは、嫁いで四年目だった。


 そして…とある事件が勃発する。

 王家が、隣国の帝国との戦争の為に貴族から税を徴収し始めた。

 戦争に備える為の準備だ。

 隣国の帝国は、最近、機神という魔法では太刀打ちできない存在を兵力として投入。

 周囲の国々へ圧力を強めた。


 私とバカ貴族男の実家は、王家に国にその重課税をキッチリ支払った。

 それを、バカ貴族男が

「ふざけるな! そんなのお前の実家を売り払えばいいだろう。オレの金を使うな!」

 

 ホトホトに愛想が尽きた。


 そして、こんなバカ野郎に今まで抱かれていた自分が愚かに思えてしかたなかった。


 そればかりではない。このバカ貴族男は、女を使い捨てるように、とっかえひっかえして、コイツのバカの所為で、多くの隠し子とその女達が泣いていた。


 アンジェリカはブチギレました。

 

 そして、この事をバカ貴族男の両親に報告すると、両親は頭を下げて私に謝り、バカ息子には、罪を償わせるとして、私に協力をしてくれた。

 私は知っている。

 このバカ男が、王家の資産を無断に横領して、問題の帝国に売って、暴利を貪っていると…。


 このバカ男の元に来て六年目、ついに王や多くの貴族達の目の前で暴露した。


 バカ男は、喚き散らしたが…もう遅い、王を含めて他の貴族達が知っている。

 更に、このバカ男とくっついていた害虫の如き貴族の派閥も一掃され、バカ男は、様々な罪状が暴露、強姦罪から横領罪、詐欺罪、殺人示唆罪と、殺人罪、並びに国家重要情報流出罪、それはもう…メートル級の罪状が書かれた紙に、バカ男の罪状が並んで。

 懲役14000年という求刑が為された。


 バカ男との離婚も成立、バカ男は、お前は何とか何とかと、喚いていたが。

 知るかボケ!

 そして、バカ男が迷惑を掛けた女性達に対する保証と、その隠し子達をバカ男の貴族の両親がちゃんと引き取り。

 私と実家が運営する海運商社の出資者として後ろ盾になってくれている。


 私は、本当に自分のバカさ加減を恥じた。

 最初からジャンと結ばれていれば…。

 あれから6年…30歳になった私は…再び、ジャンを探した。

 やり直そうと…。

 追い出された先で、ジャンが誰かと結ばれて幸せになっているなら…それは仕方ない。

 全ての原因は私にあるのだから。

 

 そして、探し出した先には

 

 アンジェリカは驚愕していた。

 ジャンがいるであろう、山奥のそこには、巨大な魔王の亡骸が横たわっていた。

 何でも帝国から流れた魔王が、ここに来て…被害を与える前に帝国の機神達が始末したと…。


 アンジェリカは、血相を掛けて魔導車を走らせて、ジャンがいるであろう山奥の平屋に向かった。

 向かえば向かう程、親玉の魔王が倒された事で動かなくなった分体達の亡骸が転がり、そして、魔王の遺骸の近くに崩壊したジャンの家と、右腕が転がっていた。


 アンジェリカは直ぐに、それがジャンの右腕だと分かった。

 ジャンは、右腕だけに横一直線の手相がある。

 その右腕には…昔、自分がプレゼントした指輪達が付けられていた。


 右腕と、その周囲に散乱する血痕に、血痕を付着させる死骸の分体達。

 ジャンは、死んだ。


 アンジェリカは、残っているジャンの右腕だけを抱き締めて、壊れたジャンの家に向かった。

 何か…残しているモノは無いか?


 見つけたのはジャンの日記で、そこには…日々が綴られていた。



読んでいただきありがとうございます。

次話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ