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ルームシェアin僕の目  作者: ムラサメ
9/11

9話 新規入居者

視界に奴が映る。

ガルは態勢を立て直したようだ。

一体どうやって倒すんだ、あんな化け物。


『右腕だけなら自由に動かせるぞ!』


えっ右腕だけ!?確かに一部分って言ってたけど…


『舐めるなよ。俺様を誰だと思ってる!だが!!!』


『大家さん!目は任せたぞ!!』


結構重要じゃん…。


『いくぞ!!』


ガルが右のフックを出し始めた。

反撃開始だ!

フン!フン!フン!


全然当たらない…。

そりゃそうだ格闘技の素人の僕でも分かる。

パンチは腕だけで出すものじゃない。

下半身のためを腰に伝えて、さらに広背筋から肩へ伝えながら打つものだ。

そりゃ手打ちになってかわされるのは当然だ。


フン!フン!フン!


構わずガルがパンチを出すが全てかわされる。

それどころか反撃が来る!

思わず目を閉じると、すかさずガルの叱咤が飛ぶ。


『目を閉じるな!!!』


ひぃっ!なんだこの苦しい環境は?

殴られそうになれば、目を閉じるのが普通だろ。


こちらの攻撃も当たらない。

体は瀕死状態で、やられそうになっても目を閉じることすら許されない。


ザ・ジリ貧…


そんなネガティブ思考をしているときに転機が訪れた。


首領の部屋に小さな女の子が入って来たのだ。

金髪で天然パーマ、クリクリした銀色の目、白いワンピースを着ていて素足の姿だった。


癒される天使だ…。


文字通り白い羽が生えた天使だった。


『ふぅっやっと牢屋から出れたわ。』

安堵のため息をもらしながら、キョロキョロ周りを伺う。

『あれっ取り込み中見たいね…。部屋間違えちゃった、失礼します。』とさも何事も見なかったように出て行こうとした瞬間、ガルの手(僕の手)が彼女の目と目の間をつまんで捕まえていた。


天使の子供はビックリして何かを言おうとした瞬間、ガルはつまんだ指を下げていた。

これ以上ない悪い顔をして…


そして、その直後。


ガルの嬉しそうな声が部屋中に響きわたる。

『ユウキハウスにようこそ!!』

『嘘でしょ…』天使の子供は呆然と立ち尽くしていた。


僕の白い部屋(目)に天使がやってきた…。

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